12月議会での一私の一般質問に対する答弁です。
正式な議事録ではありませんので引用は慎重に願います。
1.総合指針と地方創生総合戦略について
(1)総合指針は「普遍的な目標を掲げる」、そして地方創生総合戦略は「将来に向けた総合指針を掲げる中で、具体的な地方創生を進める実施計画」と位置付けるというのがこれまでの議会答弁だった。指針をわずか5か年の総合戦略と同様の内容で作成した理由を聞く。
<市長>
現在の第5次総合計画に代わる、本市の新たな長期計画になるまちづくり総合指針につきましてはこれまでもご説明してきました通り、総合指標として幸福度を取り入れながら、普遍的な目標となるまちづくり指針を策定していくこととしております。
しかしながら近年、本市をはじめとする地方を取り巻く環境の変化が著しいことから従来の10年スパンの長期計画を策定し、市政に取り組むことは適当ではないという観点から総合指針の対象期間につきましては平成28年度から平成32年までの5年間として策定作業を進め、指針の取りまとめにつきましては長期的な方針としての5つのまちづくり指針と16の方向性で構成することとしたものであります。一方で平成26年度末に地方創生にかかる各自治体版の総合戦略や人口ビジョンを策定することが国から求められたことから庁内の策定委員会、及び市民委員の皆様による創造会議において総合指針と総合戦略について、あわせてご議論いただいたところであります。
(2)総合指針は、長期的・普遍的な価値について市民と時間をかけて議論し、作成してはどうか。
<市長>
国が地方に策定を求める総合戦略につきましては平成27年度から31年度までの5年間の期間としており、総合指針の対象期間と概ね合致いたしますことから、まちづくり総合指針で定めることとなる基本的な指針や方向性を前提に今後5年間の該当施策について重要業績評価指標KDDIを設定し取りまとめたものを本市の総合戦略として位置づけたいと考えております。
(3)指針1、3はコア・プロジェクトとして取り組むとのことだが、具体的に何が変わるのか。
<市長>
また4回の会議を開催いたしましたまちづくり創造会議におきまして、多くの委員の皆様から市民が共有できて共に取り組みやすいよう重点的なプロジェクトを示してほしい旨のご意見をいただいたことから、指針1および指針3についてはコア・プロエクトと位置付けしたいと考えております。特に市民の皆様の幸福度の向上に最も関連性の強い健康分野と本市の魅力を高め、新たな交流や移住を進めていく上において、大学連携や国際芸術祭に関する取り組みは力を入れて取り組む必要があると考えており、今後、国から提示される可能性のある地方創生に関する交付金等についてもコア・プロジェクトと位置付けた施策を中心に重点的に提案、要望をしていきたいと考えております。
(4)10か年を計画年度とする石川県の新長期構想が来年度からスタートする。また近隣自治体も総合戦略を策定しているが、これらの計画との整合性は考慮されたか。
<市長>
また周辺自治体の計画との整合性についてでありますが、輪島市や能登町、穴水町はすでに策定を終えていることから、これらについて確認したところでありますし、石川県の長期構想につきましては事前に概要を示していただいたことから本市の方針などについて県と協議したところであります。
(5)「日本一」ではなく「一人ひとりが幸せを感じられる珠洲市」を目指すべきではないか。
<市長>
総合指針で掲げることとしております5つの基本指針は、これまでの議論を通して、現段階において、本市が目指すべき普遍的な方針であると考えており、各指針に掲げる方向性に尽きましても、今後5年間については5つの指針を構成する重要な柱と位置付けし、進めてまいりたいと考えております。5年間の期間終了後には幸福度調査の結果を踏まえながら、順次見直しをおこなっていきたいと考えておりますし、最終的に市民一人ひとりが日本一幸せを感じられる珠洲市を目指してまいりたいと考えております。
2.人口ビジョンについて
(1)政府は2025年に「希望出生率」1.8という数字を新たに出してきた。珠洲市人口ビジョンに与える影響を聞く。
<市長>
人口ビジョンについてでありますが、本市が策定する人口ビジョンは石川県や県内自治体と同様に国が示した長期ビジョンにある2030年に1.8、2040年に2.07を前提に策定を進めております。
(2)「珠洲市人口ビジョン」では「女性が子供を産む数を増やす」という目標を掲げている。子どもを望んでも授かれなかった女性、あるいは経済的な事情など条件がかなわず諦めた女性などに配慮が必要ではないか。
<市長>
