菅内閣の放射能汚染水の海洋放出決定に対して、志賀原発を廃炉に!訴訟原告団は昨日(4月22日)、下記の抗議声明を発表し、菅総理はじめ関係閣僚に送付した。
「志賀原発を廃炉に!訴訟」は2012年6月、福島第一原発事故を二度と繰り返してはならない、能登で繰り返してはならない、そんな思いを込めてスタートした。
しかし、そのくり返してはならないとする「福島第一原発事故」は10年を経たいまもまだ収束を見ず、被害住民の経済面、健康面、精神面の苦悩は続き、むしろ深刻化し、周辺環境への影響も続いている。
収束どころか今回、政府の政策によってさらに放射能が周辺環境に放出されようとしている。数十年にもわたって。
菅内閣の得意技は「後手、後手」だが、今回の決定は安倍前内閣が得意だった「アベコベ」政策だ。
放射性物質が拡散しないよう閉じ込めるのが政府(災害対策本部)の仕事。なのにその政府が、タンクに保管されている放射性物質を放出するという。
何をか言わんや、だ。
2021.4.23 北陸中日
2021.4.23 北國
菅政権は4月13日、関係閣僚会議を開催し、福島第一原発敷地内に保管されているALPS(多核種除去設備)処理水=放射能汚染水を海洋放出する方針を決定しました。福島第一原発はいまだ事故の収束を見ず、緊急事態宣言の発令が継続された状態です。緊急事態宣言は「原子力災害の拡大の防止を図るための応急の対策を実施する必要がなくなったと認めるとき」まで解除されません(原子力災害対策特別措置法第15条第4項)。菅総理が本部長を務める原子力災害対策本部は、災害の拡大防止に総力を挙げなければなりません。にもかかわらず、いったん貯蔵した放射性物質を再び環境中へ放出するとは、まさに原子力災害の意図的な拡大に他なりません。
日々溜まり続けるのだからいつかは環境中に放出するしかない、希釈して放出するから安全だというのはあまりにも乱暴な論理です。原発推進に目障りな汚染水タンクは一刻も早く無くしたい、原発事故は水に流して忘れてしまいたいという政府の本音が透けて見えるようです。福島第一原発事故の収束を担う政府の根本姿勢が問われています。事故の被害者に向き合う根本姿勢が問われています。
以下の理由から、海洋放出の強行は絶対に認められません。強く抗議し、撤回を求めます。
1.トリチウムは放射性物質、保管し減衰を待つのが原則
政府はトリチウムの危険性を軽視していますが、放射性物質であり、生態濃縮や内部被ばくの危険性、有害性を指摘する研究報告は少なくありません。これまでも国内外の原発や核施設から放出してきたという既成事実を並べても安全の証明にはなりません。環境への影響について確立した知見はなく、むしろ国内外で周辺住民の健康被害の増加を示す疫学調査が報告されています。しかも現在政府が計画するトリチウムの年間放出量は事故前と比較して約10倍であり、この大量放出が長期にわたって続くことになります。トリチウム以外の放射性物質も、二次処理で基準値以下にするとしていますが、どの核種がどの程度残留するのか総量は不明です。「放射能汚染水」として「実害」を危惧するのは当然であり、問題を「風評」に矮小化することは許されません。
2.合意なし、漁業者との約束も反故にする暴挙
全漁連は放出反対の方針を堅持し、福島県内でも県漁協のみならず農協中央会や県森連も反対意見を表明しています。県議会はじめ約7割の市町村議会も反対あるいは慎重な対応を求める意見書を可決しています。海外からも懸念の声が上がっています。何より東電と福島県漁連との間の「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」という約束を反故にする暴挙です。復興の主役である漁業者らを苦境に追い込む海洋放出を、「復興」の名の下に進めること自体が最大の矛盾であり、住民の分断政策です。
3.代替案の検討なし、「初めに放出ありき」の結論の押し付け
市民団体からは石油備蓄タンクなどで実績のある巨大備蓄タンクによる保管、あるいはモルタル固化処分など代替案が2018年の公聴会で既に提案されています。汚染水の増加を抑えることも重要で、デブリの空冷化への移行、事故炉の遮蔽にも早急に取り組むべきです。これら放出回避策を真剣に検討した形跡は全くなく、「はじめに放出ありき」の方針決定と言わざるをえません。
