このミニ鉄道、正しくは土佐黒潮鉄道「ごめん・なはり線」と云う。高知の東部を(室戸岬方面)走る第三セクターの単線鉄道である。
高知出身の漫画家「やなせたかし」氏のアンパン・マンをキャラクター・モチーフに利用しており駅ごとのキャラクターがある。
路線の始発駅「ごめん」は、古くは後免町であったが、現在は「南国市ごめん町」に、終着駅「なはり」は今も奈半利町で、奈半利川の河口に位置する町である。下の写真、車両ドア脇に描かれている始発駅「ごめん」と終着駅「なはり」の両キャラクタ-です。
この路線が開通して10年足らずか?計画は数十年前に遡り、架橋工事は一部完成し、その後長く据え置かれていた。忘れた頃に開通した。
総延長 40k程度か、土佐東部の沿岸を走る、風光明媚な路線だと思う。何と云っても、空と海・山の色が違う。
駅名も中々興味深い。私には、聞き慣れた名前だが、面白い地名が幾つかある。和食(わじき)とか、穴内(あなない)、唐浜(とうのはま)等である。
「穴内」駅表示板とキャラクタ
路線は高知駅まで乗り入れをしているので、ダイヤにより高知始発もある。また終着は奈半利駅だが、安芸駅(高知県東部の主要地)止まりもあるので要注意。
閑話休題:何年か前、相棒のヒロさんが私の生家へ来るのでネット検索で、安芸市の宿を予約した。当日になりレンタカーで宿の在る町探し走り廻った。幾ら探し、聞いても分からない。困り果て、遂に宿に電話を入れた。暫く話す内に判明した。ヒロさんは、広島県の安芸市の宿を予約していたのだ。無いはずだ、方やは瀬戸内を挟んだ向こうがわ、こっちは太平洋に面し、アメリカと向かい合っている。
こんな笑い話ならぬ、実話が身近なところで有った。「高知にも、安芸はあるぜよ」(これ土佐弁)
安芸は古い町で、長宗我部氏が土佐を平定する前、土佐の東部は安芸氏の勢力下であった。500年程前になるか、安芸国虎の時代に長宗我部に滅ぼされた。
余談だが、私の名前の祖先は、国虎の家老でこの戦いに敗れ、国虎の自刃の介錯をした後、殉死したと伝えられている。
その戦を分けた古戦場跡「矢流れ」坂の下、トンネルがあり電車は走る。矢流れの峠を越えると穴内駅、球場前(阪神キャンプ地)と続き安芸市街に入る。
矢流れ遠望 ドーム練習場:右が球場
始発のごめん駅に戻るが、駅を出て暫くすると、竜馬空港が近い日章、野市の駅。これをすぎて赤岡駅に着く。赤岡は、「ドロメ祭」で有名。ドロメとは、イワシの子、縮緬ジャコの生を指す。5月だと思うが、この赤岡の浜でドロメ祭が行われる。呼び物は、大酒飲み大会。一升入る大杯で飲むスピードを競うらしい?(私もTVでしかみていない)女性も大いに飲むらしい、一説には男性より強いとか。
また、此処には「絵金」のギャラリーがあったと思うが・・・。
この駅を出て、夜須・手結と列車(と云いたいが、一両編成)は進む。
手結には海水浴場があり子供の頃に行った記憶あり。それよりも、此処には土佐CC,黒潮CCの両ゴルフ倶楽部があり、ゴルファーのメッカ。春には女子のPRギヤ・トーナメント、そしてもうすぐ男子のカシオワールド・トーナメントが開催される。
そして、一番風光明媚な「琴が浜」の松並木に差し掛かる。丁度、お琴のように盛り上がった所が松林、方や砂浜と青い海、此方は田園が続く中を走る。
遥か右上 :土佐CCクラブハウス
此処を過ぎて矢流れの古戦場下をトンネルが抜け、安芸の海が見えてくる。浜と海、空の色とのコントラストに目を瞠るのだ。穴内・球場前とすぎて安芸駅に着く。
一度は乗って見るべし! 車内の路線図
安芸市は高知県東部最大の市(街)では或るが、何処の地方都市と変わらず、凋落の一途である事は間違いない。人口減少、税収不足、仕事不足で今や映画館すら無い。かって、この街の映画館で、故人となった俳優「川谷拓郎」は手伝いをし、映画人への夢を膨らませたのだ。野良時計で知られる「土井」、「てまいら酢」の里、入河内は安芸市となる。
安芸を過ぎ、下山・唐浜とつづき清流の町「安田駅」に着く。何度かBLOGでも取り上げた鮎がこの川で捕れる。無人駅は、町の外れに在る。駅の上から山側を見ると、田園が広がり、この上流5Kの処に私の生家が在る。
更に上流に行くと柚子ドリンク「ごっくん馬路村」で有名になった馬路村に至る。
安田には、銘酒「土佐鶴」「南」を産する醸造元が二つ。旨い酒、旨い鮎、最近は米も芳。農産物では、促成栽培の茄子・胡瓜・オクラ・茗荷、自然薯が特産。
この旨い地に、町がスポンサードするレストランが出来た。此処から見る海もまた良し。
安田駅より上流を望む レストランより室戸方面を望む