人口ビジョンの説明資料の一部において人口の自然増減を改善するための目標の記述が配慮に欠けるというご指摘につきましては、最終案策定の際には適切な表現にしたいと考えております。
(3)人口全体の7.6%と言われるLGBT(性的少数者)の人権に対する市長の認識を聞く。
<市長>
私としましてはLGBTの方々の人権は当然尊重すべきであると考えております。
3.公民館単位の自治機能強化について
総合指針では「公民館を拠点とする絆の再構築」との項目の中に「公民館を単位とする住民自治機能の強化」を掲げている。ここでいう「自治機能の強化」とは地方自治法で規定された地域自治区の設置を視野に入れたものか。あるいは自治基本条例などの制定によって新たな自治の枠組みを設ける方針か。
<市長>住民自治機能についてでありますが、総合指針の指針1、だれもが活き活きと暮らせるまちの方向性3において公民館を拠点とする地域の絆の再構築を掲げており、具体的施策の一つに公民館を単位とする住民自治機能の強化をあげています。
これまで公民館は生涯学習など社会教育活動の推進の拠点と位置付け、様々な事業をおこなってまいりました。一方で人口減少や高齢化が進む中で、近年では地域福祉活動や健康増進事業、防災組織の拠点としても機能しておりますし、6年間にわたり指定管理業務を地域の皆様に担っていただいたことで、自分たちの地域は自分たちで良くしていこうという活動も活発化してまいりました。総合指針で掲げた公民館を拠点とした住民自治機能の強化は今後、さらにこうしたそれぞれの地域での活性化に向けた取り組みや地域の絆の再構築を推進していきたいという考え方を表したものであります。
4.共通番号(マイナンバー)制度について
(1)記載しなければ市として受理できない申請書類はあるか。
<総務課長>
マイナンバー制度についてお答えいたします。平成28年1月からは社会保障、税、災害対策の分野におきまして、申請書等に個人番号を記載することが必要となります。申請書等に個人番号が記載されていない場合は個人番号を記載することが各制度における法的な義務であることを説明し、記載していただくことをお願いすることといたしております。それでも記載を拒否された場合は、番号法等の規定に基づき、事務の担当者が住民基本台帳の端末を利用して個人番号を取得して事務を処理することとなります。
(2)市内の民間事業所のセキュリティ対策は万全か。
<総務課長>
民間事業者の対応等につきましては関係省庁等のホームページにおいて応報提供がおこなわれているほか、コールセンターも設置されておりますので、これらをご活用いただきながら準備を進めていただければと考えております。
5.珠洲焼について
(1)復元窯の完成後の利用状況、研究テーマとその成果、今後の課題、研究者間の交流について聞く。
<市長>
珠洲焼資料館の復元窯については会館20周年と珠洲焼の窯跡が国史跡に指定されたことを記念する事業の一環として平成23年に整備いたしました。この5年間の焼成回数は12回に及び、その都度、薪の種類や温度などの焼成条件を変えて窯の温度分布を計測するなど、実験データを蓄積しております。このことは中世珠洲焼の焼成技術の復元ということにとどまらず産業として中世珠洲の社会経済に与えた影響を推し量る歴史研究の糸口にもなるものであります。現在、中世窯業の復元研究に積極的に取り組んでいるのは他にも越前焼と備前焼があり、現在三地域の研究者と陶芸家の合同研究に向けた動きがございます。
(2)復元窯は一般来館者が珠洲焼の歴史や謎に触れる場でもあり、珠洲焼資料館の魅力アップにもつながるものと思うが、来館者に対して復元窯の存在はどのようにアピールされているか。
<市長>
復元窯は研究のための窯であると同時に珠洲焼への理解を促すための展示施設でもあります。単に形を復元するだけではなくて、実際に焼成することで生じる窯のひび割れや煤の汚れが見る人に深い印象を与える効果があると考えております。復元窯を整備したことはホームページや観光案内でも紹介いたしておりますが、今後、この窯での研究成果や焼成がいつ行われるかということについても周知を図ってまいりたいと考えております。
(3)珠洲焼の窯跡が「珠洲陶器窯跡」として国史跡に指定され7年が経過する。窯跡の整備活用は珠洲焼の歴史遺産としての価値を高め、歴史ファンの期待に応えるのみならず、現在の珠洲焼の魅力、ひいては商品価値を高めることにもつながる。窯跡の整備活用に向けた計画策定や事業化の見通しを聞く。
<市長>
国史跡珠洲陶器窯跡の整備活用につきましては、保存整備委員会を設置し、窯跡の現地視察等も実施しております。現在整備基本計画の取りまとめをおこなっているところであり、具体的な取り組みにつきましては計画策定後に検討してまいりたいと考えております。
