何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

愛情ホルモン&「快」感覚

2016-11-25 21:55:05 | ひとりごと
ワンコ 18歳の誕生日 おめでとう

ワンコは犬みしりが強かったから心配していたんだけれど、天上界に友達がたくさんできたのかな?
最近、こっちはすっかり御見限りだなと寂しかったんだよ ワンコ

毎年、誕生日の前にはワンコ実家両親に御挨拶に行ってたろう? ワンコ
今年も御挨拶に伺って、「最近ワンコが遊びに来てくれない」なんて愚痴ったものだから、ワンコ実家母さんに叱られちゃったよ ワンコ
「寂しがってばかりでなく、楽しかったことを笑って思い出してあげなさい。ワンコは家族が喜んでいるのを、一番喜んだでしょう」って。
「分かってはいても、なかなか気持ちが前に向かないのさ」と思っていると、何か視線を感じたんだよ ワンコ

ワンコ実家母さんの後ろから、じっとワンコがこっちを見つめてる! そう感じたんだよ ワンコ

そのわんこは、たくさん並んでいるゲージの一つにいたんだよ
少し小首を傾げて、心配そうな顔をして、私の顔を見るわんこ
話しかけると、耳をピコピコと動かし「聞いてる!」アピールするわんこ
柴の雄としては、かなり珍しい座り方をしているわんこ (我が家で’’よよよ座り’’と名付けていたアレだよ ワンコ)
そのわんこの仕草が、あまりにワンコに似ているので驚いたのだけど、あの時ワンコは、きっとそこにいたんだな
「元気だせ」って言いたかったんだな
だから、自分の誕生日を明るく祝うために天上界から自分の好物を送り届けたんだな ワンコ
いつもなら年末に「お歳暮」として届く例の松葉ガニが、何故か今年は、ワンコ天上界忌とワンコ誕生日の中日に届いたんだよ ワンコの仕業だろう?
ワンコはカニが大好きだけど、消化に良くないという理由で少ししかもらえないって、いつも拗ねていたね ワンコ
だから、毎年「待ちぼーけー待ちぼーけー」っ歌いながら、誰かが落とすのを期待して食卓テーブルの周りを練り歩いていたね
今年はワンコにお裾分けできないのが寂しかったけれど、お裾分けに与ろうと必死なワンコの可愛い仕草をあれこれ思いだし、なんだか久しぶりに楽しい夕食だったよ ワンコ
ワンコ ワンコマジックを使ってくれたんだろう?

何しろ、犬は人間と物理的に感情を共有できるんだからね ワンコ
そんなことは、犬と暮らしている人には判り切ったことだけど、科学的に証明されたんだってさ ワンコ
(参照、<本当のところ、犬は人間の事をどう思っているのか?2016年11月14日配信>ここをクリック!

最新の研究は、他にも嬉しいことも言っていたよ ワンコ
犬は、同族の犬と一緒にいるより 人間の家族と一緒にいる方が幸せだと感じるんだって ワンコ
犬は、たとえ親犬であれ犬とはアイコンタクトをとらないのだけど、人間の家族とならアイコンタクトをとるんだって ワンコ
そんな研究を、米エモリー大学の動物認知学者が最新の脳撮像技術を使って証明してくれたんだって ワンコ
それらは、ハンガリーのエトヴェシュ・ローランド大学が行った犬の神経撮像研究の成果とも一致しているんだって ワンコ
犬は人間家族が大好きで、家族の匂いを嗅ぐと「快」感覚が得られるっていう研究は本当に嬉しかったよ ワンコ
だって、人間が犬から愛情ホルモンを受け取り、心身共に健康になることは既に科学的に証明されているけど(ペットを飼うと健康になるらしい!!)、※その逆は発表されていなかったから、ワンコにばかり負担をかけているんじゃないかと心配していたんだよ ワンコ 
だから、ワンコも私達といて幸せを感じてくれていたのなら、私達は本当に嬉しいよ ワンコ

でも、この研究は少し不備があるんだよ ワンコ
世界でも権威のあるドイツのマックスプランク研究所が、犬がどれくらいの数の言葉を覚えられるかの実験をしたのだけれど、「200語」と発表しているんだよ、それをスゴイって言ってるんだよ
そんなのウソだよね ワンコ
ワンコはもっともっと言葉を理解していたね しっかり理解して、自分で判断して・・・・・
耳をピッピと振って「聞いた」ことだけは知らせながら、必要ないと判断した内容には無視を決め込んでいたね ワンコ

そんなワンコだから、今は私達に笑顔のプレゼントが必要だって判断してくれたんだろう?
だから「楽しいワンコ誕生日にしてやろう、しんみりしない天上界忌にしてやろう」って考えて、カニを届けてくれたんだろう ワンコ

ワンコの優しい気持ちをお腹いっぱいに受け留めて、ワンコのいない淋しい冬をなんとか元気に迎えるよ ワンコ
心配しないでおくれ ワンコ
でも時々、しょっちゅう帰ってきておくれ ワンコ

追記 ※について
私って相変わらずバカだな ワンコ
人と犬との愛情ホルモンについて、去年自分で書いてるよ 「犬と人の愛情物語」
今、読売・毎日の当該記事が消えているから正確なことは分からないけれど、両新聞はどちらかと云えば、人の受ける恩恵に力点を置いていたし、それも心理的効能に注目していたと記憶しているんだよ
まだまだ私の読解力は未熟だな 反省するよ ワンコ
ところで、ワンコ アイコンタクトとか触れ合いで犬も愛情ホルモンがでるのなら・・・ 
私と見つめ合う事とかベタベタ触られる事とか、健康に役立ってたかい? ワンコ
<愛犬との幸せ「愛情ホルモン」が増加する! 2016年08月31日配信> ここをクリック!

