北野進の活動日記

志賀原発の廃炉に向けた取り組みや珠洲の情報、ときにはうちの庭の様子も紹介。

12月議会 一般質問の原稿です

2012-12-11 | 珠洲市議会
 今日の一般質問の原稿は下記の通りです。

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 東日本大震災以後はじめてとなる衆議院選挙も終盤戦をむかえようとしています。
今回の選挙を称して「民主がっかり、自民こりごり、三極わけわからん」との表現が流行りました。言いだしっぺはマスコミの街頭インタビューに応えた街の声ではなかったかと思いますが、言い得て妙だと私も感じました。
さて、市長は3年前の政権選択を問う選挙のときと同様、今回も自民党候補だけを支援する立場を鮮明にしておられるようです。「民主がっかり」に照らせば、市長の判断は先見の明があったということかもしれません。しかし、こりごりの自民を一貫して支援する姿勢も残念ながら理解に苦しむ面があります。そこは行政のトップである珠洲市長としての立場もあれば、その一方で政治家としての政治判断もありますから、選挙中のいま、とやかく言うつもりはありませんが、国政の流れをどのように捉えておられるのか、この点についてだけ少しお聞きをしたいと思います。
 私は3年前、新自由主義路線を突き進み格差と貧困を拡大させ、アメリカとともに戦争をする国づくりを狙う自公政権にピリオドを打つという意味で政権交代には期待を寄せました。しかし、民主党のマニフェストには賛同しかねる政策も含まれているため、政権交代後も機会あるごとに様々な要望をぶつけてきました。そういう意味で、マニフェストの達成率にはあまり興味はありません。ただ、政権交代それ自体の意義、そして数は多くはないかもしれないけど、民主党政権の取り組みの中で評価すべきは評価し、今後の国政に向き合っていかなければならないと考えています。
 泉谷市長が市長に就任された2006年6月当時の首相は小泉純一郎氏でした。そして9月には現自民党総裁の安倍晋三氏が総理に就任しました。小泉内閣当時推し進められた三位一体改革は財務省の財政再建の論理優先で進められ、地方交付税の総額は抑制され、ついに安倍内閣の下での予算編成で地方交付税、臨時財政対策債の合計は17兆8千億と、2000年以降で見ますと最低の額に落ち込みました。就任早々、市長もさぞや頭を悩まされたものと思います。
自民党政権下、格差と貧困は拡大し、さらに地方も疲弊し、自治体財政も倒産の危機に瀕する中、2009年の総選挙で政権交代が実現しました。ここで民主党を中心とした政権は地方交付税、臨時財政対策債の総額を24兆6千億円へと大きく増額させ、珠洲市はじめ多くの財政危機に陥った自治体は息をつなぎました。その後も増額された交付税総額はほぼ維持され、行財政改革の取り組みと併せて珠洲市など多くの自治体の財政指数は改善に向かいました。
公立病院の経営危機もかつての小泉政権時代の3回連続診療報酬マイナス改定や長年続いた医師数の抑制といった国の政策に大きく影響を受けてきました。ここでも政権交代で政策転換があったことは忘れてはなりません。
珠洲市の財政面から国政を見れば、まさに自民こりごりではないかと思います。
その自民党がいままた庶民の生活を苦しめ、大手輸出企業には莫大な利益をもたらす消費税増税に民主党、公明党とともに賛成し、国防軍の創設や集団的自衛権の行使など憲法の改悪、平和の危機に向かう重大な政策を掲げています。せめてTPPには反対を、と思いますが曖昧な姿勢に終始しています。地方に対しては、一般論として基礎自治体の機能強化、権限・財源の移譲を掲げていますが、かつての政策の反省はみられません。
 市長は市政懇談会で、就任以来6年で市の財政は危機を脱し、各種財政指標は着実に改善に向かっている旨、説明しておられます。もちろん、数字はその通りであり、市長はじめ職員の皆さんの努力を否定するものではありませんが、国の動きとも密接に連動したものであったことも見逃してはなりません。一般会計の歳入の約5割を地方交付税に依然するなど国の財政政策の影響をとりわけ受けやすい珠洲市にとって、国政の流れを的確に把握しておくことが重要なのは言うまでもありません。
そこで、3年余りの民主党を中心とした政権をどのように評価し、自民党に対し何を期待しておられるのか、この際お聞きをしたいと思います。

