忘れ物対策のために,できるだけの指導を繰り返し,忘れ物に関するクラスのシステムもつくってきました。
しかし,依然クラスには忘れ物をする子が続きます。
ぽつ,ぽつといろんな子が忘れ物をすることもあるし,特定の子が続けてすることもあります。
毎日のように,忘れ物指導が続きます。
そのうちに…
先生もイライラしてきました!
いくら手短な指導,子ども相互によるアドバイスを心掛けていても,さすがに頭に血が上ってきました。
こりゃあ,奥の手を使うしかない!
「今日から忘れ物のグラフをつけます!多い日には罰の宿題です!!」
「みんなの名簿をはって,忘れ物をした回数のシールを貼っていきましょう!授業参観で保護者の方に見てもらいます!」
「忘れ物をだれもしない日が何日続くかチャレンジしましょう!30日続いたらパーティーです!」
いやいやいや… それは絶対にしてはいけないことだと思います。
センスが悪いです。
忘れ物をそんな風に取り扱っているクラスは,質の低いクラスと言えるように感じます。
それはイライラしたくない先生のためであって,子どものためにはならないことです。
忘れ物。学校に永遠に続く産物。
基本,こうです。
忘れ物は,必ずあるもの!なくなりはしない!
という認識を教師がもったほうがいいでしょう。
「そりゃあ,忘れ物はしますよ。一日の授業に向けて持ってこないといけないものはたくさんあるわけだし,子どももなかなか忙しかったりします。学校だけじゃない子も増えてますからね。ましてや,クラスには30人の子がいます。だれか1・2人くらいは,必ずといっていいほど,忘れ物はありますよ。」
私が,私にするようになったなぐさめ言葉です。
まさしく,その通りではないでしょうか。
だから,基本として,忘れ物をする子にイライラしたり,その指導に熱くなりすぎるのは,的が外れていると思いましょう。
その必要はありません。
ただ,「忘れ物はあるもの」と頭では理解しているつもりではあっても,あまりに状況がひどくなると,感情が噴き出してしまいそうになります。
そんなときこそ,この基本にもう一度立ち返りましょう。
忘れ物をした子は,そのために困ることがある。
単に,それを経験させることにも意味があるはずです。
そして,冷静に,自分の学級経営,忘れ物指導の進め方を振り返ってみることです。
もちろん,忘れ物の指導に手を抜いていいというわけではありません。
少しずつでもその改善をねらって,担任として指導を継続していく必要はあります。それは間違いありません。
ただ,ちょっと楽しむくらいのつもりで,わずかな遊び心をもつくらいのつもりで,次の忘れ物指導の工夫をしてみる。そのくらいがいいでしょう。
また,忘れ物をした子ばかりが目についてしまうときは,逆に普通に忘れ物をしていない子(そちらの方が断然多いはずですが)に目を向けてあげましょう。
そして,忘れ物がないことをほめてあげましょう。
そうすることでイライラもしないし,意外と,それが何よりの忘れ物防止のための攻略法だったりするかもしれません。