北國新聞(12月9日)
(4)珠洲焼の振興には、陶工への支援・育成や販売体制の強化を担う陶芸センターや珠洲焼館だけでなく窯跡の整備活用の推進や資料館の魅力アップなど教育委員会が果たす役割も大きい。珠洲焼の過去、現在、未来を見据え、組織横断で課題を見極め、優先順位を判断できる司令塔的人材が不可欠だと思うが市長の所見を聞く。
<市長>
珠洲焼に関する今後の課題への対応につきましては司令塔的な組織の構築や人材の登用を図ることよりも、むしろ各課の連携をより一層密にし対応してまいりたいと考えております。
6.能登杜氏について
(1)能登杜氏組合に所属する杜氏75人の中で珠洲出身の杜氏、能登町出身の杜氏は何人か。またそれぞれ60歳以下の杜氏は何人か。
<産業振興課長>
能登杜氏組合に所属する杜氏は74名で、珠洲市出身者は14名、能登町出身者も14名となっております。一方60歳以下の杜氏は全体で59名、うち珠洲出身者が2名、能登町出身者が5名と、北野議員ご指摘の通り、減少してきておりますが、能登杜氏の技を継承した後継者が県外に多く活躍している状況にあります。
(2)全国的にはこれまでにない日本酒ブームで日本酒ルネッサンスとも言われるが、このままでは能登杜氏を輩出してきた珠洲市、能登町の出身者は減少の一途と思われる。元禄の時代から約300年もの歴史がある能登の酒造文化をどのように守り育てていくか、行政と杜氏組合、蔵元がさらに知恵を出しあっていくべきと思うがどうか。
<産業振興課長>
歴史ある能登の酒造文化を継承していくために行政として能登杜氏の皆さまのスキルアップを図るため、明治37年以来、111年にわたり行ってきた品評会や研修会をはじめ、後継者育成活動に対して珠洲市と能登町が共同して支援をおこなっているところであります。また、酒造りの魅力を広く伝えるため、映画「一献の系譜」の制作支援や今年5月に杜氏組合、蔵元が協力して開催された日本酒のマエストロ能登杜氏酒フェスティバルに対しても積極的な支援をおこなっております。今後も杜氏組合との連携を強化し、能登杜氏の技の高さと酒造りの魅力を発信し、後継者育成の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
7.奥能登芸術祭について
(1)キリコ祭りを観光客向けのイベントの一つと捉えているかのような発言がディレクターから聞かれる。神事である祭り本来の意味を理解し、誇りを持っている人にとって、芸術祭は違和感のあるイベントと捉えられているように思うがどうか。
<企画財政課長>
奥能登国際芸術祭に関するご質問にお答えいたします。奥能登国際芸術祭につきましては本市の美しい豊かな里山里海の景観にあった芸術作品の制作や展示にとどまらず地域における生業や伝統文化などのもつ魅力をアートの力により再発見し、これらの地域資源を活かし、新たな価値を創出することにより、地域活性化につなげていくことを目的としております。その中で、我が国の文化、伝統を語るストーリーの一つとして文化庁の日本遺産にも認定された能登のキリコ祭りにつきましては地域の魅力として欠くことのできないものであることから本芸術祭の開催を契機として全国に向けて発信してまいりたいと考えております。2年後の本芸術祭の開催に向けてアーティストの決定や集落とのマッチングなど国際芸術祭そのものの開催に向けた取り組みが今後本格化していくことになりますが、こうした奥能登国際芸術祭の開催を通した祭り文化の発信につきましても市民の皆様にその趣旨を十分ご理解いただきことができるよう一層取り組んでまいりたいと考えております。
(2)料金を払って初対面の人の家で料理をいただくヨバレ体験ツアーは、本来のヨバレとは似ても似つかぬ食事ツアーに過ぎないとの声を聞く。祭りや食文化の源流を探るというコンセプトに反するように思うがどうか。
<企画財政課長>
こうした祭り体験に合わせ、本市の食の魅力を代表するヨバレ料理につきましても、現在、その提供方法などについて関係機関や大手旅行代理店とも連携しながら、様々なケースについて検討を重ねているところであります。国際芸術祭の開催を機に予想される多くの来訪者に、様々なケースに合わせて地域の食の魅力を伝えるため、場合によっては年間を通じて地域住民が地元の食材や料理でもてなすヨバレ食堂のような形も想定しながら、提供方法などについて引き続き模索してまいりたいと考えております。
(3)市教育振興基本計画は「祭りなどの民俗行事は、時代社会の変化とともに本来の意義が薄れ、観光イベント化しており、文化財としての価値を損じた例が全国的に見受けられます」とし、保護意識の高揚を訴えている。祭り本来の意義を踏まえた芸術祭でなければならないと思うがどうか。