次に原子力防災についてお聞きします。
今年5月5日、国内の原発はすべて停止しました。しかし、野田内閣は7月、夏場の電力危機を煽り、敷地内の活断層の存在が疑われる大飯原発3、4号機の再稼働を強行しました。9月には原子力ムラの住民を送り込んだ原子力規制委員会を国会の議決も経ずに発足させ、新たな安全基準の下、原発再稼働への手続きをさらに進めようとしています。その時に再稼働のもう一つの条件となるのが新たな原子力災害対策指針に基づく原子力防災計画の策定です。
ここで簡潔に私の原子力防災に対する基本的考えを申し上げたいと思います。志賀原発は現在停止中です。着工前の資料から複数の専門家が直下の活断層の存在を断言しており、廃炉しかないと確信します。昨日は原子力規制委員会の専門家チームが敦賀原発直下を活断層が通っている可能性が高いと判断しました。今後、廃炉への具体的な手続きが議論になると思われます。では停止していれば、あるいは廃炉と決まれば防災計画は不要なのかと言えば、残念ながらそうではありません。核燃料がそこに存在する限り原子力防災対策が求められます。
福島第一原発事故後、アメリカ原子力規制委員会(NRC)は80キロ圏の避難を提言しました。NRCが懸念したのは稼働していた1、2、3号機の爆発ではなく、定期検査中の4号機の使用済み核燃料プールの冷却機能の喪失による火災でした。志賀原発も格納容器内だけでなく使用済み燃料プールにも保管された使用済み核燃料が存在します。年数はかかりますが廃炉計画とセットにした原子力防災体制の確立が不可欠というのが、私の基本的な立場です。
そんな中、さる10月24日、原子力規制委員会は全国16原発の放射性物質の拡散予測を公表しました。その後、風向きデータの入力ミスが相次いで発覚しましたが、来年夏の再稼働に向けて、スケジュールありきの突貫工事のようなものですから当然の失態です。予測図の作成手法も杜撰で、地形は一切考慮せず、風向きは一定という前提は全く非現実的です。最悪の事故を想定したわけでもありません。
さて、市長は今年6月議会で、国が今年おこなう放射性物質の拡散のシミュレーションを注視していきたいと述べました。原子力規制委員会が公表したこの拡散予測をどのように受け止められたでしょうか。まずお聞きをしたいと思います。
この拡散予測図は、問題だらけの前提条件の下、1週間の積算被ばく線量が100ミリシーベルトとなる区域を予測しただけのものです。しかもこの線量は福島第一原発事故で政府が採択した1年間の積算線量20ミリシーベルトという避難基準の約260倍に相当します。したがってその区域外も大変な汚染区域となるわけですが、あたかもこの区域外は大丈夫との誤解を多くの人に与えています。真っ先に誤解したのが谷本知事で、「奥能登に避難すれば放射線の影響を受けないことがはっきりした」と完全なミスリードのコメントを発表しています。
原子力規制委員会はこの高濃度汚染区域がほぼ30キロメートル内に収まるとして原子力災害対策指針を決定し、県内でも該当する自治体は年度内の原子力防災計画の作成に向け作業を進めています。本来ならば年間1ミリシーベルト以上でも問題であり、福島の現実をまったく踏まえない防災計画と言わざるをえません。このままでは奥能登住民の被ばくや環境の放射能汚染の危険性は無視されることになります。市長は、国や県に対してあらゆる機会を通じて拡散予測のやり直しと原子力災害対策指針の見直しを求め、声を上げていくべきと思いますがいかがでしょうか。

次に放課後児童クラブについてお聞きします。
市内の放課後児童クラブは現在4か所で開設されており、保護者が日中家庭にいない小学校低学年の子どもたちの放課後の活動の場となっています。利用する子どもたちの人数は、開設当初は徐々に増加していたものの、ここ数年は若干減少傾向となり、今年度は45人とのことです。一方で開設されていない地域では、新規開設を望む保護者の声が以前からあがっています。開設場所の確保や、新規開設にあたっての基準もありということで必ずしもニーズに応えきれていないのが現状だろうと思います。全国的に見ますと、小学校区内に放課後児童クラブがない校区は約2割とのことです。
こうした中、厚生労働省は一昨年策定した子ども・子育てビジョンの中で放課後児童クラブの充実を掲げ、81万人の利用を2014年には111万人にする数値目標を示しました。さらに今年8月には子ども・子育て関連3法の一つとして児童福祉法が改正され、対象年齢が従来の「おおむね10歳未満」から小学校6年生にまで拡大されました。法律施行は2015年4月ですが、すでに6年生までの入所を認めている自治体も多いようです。
珠洲市はこれまでも対象学年を1年から3年生としつつも、「その他市長が特別に認めるもの」との規定を設け、4年生以上の子どもたちの利用を閉ざしてきたわけではありません。しかし、4年生以上は特別に認めるということでは、申し込みする方もついつい躊躇してしまうのではないでしょうか。実際、この間、4年生以上は一人いるかいないかという状態でした。子育て支援の充実、放課後児童クラブの運営改善という点からも、来年度から対象年齢を6年生までとはっきり引き上げてはどうかと思いますがいかがでしょうか。
関連してもう一点お聞きしますが、今回の法改正では子ども・子育て支援法の成立が大きな制度改正となります。都道府県と市町村には地域子ども・子育て支援事業計画の策定が義務付けられ、さらに市町村には子育て会議の設置が努力義務とされました。今後、従来の補助金制度は、放課後児童クラブも含めた子育て13事業の事業計画に基づいて支出される包括交付金へと変更されることになります。したがって、これまで以上に子育て世代のニーズを正確に把握していくことが求められると思いますが、今後の対応についてお聞きかせいただきたいと思います。

