今回は,授業中の攻略法の中でも,「学力の低い子」について考えてみたいと思います。
一般的に,学習は
「理解する」→「表現・処理する」→「応用する」
といった流れで行われるものと,とらえられています。
子ども側に立った表現に直すと,
「わかる」→「できる」→「つかえる」
といった感じでしょうか。
例えば,算数「三角形の面積の求め方」について当てはめてみると,
「わかる」
→三角形の面積は,その形を2つつなげた平行四辺形の面積を半分にしたものになるから,公式は「底辺×高さ÷2」となる。
「できる」
→その公式から,「底辺が4cm・高さ5cm」の三角形の面積を「10平方センチメートル」と導くことができる。
「つかえる」
→その公式を使って,いろんな形の三角形の面積を求めたり,それを他の問題に応用することができる。
といった具合です。
そこで,先生は授業を組み立てる際に,まず当然のごとく「わかる」場面から入ります。
子どもたちに考えさせたり,先生が教えたりして,なんとか「わからせよう」とします。
そして,子どもたちが三角形の面積について意味理解できた時点で,次の「できる」場面へと進もうとするのですが…
いわゆる「学力の低い子」は,すでにつまづいています。
だって,最初の「わかる」場面が,この子たちにとっては難しすぎるからです。
どんなに上手に先生が説明しても,どんなに周りの子が上手に説明しても,わからない子にとっては,わからないのです。
そこで,
「わかる」でなく,「できる」から入る!
それが,効果的なこともあります。
要するに,「意味は分かっていなくても,問題は解ける」という子も少なくはないのです。
三角形の面積が,なぜ「底辺×高さ÷2」なのかはわからない。
でも,その公式を使って三角形の面積を求めることはできる。
そういうことです。
特に,学力の低い子には,初期の段階でこういう現象がよく見られます。
一見矛盾しているようにも感じますが,それが実際です。
先生としては,「これじゃいけない」と,必死に「わかる」場面へと戻って,繰り返ししてしまいそうになりますが,とりあえず「できる」ことで,いいのではないでしょうか。
なぜなら,「できる」ことが,その子たちにとっては楽しいからです。
算数が得意でない子たちにとっても,「おれ,三角形の面積求めらるよ!」という喜びを感じることができます。
それがスタートになることは,とても意味のあることだと思います。
じゃあ,「わかる」場面の授業は省略していいのか。
いえいえ,やっぱりそうはいきません。
一般的な流れと変わってしまうけど,こういった学力の低い子たちに対しては,
「できる」→「わかる」→「つかえる」 や,
「できる」→「つかえる」→「わかる」
といった流れの方が,合っていることもあり,授業は転換するのです。
繰り返し問題を解いていると,そのあとから意味が分かってくる。
繰り返し問題を解いたあとだと,先生や友だちの説明が理解できる。
そういったものです。
教科書を少し後ろから授業することになりますが,柔軟に,こういった子たちの側に立って授業を組み立てるということができるといいですね。