<企画財政課長>
奥能登国際芸術祭の開催におきましては、地域が本来持っている魅力をアートの力によって再発見し、活用することを目的としているところであり、祭り文化の発信におきましても地域で受け継がれてきた伝統や特色など、祭り本来の魅力や意義を損なうことなくアピールすることができるよう今後も取り組んでまいりたいと考えております。
(4)地区によっては、祭り当日、祭りの担い手である子どもたちを学校から早く帰してもらえないかとの声がある。市教育振興基本計画では「児童生徒が参加しやすい環境づくり」を掲げているが、教育委員会としての見解を聞く。
<教育長>
祭礼における児童生徒が参加しやすい環境づくりについてでありますが、祭礼を含めた地域行事へ児童生徒が参加することは地域の連帯感や郷土愛を醸成するよい機会であり、各学校においては各学校の教育方針と地域の実情を鑑みて対応すべきと考えております。
8.教育行政について
(1)全校生徒数40人未満の大谷小中学校の開校は全県的に大きな注目を集めると思われる。珠洲の教育やまちづくりの姿勢への理解を広めるチャンスと考えるが、開校式など今後の対応を聞く。
<教育長>
大谷小中学校開校に向けてでありますが、小中合同で研修を重ね、すでに先行実施しております宝立小中学校のカリキュラムをモデルにしたキラリ英語科や歴史と伝統のある揚げ浜式製塩をベースにしたふるさと珠洲科の指導計画など、大谷小中学校ならではの教育課程編成にむけての準備を進めているところでございます。
今後につきましては3月中に落成式をおこない、4月1日、開校式を予定いたしております。
(2)平成20年にまとめられた「学校統合問題(今後の望ましい教育環境)に関する答申」に基づけば、次は三崎地区となるが、答申では当面連携型小中一貫校とする方針が示されている。「連携型」の具体的な連携の形を聞く。
<教育長>
連携型の具体的な形についてでありますが、現在、三崎地区において小中学校の教員が互いの授業を見合って指導方法の共通理解を図ったり、小中合同でノーメディアデーを設定し、家庭学習の習慣化に取り組んだりしております。今後は各教科における9年間を見通した系統性のあるカリキュラムの作成や、小中合同での授業研究を進めることで、児童生徒が新しい学習や生活をする上で円滑な接続ができるように取り組んでまいりたいと考えております。
(3)同じく答申では緑丘中学校校区の6小学校は当面できるだけ存続させる方針が記されている。文科省のガイドラインに示された小規模校のメリット最大化策では機動的な校外学習など地域に出る取り組み、デメリット緩和策としては合同授業や合同行事の実施などが掲げられている。校外へ出かけやすくするためにもマイクロバスなど移動手段の確保が重要になると思われるが対応を聞く。
<教育長>
合同授業や合同行事の実施にあたりましては、児童生徒が移動する方法もございますが、ICT機器を活用した双方向通信学習なども効果的ではないかと考えております。
(4)今後、複式授業がさらに増えると思われる。田中前教育長は複式授業のプラス効果を指摘し、奥能登教育事務所も次期学習指導要領で盛り込まれると言われるアクティブラーニングの観点から注目している。一方で保護者の間では不安視する声もあり、また教員の負担増も事実である。今後の珠洲の教育において避けては通れない複式授業についての新教育長の見解を聞く。
<教育長>
最後に複式学習への考え方についてでありますが、私も田中前教育長と同様にプラスの効果が多くあると考えております。保護者の方にとっては複式授業と言いますとご自分のお子さんに関わる時間が少ないと感じられる方がおいでるかもしれません。しかし、複式授業を円滑に進めるためには児童生徒自ら学習を進めていくことが大切であり、日々の授業を通して児童の主体性が培われています。学習の定着について一方的に話を聞くだけでは5%の定着率ですが、学んだことを他者に教えることで90%の定着率になるとも言われております。つまり主体的になればなるほど学習の定着が図れるということでございます。そのため次期学習指導要領ではグループディスカッションなど児童生徒の主体的な学習が重視されると言われており、複式授業において児童が自ら学び合いを進める学習方法についても一致するところでございます。また、教員の負担ということにつきましては授業においてICT機器の活用を進めることにおいて、教員の負担軽減を図っているところでございます。
正式な議事録ではありませんので引用は慎重に願います。
