先生がいきなり「はい,それでは教科書38ページを開いて~」
なんて,授業のスタートと同時に指示を出す光景。
いかにも学校という感じですが,これは実際は高校,もしくは中学校まででしょうか。
小学校では,こんな感じで授業をスタートし,問題を出す授業は,ほぼありませんね。
「ありません」というより,授業が上手な先生はこんなことはあまり言わないはずです。
だって,小学生はこんな指示にサッと反応してきちんと教科書を開き,意欲をもって,集中してその問題に取り組む,なんてことは難しいからです。
問題の出し方にしてもそう。
1年生算数。
教科書通りに「ひろしさんがクッキーを9こ,あきこさんが12こたべました。どちらがなんこおおくたべたでしょうか。」
という問題があったとすると,これをこのまま子どもたちに出すと,子どもたちの側からすると,食いつきはイマイチ。
だって,
(ひろしさんってだれ?)
(クッキー,いいなぁ)
問題自体が,興味をもてる内容ではないのは確かですよね。
それでも,授業で先生が出す問題だから,取り組みはしますが,やはりこのときに意欲をもって取り組んでいるか,そうでないかは,重要なことだと思います。
自発的に考えるか,学力として定着するか,そういった重要なことに影響してくるはずです。
だから,こういったいつもの問題の出し方にも一工夫。
問題は,子どもたちに解く必要性を感じさせる内容や,ワクワクする内容にして出してあげる!
授業がうまい先生はこんなこともしますよね。
上の問題に置き換えてみると,
~解く必要性を感じさせる内容に~
「ひろしさんがクッキーを9こ,あきこさんが12こたべました。???????」
先生「この?のところには,なんて書いてあると思う?」
ゆうた「のこりはなんこ!!そしてひきざんだよ!」
みよ「あわせてなんこ!!たしざんだよ!」
子どもたちは,これまでに学習してきたことを当てはめようとします。
先生「違います!実は…ジャーン!『どちらがなんこおおくたべたでしょうか。』と,かいてあります。」
子どもたち「・・・・・ なにこれ!」
始めてみるからポカーンです。この表情がいい。
そして「初めてだよね!これどうやって解くのかな?」と,子どもたちはこの問題に挑戦したくなるでしょう。解けるようになる必要性を感じます。
~ワクワクする内容に~
先生「昨日ね,実は先生,奥さんとけんかしちゃったんだ。」
子どもたち「え~!なんで?」
先生「クッキー大食い競争したの。」
子どもたち「ははははは!」
先生「それでね。先生が9こ食べて,奥さんが12こ食べたの。」
子どもたち「奥さんの勝ち!」
先生「えぇ!?そうかな?先生もたくさん食べたんだよ!食べ終わってさ,どっちが何個たくさん食べたか分からなくなってさ,けんかになっちゃったんだよ。」
そして「みんな,解決してくれないかい?」子どもたちは喜んで問題を解こうとしそうですね。結果が出ることにワクワクしそうですから。
基本的に,子どもたちは身近な話題が大好きです。
上の二つの例は,1年生の算数ですから,他の学年,他の教科においても,発達段階に応じて,問題の出し方を工夫することはできるはずです。
先に述べたとおり,自発的に考えようとするか,学力の定着につながるかという,重要なところに影響してくるように思います。
※教科書の問題に出てくる対象物や数字というのは,かなり緻密に考慮された上で出てきています。だから,問題の内容を変える際に,大幅に変えすぎて本質がずれることのないように気をつけましょう!