昨日の日曜日、黒石市の老人福祉センターで「ばっけ」の最終公演が行われた。それは、弘前のNTT演劇サークル”ばっけ”が、42年(施設との交流では40年)の歴史の幕を閉じる日でもあった。
舞台を終え、お土産を渡す(景風荘)
この日午前10時、私は最終の公演に向かうメンバーを弘前城の前にある彼らの拠点(NTT白銀ビル)で見送った。残念ながら午後の早い便で帰京する私は、彼らに同行しなかった。
金曜日、夕刻から「第19回 演劇の夕べ ボランティアの集い」と銘打たれた芝居が弘前文化センターで行われた。この会は、主催が弘前市ボランティア連絡協議会となっている。翌日は、黒石市の社会福祉法人「景楓荘」(老人ホーム)での公演であった。両日の公演を見せて貰った。
景楓荘 幕開きを待つ入所の老人
今年の出し物は「かも池」であった。一幕一場面の芝居、津軽の大沢村(架空)を舞台に起きる社会・経済・家族・地域の現象を題材にオリジナルの脚本で、津軽弁で語り演じる。
粗筋は「妻を亡くした献身的な農協組合長と、その一家。かも池と云う貯水池の決壊を心配し防ごうと、奔走する組合長。村長選挙に纏わる根も葉もない噂、家族の在り方と葛藤。池の決壊が起き、一致して立ち向かう人々。そして組合長の死・・・」こんな筋立ての中で、地域・家族・時代とあらゆるのが包含されている。
芝居のクライマックス 終演後の記念撮影
『十の笑いと一つの涙』が、芝居のコンセプトと云うのは、リーダでシナリも受け持つ川崎さんの話。そんな訳で、今回も泣かされましたよ・・・。川崎さんの術中にはまり、すっかり円熟をしたメンバーの芝居に突き動かされ、そしてフィナーレと云う事実・・・。
この芝居・このメンバーとの短かった交流が・・・と、まあ~目から・・・の二日、ニ公演。これ以上ここで、本当の最終公演は見ていられないと云う気持ちもあった。
全てNTTの社員やOB(高齢化でOBになっていく)達が準備・演じている。彼らとの交流が始まってから17年か・・・、40年の施設交流の歴史から思えば短い期間である。
とてもいい時間を過した、三日間であった。
「ばっけ」とは、津軽弁で”ふきのとう”のこと。ばっけが芽を出す春がサークルの活動期。それが、今年はあの大地震で延期となり今になった。今年は六ヶ所での公演、青森、弘前、五所川原、黒石であった。施設での交流回数は通算で203回、この他に地域からの要請で公演をすることもある。そんな活動実績に対して「厚生大臣表彰」「NTT社長表彰」他を受賞している。
それにしても、津軽は暑かった夏の陽射しであった。