次に現在、策定に向け作業が進められている教育振興基本計画についてお聞きします。
教育振興基本計画という名称自体聞きなれない方も多いかもしれません。根拠法は2006年、当時の安倍内閣の下で改悪された現行の教育基本法です。政府は教育振興基本計画の策定が義務付けられ、地方公共団体は政府の計画を参酌しての策定が努力義務とされました。教育基本法の改悪、とあえて言わせていただいますが、当時、国会内外で大変な論争が展開されました。その論点の一つとして教育振興基本計画があったことは教育長も十分ご承知のことと思います。いま、その議論を蒸し返すつもりはありませんが、多くの教育学者、教育関係者から問題が指摘されていた計画であり、そのことはぜひ教育長も頭の片隅には置いていただきたいと思います。
いずれにしましても、学校教育だけでなく社会教育、スポーツ政策なども含めた珠洲市の教育施策の総合的な推進を図るための基本計画であろうと思いますし、次期総合計画、先ほどの答弁では総合指針となるようですが、そこにも整合性を図りながら盛り込まれていく非常に重要な計画だと私は認識しています。
その教育振興基本計画が、こそこそとは申しませんが、策定委員会が設けられ4回の会議、計8時間程度の会議時間、といっても事務局からの説明もあるでしょうから実質審議はどの程度確保されるのかもわかりませんが、淡々と策定されようとしていることに私は大いに違和感を覚えます。
そこでまず教育長に、今後の珠洲市の教育行政における教育振興基本計画の位置づけをお聞きしたいと思います。
従来、確かに珠洲市の多くの計画は、関係する各種団体の代表の方を入れた策定委員会が設置され、担当課が作成した案が委員会に提示され、出された意見を踏まえて若干の修正をかけて担当課が取りまとめていくといった流れだったかもしれません。
しかし、教育振興基本計画の重要性に加え、教育委員会の存在意義自体が問われている昨今の社会情勢も考えたとき、教育委員会事務局案を策定委員会が審議し、実質的に事務局が取りまとめていくという旧態依然とした策定手続きは転換すべきだと思います。策定委員会はじめ市民の皆さんの意見を広く集約するのは当然ですが、原案の作成から、最終的取りまとめまで、5人の教育委員からなる教育委員会こそが主体的役割を果たすべきだと私は考えますが、教育長、いかがでしょうか。教育委員会の定例会ではでは策定委員会設置要綱の制定だけが議件としてあがっていますが、教育委員の役割がここで止まってしまっては、形骸化した教育委員会とのそしりは免れないのではないかと思います。
 手続き面であと2点お聞きします。
 一つはパブリックコメントの実施です。現在の行革推進プランに基づく実施計画を見ましても、市民ニーズ把握の具体的取り組みとして「パブリックコメント手続制度の設置と活用」が示されています。最終とりまとめの前にはぜひ実施していただきたいと思いますがいかがでしょうか。
あと一つは議会との関係です。昨年の地方自治法の改正を受け、自治基本条例や議会基本条例で教育振興基本計画を議会議案として議会の承認を求めている自治体もあちこちあるようです。珠洲市ではそのような条例はまだ制定されていませんが、少なくとも中間報告をとりまとめて議会の意見を聞く、あるいは最終案のとりまとめ前には議会の意見を聞く手続きを経るべきではないかと思いますがいかがでしょうか。