「志賀原発を廃炉に!訴訟」は2012年6月、福島第一原発事故を二度と繰り返してはならない、能登で繰り返してはならない、そんな思いを込めてスタートした。
しかし、そのくり返してはならないとする「福島第一原発事故」は10年を経たいまもまだ収束を見ず、被害住民の経済面、健康面、精神面の苦悩は続き、むしろ深刻化し、周辺環境への影響も続いている。
収束どころか今回、政府の政策によってさらに放射能が周辺環境に放出されようとしている。数十年にもわたって。
菅内閣の得意技は「後手、後手」だが、今回の決定は安倍前内閣が得意だった「アベコベ」政策だ。
放射性物質が拡散しないよう閉じ込めるのが政府(災害対策本部)の仕事。なのにその政府が、タンクに保管されている放射性物質を放出するという。
何をか言わんや、だ。
2021.4.23 北陸中日
2021.4.23 北國
2021年4月22日
放射能汚染水の「海洋放出」方針決定に対する抗議声明
志賀原発を廃炉に!訴訟原告団
原告団長 北野 進
原告団長 北野 進
菅政権は4月13日、関係閣僚会議を開催し、福島第一原発敷地内に保管されているALPS(多核種除去設備)処理水=放射能汚染水を海洋放出する方針を決定しました。福島第一原発はいまだ事故の収束を見ず、緊急事態宣言の発令が継続された状態です。緊急事態宣言は「原子力災害の拡大の防止を図るための応急の対策を実施する必要がなくなったと認めるとき」まで解除されません(原子力災害対策特別措置法第15条第4項)。菅総理が本部長を務める原子力災害対策本部は、災害の拡大防止に総力を挙げなければなりません。にもかかわらず、いったん貯蔵した放射性物質を再び環境中へ放出するとは、まさに原子力災害の意図的な拡大に他なりません。
日々溜まり続けるのだからいつかは環境中に放出するしかない、希釈して放出するから安全だというのはあまりにも乱暴な論理です。原発推進に目障りな汚染水タンクは一刻も早く無くしたい、原発事故は水に流して忘れてしまいたいという政府の本音が透けて見えるようです。福島第一原発事故の収束を担う政府の根本姿勢が問われています。事故の被害者に向き合う根本姿勢が問われています。
以下の理由から、海洋放出の強行は絶対に認められません。強く抗議し、撤回を求めます。
1.トリチウムは放射性物質、保管し減衰を待つのが原則
政府はトリチウムの危険性を軽視していますが、放射性物質であり、生態濃縮や内部被ばくの危険性、有害性を指摘する研究報告は少なくありません。これまでも国内外の原発や核施設から放出してきたという既成事実を並べても安全の証明にはなりません。環境への影響について確立した知見はなく、むしろ国内外で周辺住民の健康被害の増加を示す疫学調査が報告されています。しかも現在政府が計画するトリチウムの年間放出量は事故前と比較して約10倍であり、この大量放出が長期にわたって続くことになります。トリチウム以外の放射性物質も、二次処理で基準値以下にするとしていますが、どの核種がどの程度残留するのか総量は不明です。「放射能汚染水」として「実害」を危惧するのは当然であり、問題を「風評」に矮小化することは許されません。
2.合意なし、漁業者との約束も反故にする暴挙
全漁連は放出反対の方針を堅持し、福島県内でも県漁協のみならず農協中央会や県森連も反対意見を表明しています。県議会はじめ約7割の市町村議会も反対あるいは慎重な対応を求める意見書を可決しています。海外からも懸念の声が上がっています。何より東電と福島県漁連との間の「関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」という約束を反故にする暴挙です。復興の主役である漁業者らを苦境に追い込む海洋放出を、「復興」の名の下に進めること自体が最大の矛盾であり、住民の分断政策です。
3.代替案の検討なし、「初めに放出ありき」の結論の押し付け
市民団体からは石油備蓄タンクなどで実績のある巨大備蓄タンクによる保管、あるいはモルタル固化処分など代替案が2018年の公聴会で既に提案されています。汚染水の増加を抑えることも重要で、デブリの空冷化への移行、事故炉の遮蔽にも早急に取り組むべきです。これら放出回避策を真剣に検討した形跡は全くなく、「はじめに放出ありき」の方針決定と言わざるをえません。
以上
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