プロが辿り着いた答え

2016-11-25 21:54:05 | 
「七転び八起きならぬナナフシ」 「名花が志す名もなき花」より

先日11月22日の福島沖の地震がなければ、少しばかり冗長的で中途半端な話だったという印象だけで終わったのかもしれないが、早朝からラジオが様々な言語で’’フクシマ’’と叫び、テレビ画面が真っ赤な文字で「津波 逃げて」と表示しているのを見たとき、「リーチ先生」(原田マハ)のある場面が蘇ってきたのだ。

それは、関東大震災で東京中が廃墟となったことを、イギリスのリーチ先生やカメちゃんに知らせる柳宗悦の手紙の一文にある。(『 』「リーチ先生」より)
『災害後のこのような非常時に、芸術がなんの役に立つのかと、自分も、芸術家たちも、当初は落ち込んだ。
 しかし、こんなときだからこそ、すさんだ人の心を豊かにする芸術が必要なのではないかと、思い直した』

この思いこそ、災害が頻発する日本で芸術論をを中心とした作家活動をする原田氏の躊躇いではないか、そして答えではないかと、思い至ったのだ。

地震で家屋を壊され、津波に家が流され、土砂に家を潰され、災害で大切な家族や友人を喪うという経験をする人が次々と増えていく、日本。
誰しも、自分に何ができるのか悩むが、芸術に携わる人のそれは、悩みとして深いものがあるのかもしれない。
だが、そのような時こそ、人の心を豊かにするものが必要でありそれが芸術だと、柳宗悦氏の手紙を借りて原田氏が訴えているような気がしたのだ。
そして、それはキュレーターでもある原田氏の叫びではないかと思った時、「ナナフシ」幸田真音氏が力点をおいたことも別にあったのだはないかと思い直したのだ。

幸田氏は、米国系銀行や証券会社で債券ディーラーや大手金融法人を相手に外国債券セールスを手掛けていたという。
ブラックマンデーも日本のバブルもその崩壊も、おそらく第一線で経験された幸田氏が、作家生活に入った後には、山一・拓銀・長銀などの経営破綻が続いたが、日本には、まだ「財務省」と看板を掛け替え財政規律に取り組む体力が残っていたのではないだろうか。この時期の作品には、市場の恐ろしさや厳しい現実が書かれてはいるものの、そこに希望のようなものが示されていたようにも感じられるのだ。
だが、思えばリーマンショック前後から、その作風に変化が生じていたように思われる。
そうであれば、三年前2013年に出版された「天佑なり 高橋是清・百年前の日本国債」は我々への警告であり、「ナナフシ」は金融マンだった作者の一つの答えなのかもしれない。 (参照、「繋がっている歴史から学ぶ」

「ナナフシ」には、主人公が再就職した外資系金融機関が再度破綻する場面があるが、そこから立ち上がる主人公が「人生と金との向き合い方」について語る場面がある。(『 』「ナナフシ」より)
『金を忌み嫌い、極端に避けていた時期もあった。だが、そうしながらも、金を恃むしかない人間社会がある。嫌悪しながらも、必要性が身に沁みる。金に翻弄されないためには、金の怖さから逃げずに対峙することだ。金さえあればなんでもできると傲慢になることも、金には懲りたと背を向けるのも間違いだろう。金は汚いと批判しても、金がなければ人を救うことも出来ないのだから。
ならば、人生と金が上手く折り合いを見つけられるように、正しい助言をし、手助けをする商売があってもいいはずだ。そんな深尾社長の信念に寄り添い、新生ラインハルトは力強く甦った』

もちろん読者としては、『人生と金が上手く折り合いを見つけられるよう』な正しい助言と手助けの’’内容’’こそを掘り下げて書いて欲しいと思うので、それがない作品には物足りなさも感じてしまう。
だが、日常生活とは切り離された空間で巨万の富を操る人を描いてきた作者が、金融のプロとは何かと試行錯誤した結果に辿り着いた答えが、「金を忌み嫌うでなく拝金主義に走るでなく、人生と金が上手く折り合いをつけられるよう正しいアドバイスすること」だったのではないかと感じたとき、「ナナフシ」への私の印象は大きく変わったのだ。

ともに専門的知識を要する職歴をもつ作家である、原田マハ氏と幸田真音氏。
芸術の素晴らしさ、金の流れを熟知する一方で、その虚しさと人を狂わせうる恐ろしさも知り尽くしている、二人の作家。
この二人が辿り着いた答えが素朴なものであったために、読解力が足りない私は一読では理解できなかったのかもしれないが、今はやはり好きな作家さんだと確信し、次作を心待ちにしている。