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1.総合指針と地方創生総合戦略について
(1)総合指針は「普遍的な目標を掲げる」、そして地方創生総合戦略は「将来に向けた総合指針を掲げる中で、具体的な地方創生を進める実施計画」と位置付けるというのがこれまでの議会答弁だった。指針をわずか5か年の総合戦略と同様の内容で作成した理由を聞く。
<市長>
現在の第5次総合計画に代わる、本市の新たな長期計画になるまちづくり総合指針につきましてはこれまでもご説明してきました通り、総合指標として幸福度を取り入れながら、普遍的な目標となるまちづくり指針を策定していくこととしております。
しかしながら近年、本市をはじめとする地方を取り巻く環境の変化が著しいことから従来の10年スパンの長期計画を策定し、市政に取り組むことは適当ではないという観点から総合指針の対象期間につきましては平成28年度から平成32年までの5年間として策定作業を進め、指針の取りまとめにつきましては長期的な方針としての5つのまちづくり指針と16の方向性で構成することとしたものであります。一方で平成26年度末に地方創生にかかる各自治体版の総合戦略や人口ビジョンを策定することが国から求められたことから庁内の策定委員会、及び市民委員の皆様による創造会議において総合指針と総合戦略について、あわせてご議論いただいたところであります。
(2)総合指針は、長期的・普遍的な価値について市民と時間をかけて議論し、作成してはどうか。
<市長>
国が地方に策定を求める総合戦略につきましては平成27年度から31年度までの5年間の期間としており、総合指針の対象期間と概ね合致いたしますことから、まちづくり総合指針で定めることとなる基本的な指針や方向性を前提に今後5年間の該当施策について重要業績評価指標KDDIを設定し取りまとめたものを本市の総合戦略として位置づけたいと考えております。
(3)指針1、3はコア・プロジェクトとして取り組むとのことだが、具体的に何が変わるのか。
<市長>
また4回の会議を開催いたしましたまちづくり創造会議におきまして、多くの委員の皆様から市民が共有できて共に取り組みやすいよう重点的なプロジェクトを示してほしい旨のご意見をいただいたことから、指針1および指針3についてはコア・プロエクトと位置付けしたいと考えております。特に市民の皆様の幸福度の向上に最も関連性の強い健康分野と本市の魅力を高め、新たな交流や移住を進めていく上において、大学連携や国際芸術祭に関する取り組みは力を入れて取り組む必要があると考えており、今後、国から提示される可能性のある地方創生に関する交付金等についてもコア・プロジェクトと位置付けた施策を中心に重点的に提案、要望をしていきたいと考えております。
(4)10か年を計画年度とする石川県の新長期構想が来年度からスタートする。また近隣自治体も総合戦略を策定しているが、これらの計画との整合性は考慮されたか。
<市長>
また周辺自治体の計画との整合性についてでありますが、輪島市や能登町、穴水町はすでに策定を終えていることから、これらについて確認したところでありますし、石川県の長期構想につきましては事前に概要を示していただいたことから本市の方針などについて県と協議したところであります。
(5)「日本一」ではなく「一人ひとりが幸せを感じられる珠洲市」を目指すべきではないか。
<市長>
総合指針で掲げることとしております5つの基本指針は、これまでの議論を通して、現段階において、本市が目指すべき普遍的な方針であると考えており、各指針に掲げる方向性に尽きましても、今後5年間については5つの指針を構成する重要な柱と位置付けし、進めてまいりたいと考えております。5年間の期間終了後には幸福度調査の結果を踏まえながら、順次見直しをおこなっていきたいと考えておりますし、最終的に市民一人ひとりが日本一幸せを感じられる珠洲市を目指してまいりたいと考えております。
2.人口ビジョンについて
(1)政府は2025年に「希望出生率」1.8という数字を新たに出してきた。珠洲市人口ビジョンに与える影響を聞く。
<市長>
人口ビジョンについてでありますが、本市が策定する人口ビジョンは石川県や県内自治体と同様に国が示した長期ビジョンにある2030年に1.8、2040年に2.07を前提に策定を進めております。
(2)「珠洲市人口ビジョン」では「女性が子供を産む数を増やす」という目標を掲げている。子どもを望んでも授かれなかった女性、あるいは経済的な事情など条件がかなわず諦めた女性などに配慮が必要ではないか。
<市長>
