ブログ仙岩

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大石邦子のエッセイ風のあとさき「海賊とよばれた男」を読んで

2013-07-03 09:59:49 | 日記
ある新聞の付録月刊雑誌エッセイスト大石邦子さんの「風のあとさき」147を読んだ。

 経済小説のジャンルに入る本は殆んど読んだことがない。それなのに、この凄まじいタイトルに幾らか腹を立てながら、百田尚樹著「海賊とよばれた男」を泣きながら読んだ。
 こんなに、涙に詰まりながら読んだ本は珍しい。「海賊」でもなんでもいい。著者の愛が、敢えてこの呼び名をタイトルにせずにはいられなかったのだと思う。・・・・・

 小説の主人公出光佐三さんが昭和44年1月10日大雪の竹田病院に見舞って下さった。
「クーちゃん、来たよ。もう大丈夫だよ」それが、84才の出光さんの第一声だった。・・・「僕もね、この50年精神的には随分苦労した。出光はいつ自殺するかって噂だったらしい。でも精神的なものは誤魔化しもきくが、クーちゃんは体だからね。でもね、いつか必ず、この苦しみが懐かしさに変わる時が来る。必ず来るよ」

 そのころ、私は出光さんの辿ってこられた筆舌に尽くし難い苦闘の歴史を、よくは知らなかった。
 米英メジャーに阻まれ、国内石油業界の排斥に阻まれ・・・と続く。

題名の海賊は第二章の青春にあり、特に涙するところは、第三章でイラン石油の命がけの買い付けで下巻の殆んどの頁を割いている。・・・