次の質問は、学力向上プログラム「評価問題」による「調査」についてです。
これも何のことかと思われるかもしれませんが、話は私が昨年来、何回も取り上げてきた全国学力・学習状況調査に遡ります。先の9月議会でも述べましたが、そもそもこの調査は点数と教育環境や学習状況の関係を調べ、今後の教育政策の改善や教育指導の充実につなげていこうとするものです。ところが各都道府県教委の名誉をかけた点数競争の場にすり替わっています。今年、石川県は奥能登教育事務所管内の事前の猛練習の甲斐もあって、小学校では秋田、福井に次ぐ3位、中学校でも秋田、福井、富山に次ぐ4位の正答率を収めました。いま、石川県教委の内部的スローガンは福井に追いつき追い越せだそうです。福井県教委は秋田に追いつけ追い越せ、そして秋田県教委はと言えばトップを死守とのことです。まさにこのような自治体間競争が煽られると懸念されていたにもかかわらず実施に踏み込んだのは2007年の安倍政権でした。
こうした点数学力至上主義に陥った県教委は、各市町村教委ばらばらの対応ではなく、県内統一した学力テスト対策を実施することにしました。これが学力向上プログラム「評価問題」です。
文科省は来年度、全国学力・学習状況調査について「きめ細かい調査」の実施を予定しており対象学年からしても事前練習としか思えません。調査趣旨を歪め過度の競争をあおるものだと言わざるをえません。教育長の見解をお聞きします。
さて、問題はここで終わりではありません。珠洲市内ではこれに加えて「評価問題」に対する事前練習問題が実施されていると聞きます。「きめ細かい調査」に備えた事前練習問題の、そのまた事前練習問題であり、どこまでエスカレートするのか、異常な対応といわざるをえません。この試験問題は誰の要請で、どこが作成したのか確認をさせていただきたいと思います。
先日、市外のある校長先生と話す機会がありました。珠洲市の事前練習に対してうちは授業で勝負、と明言しておられました。
市内の各学校では今日が評価問題、先週はその事前の練習問題で授業をつぶしているのではないでしょうか。これらの練習問題は、年度当初に決定した教育課程にないものであり、授業時間の確保や学校行事へのしわ寄せも危惧されます。今後、このような「評価問題」やそのための事前練習はおこなうべきではないと考えます。教育長の見解をお聞きします。
受験に備えた補習ならば、保護者の皆さんの要望もあり、もちろん子どもたち本人の将来がかかっており、人生のハードルの一つとして休日返上の特訓もある意味、やむを得ない面があるだろうと思います。しかし、この評価問題や練習問題、子どもたちのためではなくまさに教育委員会のメンツをかけた点数競争ではないでしょうか。
子どもたちは、ここで自分たちが頑張らなければ先生は校長先生から叱られるんだろうなあと気を遣っているそうです。思わぬところで思いやりの心が育っているのかもしれませんが、いい迷惑にかわりはありません。
先ほどの教育振興基本計画にもかかわりますが、このような点数学力至上主義の教育を珠洲市の教育の目標に掲げられるのでしょうか。
市長には答弁を求めませんが、現在おこなわれている第二次の学校統合計画、地域にできるだけ学校を残していこうという市長の意向が大きく反映されました。地域と学校、家庭がより連携を深め、里山里海に囲まれた地域の中で子どもたちの確かな学力、ゆたかな学びを保障していこうという思いだと勝手に理解をさせてもらっています。庁内全体で推し進められた行革の中でも学校給食の自校方式は残し、珠洲だからこそという食育の充実を図り、あるいは図書館司書を配置し、図書購入費も増額し読書環境を整え豊かな人間性を育むことを目ざす、もちろんまだまだ道半ばですが、そんな珠洲だからこそ可能となる教育を目指しているのではないかと思います。ところが現在の教育委員会、9月議会で市長は意思疎通が図られているとの答弁がありましたが残念とは思われませんか。私は情けなくてしょうがありません。

 さて、質問の最後は今議会冒頭の市長からの提案説明の中にありました公民館の運営の在り方についてです。指定管理者による運営から、市が直接運営する形態に改めるとのこと。私は指定管理者制度を導入した経緯について詳細は知りませんが、公民館は社会教育、生涯学習の拠点であり、本来、市が直接運営するものだと思ってきました。
 しかし、市長も述べていますが指定管理者の導入によって地域の公民館という意識が高まり、独自の事業も活発に展開されています。行革による経費削減が一番の狙いだったのではないかと推察しますが、地域活力の拠点として存在感を発揮するという思わぬ成果が表れたというのが率直なところではないでしょうか。
 公民館は地域にとって大きな存在であり、今後も大きな役割を果たしていかなければなりません。今回の運営の在り方の転換は、珠洲市にとっても、そして市内各地域にとっても大きな政策転換であり、丁寧な手続きと説明を重ねる必要があると思います。
市長は提案説明の中で、指定管理者制度を導入して以降6年間の検証をおこない、より良い運営方策について検討してきたと述べられました。いつからどの組織で検討してこられたのでしょうか。また検証内容のポイントは提案説明にあった通りかと思いますが、大切な問題ですから、より詳細に検証内容をまとめた報告書を議会や市民の前に明らかにすべきだと思いますがいかがでしょうか。
 教育長にもお聞きします。公民館の直接の所管は教育委員会ですが、今年度4月以降の教育委員会定例会で公民館の運営の在り方は議件としてあがっていません。社会教育や生涯学習の充実に向け、直接の運営ならばこそ、という議論があったのでしょうか。この間、教育委員会としてどのような議論を重ね、いつ直接運営する形態に戻すことを確認されたのかお聞きをして、質問を終わらせていただきます。


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