人口ビジョンの説明資料の一部において人口の自然増減を改善するための目標の記述が配慮に欠けるというご指摘につきましては、最終案策定の際には適切な表現にしたいと考えております。
(3)人口全体の7.6%と言われるLGBT(性的少数者)の人権に対する市長の認識を聞く。
<市長>
私としましてはLGBTの方々の人権は当然尊重すべきであると考えております。
3.公民館単位の自治機能強化について
総合指針では「公民館を拠点とする絆の再構築」との項目の中に「公民館を単位とする住民自治機能の強化」を掲げている。ここでいう「自治機能の強化」とは地方自治法で規定された地域自治区の設置を視野に入れたものか。あるいは自治基本条例などの制定によって新たな自治の枠組みを設ける方針か。
<市長>住民自治機能についてでありますが、総合指針の指針1、だれもが活き活きと暮らせるまちの方向性3において公民館を拠点とする地域の絆の再構築を掲げており、具体的施策の一つに公民館を単位とする住民自治機能の強化をあげています。
これまで公民館は生涯学習など社会教育活動の推進の拠点と位置付け、様々な事業をおこなってまいりました。一方で人口減少や高齢化が進む中で、近年では地域福祉活動や健康増進事業、防災組織の拠点としても機能しておりますし、6年間にわたり指定管理業務を地域の皆様に担っていただいたことで、自分たちの地域は自分たちで良くしていこうという活動も活発化してまいりました。総合指針で掲げた公民館を拠点とした住民自治機能の強化は今後、さらにこうしたそれぞれの地域での活性化に向けた取り組みや地域の絆の再構築を推進していきたいという考え方を表したものであります。
4.共通番号(マイナンバー)制度について
(1)記載しなければ市として受理できない申請書類はあるか。
<総務課長>
マイナンバー制度についてお答えいたします。平成28年1月からは社会保障、税、災害対策の分野におきまして、申請書等に個人番号を記載することが必要となります。申請書等に個人番号が記載されていない場合は個人番号を記載することが各制度における法的な義務であることを説明し、記載していただくことをお願いすることといたしております。それでも記載を拒否された場合は、番号法等の規定に基づき、事務の担当者が住民基本台帳の端末を利用して個人番号を取得して事務を処理することとなります。
(2)市内の民間事業所のセキュリティ対策は万全か。
<総務課長>
民間事業者の対応等につきましては関係省庁等のホームページにおいて応報提供がおこなわれているほか、コールセンターも設置されておりますので、これらをご活用いただきながら準備を進めていただければと考えております。
5.珠洲焼について
(1)復元窯の完成後の利用状況、研究テーマとその成果、今後の課題、研究者間の交流について聞く。
<市長>
珠洲焼資料館の復元窯については会館20周年と珠洲焼の窯跡が国史跡に指定されたことを記念する事業の一環として平成23年に整備いたしました。この5年間の焼成回数は12回に及び、その都度、薪の種類や温度などの焼成条件を変えて窯の温度分布を計測するなど、実験データを蓄積しております。このことは中世珠洲焼の焼成技術の復元ということにとどまらず産業として中世珠洲の社会経済に与えた影響を推し量る歴史研究の糸口にもなるものであります。現在、中世窯業の復元研究に積極的に取り組んでいるのは他にも越前焼と備前焼があり、現在三地域の研究者と陶芸家の合同研究に向けた動きがございます。
(2)復元窯は一般来館者が珠洲焼の歴史や謎に触れる場でもあり、珠洲焼資料館の魅力アップにもつながるものと思うが、来館者に対して復元窯の存在はどのようにアピールされているか。
<市長>
復元窯は研究のための窯であると同時に珠洲焼への理解を促すための展示施設でもあります。単に形を復元するだけではなくて、実際に焼成することで生じる窯のひび割れや煤の汚れが見る人に深い印象を与える効果があると考えております。復元窯を整備したことはホームページや観光案内でも紹介いたしておりますが、今後、この窯での研究成果や焼成がいつ行われるかということについても周知を図ってまいりたいと考えております。
(3)珠洲焼の窯跡が「珠洲陶器窯跡」として国史跡に指定され7年が経過する。窯跡の整備活用は珠洲焼の歴史遺産としての価値を高め、歴史ファンの期待に応えるのみならず、現在の珠洲焼の魅力、ひいては商品価値を高めることにもつながる。窯跡の整備活用に向けた計画策定や事業化の見通しを聞く。
<市長>
国史跡珠洲陶器窯跡の整備活用につきましては、保存整備委員会を設置し、窯跡の現地視察等も実施しております。現在整備基本計画の取りまとめをおこなっているところであり、具体的な取り組みにつきましては計画策定後に検討してまいりたいと考えております。
