北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

震災から憲法理念を問い直す第48回護憲大会開催

2011-11-05 | 活動報告
 
 48回目となる護憲大会が11月4日から6日の日程で山形市内で開催されていた。
 私にとっては、昨年の宮崎での大会は欠席だったので、2年ぶりで、確か7回目の参加になるのではないかと思う。
 
 大会名称の通り、憲法を守る運動の大黒柱になっている大会である。時々の憲法情勢について、認識を共有し、全国各地でのたたかいにつなげていく重要な大会である。

 開会総会で江橋崇平和フォーラム代表は憲法理念の実現、市民参加の政治の実現を目指し政権交代を実現させた。沖縄基地問題、脱原発を絶対に譲れない課題であり、世の中を変えるために頑張ろうと訴えた。
 来賓の福島瑞穂社民党党首や吉村美栄子山形県知事らも震災や原発問題に言及。福島党首は脱原発を、吉村知事は卒原発をそれぞれ参加者に力強くアピールした。

 続くシンポジウムは、震災ら考える、「人間の安全保障」で「生命の尊厳」を、をテーマにおこなわれた。
 パネラーは、福島県内で活動する生協あいコープふくしまの理事の橋本拓子さん、宮城県の高橋徳治商店代表取締役の高橋英雄さん、そして沖縄県議会副議長の玉城義和さんの3人。
 原発震災の現地、津波被害の現地、そして基地被害の現地からの報告と討議である。コーディネーターは江橋代表。

 日々放射能と向き合い、悩み、苦しむ生活、そして事故の背景を知る中で不安が怒りへと変わり、運動の方向性が見えてくる中で再び生きる力を取り戻した橋本さん。津波被害で死と直面し、自分の生き方、会社の経営、地域や周囲の人との関係を含め、価値観の転換を迫られた高橋さん。そして日米安保の必要性を問う国民的議論をと訴える玉城さん。
 極限状態の中にある被災者、被害者の立場の中から鮮明に浮かび上がる憲法理念実現への課題を深く考えさせられる密度の濃いシンポだった。


 2日目は分科会やフィールドワーク。飯館村や宮城県へのバスツアーはあっという間に定員になったようだ。私は「教育と子どもの権利」の分科会に参加。

 福島県教組書記長の角田政志さんの話は、原発震災に直面した福島の教育現場がいまどうなってるのか、約8ヶ月の壮絶な奮闘の報告だった。
 小学校38校、中学校20校、高校11校、特別支援学校1校が休校に追い込まれ(4月時点)、11,918人の子どもたちが県外に避難し(9月1日時点)、残された子どもたちは放射能の危険にさらされ、また大きくの教職員も被災するという日本の教育行政史上前例のない事態に日々直面し、解決策に知恵を絞り、現場の声を吸い上げ、教育委員会などと交渉を重ねる組合の取り組み。
 原発は収束の目途はいつ頃、ということが報道される。しかし、教育現場の混乱、子どもたちの教育を受ける権利の侵害、そして教職員の悲惨極まる労働環境は、まだまだ続く。

 教育現場も大混乱、もちろん医療も、福祉も、地域産業も、それぞれ大変な危機に直面している。
 
 いま原子力防災計画の見直しが議論されている。これまでの計画は、念のための一時避難で、安全が確認されたら(放射能は漏れないことになっていた)自宅に帰れるというシナリオであった。数ヶ月も、数年も、あるいはずっと帰れないということは全く想定されていなかった。
 原子力防災計画の見直しとは単に重点区域を何キロまで拡大するのかという問題で終わるわけではない。福島が直面している事態に、物理的に、技術的に、制度的に、経済的に、あるいは財政的に果たして備えることができるのか。真剣に議論しなければならないし、そのためにも福島からもっともっと学ばなければならない。

 沖縄は復帰後も憲法の適用外に置かれてきた。
 そしていま、福島も、多くの津波被災地も憲法で保障された人権の多くが踏みにじられている。復興の議論の根底には憲法理念の実現が据えられなければならない。


コメントを投稿