北國新聞(12月9日)
(4)珠洲焼の振興には、陶工への支援・育成や販売体制の強化を担う陶芸センターや珠洲焼館だけでなく窯跡の整備活用の推進や資料館の魅力アップなど教育委員会が果たす役割も大きい。珠洲焼の過去、現在、未来を見据え、組織横断で課題を見極め、優先順位を判断できる司令塔的人材が不可欠だと思うが市長の所見を聞く。
<市長>
珠洲焼に関する今後の課題への対応につきましては司令塔的な組織の構築や人材の登用を図ることよりも、むしろ各課の連携をより一層密にし対応してまいりたいと考えております。
6.能登杜氏について
(1)能登杜氏組合に所属する杜氏75人の中で珠洲出身の杜氏、能登町出身の杜氏は何人か。またそれぞれ60歳以下の杜氏は何人か。
<産業振興課長>
能登杜氏組合に所属する杜氏は74名で、珠洲市出身者は14名、能登町出身者も14名となっております。一方60歳以下の杜氏は全体で59名、うち珠洲出身者が2名、能登町出身者が5名と、北野議員ご指摘の通り、減少してきておりますが、能登杜氏の技を継承した後継者が県外に多く活躍している状況にあります。
(2)全国的にはこれまでにない日本酒ブームで日本酒ルネッサンスとも言われるが、このままでは能登杜氏を輩出してきた珠洲市、能登町の出身者は減少の一途と思われる。元禄の時代から約300年もの歴史がある能登の酒造文化をどのように守り育てていくか、行政と杜氏組合、蔵元がさらに知恵を出しあっていくべきと思うがどうか。
<産業振興課長>
歴史ある能登の酒造文化を継承していくために行政として能登杜氏の皆さまのスキルアップを図るため、明治37年以来、111年にわたり行ってきた品評会や研修会をはじめ、後継者育成活動に対して珠洲市と能登町が共同して支援をおこなっているところであります。また、酒造りの魅力を広く伝えるため、映画「一献の系譜」の制作支援や今年5月に杜氏組合、蔵元が協力して開催された日本酒のマエストロ能登杜氏酒フェスティバルに対しても積極的な支援をおこなっております。今後も杜氏組合との連携を強化し、能登杜氏の技の高さと酒造りの魅力を発信し、後継者育成の取り組みを支援してまいりたいと考えております。
7.奥能登芸術祭について
(1)キリコ祭りを観光客向けのイベントの一つと捉えているかのような発言がディレクターから聞かれる。神事である祭り本来の意味を理解し、誇りを持っている人にとって、芸術祭は違和感のあるイベントと捉えられているように思うがどうか。
<企画財政課長>
奥能登国際芸術祭に関するご質問にお答えいたします。奥能登国際芸術祭につきましては本市の美しい豊かな里山里海の景観にあった芸術作品の制作や展示にとどまらず地域における生業や伝統文化などのもつ魅力をアートの力により再発見し、これらの地域資源を活かし、新たな価値を創出することにより、地域活性化につなげていくことを目的としております。その中で、我が国の文化、伝統を語るストーリーの一つとして文化庁の日本遺産にも認定された能登のキリコ祭りにつきましては地域の魅力として欠くことのできないものであることから本芸術祭の開催を契機として全国に向けて発信してまいりたいと考えております。2年後の本芸術祭の開催に向けてアーティストの決定や集落とのマッチングなど国際芸術祭そのものの開催に向けた取り組みが今後本格化していくことになりますが、こうした奥能登国際芸術祭の開催を通した祭り文化の発信につきましても市民の皆様にその趣旨を十分ご理解いただきことができるよう一層取り組んでまいりたいと考えております。
(2)料金を払って初対面の人の家で料理をいただくヨバレ体験ツアーは、本来のヨバレとは似ても似つかぬ食事ツアーに過ぎないとの声を聞く。祭りや食文化の源流を探るというコンセプトに反するように思うがどうか。
<企画財政課長>
こうした祭り体験に合わせ、本市の食の魅力を代表するヨバレ料理につきましても、現在、その提供方法などについて関係機関や大手旅行代理店とも連携しながら、様々なケースについて検討を重ねているところであります。国際芸術祭の開催を機に予想される多くの来訪者に、様々なケースに合わせて地域の食の魅力を伝えるため、場合によっては年間を通じて地域住民が地元の食材や料理でもてなすヨバレ食堂のような形も想定しながら、提供方法などについて引き続き模索してまいりたいと考えております。
(3)市教育振興基本計画は「祭りなどの民俗行事は、時代社会の変化とともに本来の意義が薄れ、観光イベント化しており、文化財としての価値を損じた例が全国的に見受けられます」とし、保護意識の高揚を訴えている。祭り本来の意義を踏まえた芸術祭でなければならないと思うがどうか。
<企画財政課長>
奥能登国際芸術祭の開催におきましては、地域が本来持っている魅力をアートの力によって再発見し、活用することを目的としているところであり、祭り文化の発信におきましても地域で受け継がれてきた伝統や特色など、祭り本来の魅力や意義を損なうことなくアピールすることができるよう今後も取り組んでまいりたいと考えております。
(4)地区によっては、祭り当日、祭りの担い手である子どもたちを学校から早く帰してもらえないかとの声がある。市教育振興基本計画では「児童生徒が参加しやすい環境づくり」を掲げているが、教育委員会としての見解を聞く。
<教育長>
祭礼における児童生徒が参加しやすい環境づくりについてでありますが、祭礼を含めた地域行事へ児童生徒が参加することは地域の連帯感や郷土愛を醸成するよい機会であり、各学校においては各学校の教育方針と地域の実情を鑑みて対応すべきと考えております。
8.教育行政について
(1)全校生徒数40人未満の大谷小中学校の開校は全県的に大きな注目を集めると思われる。珠洲の教育やまちづくりの姿勢への理解を広めるチャンスと考えるが、開校式など今後の対応を聞く。
<教育長>
大谷小中学校開校に向けてでありますが、小中合同で研修を重ね、すでに先行実施しております宝立小中学校のカリキュラムをモデルにしたキラリ英語科や歴史と伝統のある揚げ浜式製塩をベースにしたふるさと珠洲科の指導計画など、大谷小中学校ならではの教育課程編成にむけての準備を進めているところでございます。
今後につきましては3月中に落成式をおこない、4月1日、開校式を予定いたしております。
(2)平成20年にまとめられた「学校統合問題(今後の望ましい教育環境)に関する答申」に基づけば、次は三崎地区となるが、答申では当面連携型小中一貫校とする方針が示されている。「連携型」の具体的な連携の形を聞く。
<教育長>
連携型の具体的な形についてでありますが、現在、三崎地区において小中学校の教員が互いの授業を見合って指導方法の共通理解を図ったり、小中合同でノーメディアデーを設定し、家庭学習の習慣化に取り組んだりしております。今後は各教科における9年間を見通した系統性のあるカリキュラムの作成や、小中合同での授業研究を進めることで、児童生徒が新しい学習や生活をする上で円滑な接続ができるように取り組んでまいりたいと考えております。
(3)同じく答申では緑丘中学校校区の6小学校は当面できるだけ存続させる方針が記されている。文科省のガイドラインに示された小規模校のメリット最大化策では機動的な校外学習など地域に出る取り組み、デメリット緩和策としては合同授業や合同行事の実施などが掲げられている。校外へ出かけやすくするためにもマイクロバスなど移動手段の確保が重要になると思われるが対応を聞く。
<教育長>
合同授業や合同行事の実施にあたりましては、児童生徒が移動する方法もございますが、ICT機器を活用した双方向通信学習なども効果的ではないかと考えております。
(4)今後、複式授業がさらに増えると思われる。田中前教育長は複式授業のプラス効果を指摘し、奥能登教育事務所も次期学習指導要領で盛り込まれると言われるアクティブラーニングの観点から注目している。一方で保護者の間では不安視する声もあり、また教員の負担増も事実である。今後の珠洲の教育において避けては通れない複式授業についての新教育長の見解を聞く。
<教育長>
最後に複式学習への考え方についてでありますが、私も田中前教育長と同様にプラスの効果が多くあると考えております。保護者の方にとっては複式授業と言いますとご自分のお子さんに関わる時間が少ないと感じられる方がおいでるかもしれません。しかし、複式授業を円滑に進めるためには児童生徒自ら学習を進めていくことが大切であり、日々の授業を通して児童の主体性が培われています。学習の定着について一方的に話を聞くだけでは5%の定着率ですが、学んだことを他者に教えることで90%の定着率になるとも言われております。つまり主体的になればなるほど学習の定着が図れるということでございます。そのため次期学習指導要領ではグループディスカッションなど児童生徒の主体的な学習が重視されると言われており、複式授業において児童が自ら学び合いを進める学習方法についても一致するところでございます。また、教員の負担ということにつきましては授業においてICT機器の活用を進めることにおいて、教員の負担軽減を図っているところでございます。
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