This Is The Moment/Kenny Dorham
(Riverside RLP12-275 jp.reissue)
他の趣味が忙しく、ゆっくりジャズを聴いている時間もあまりない昨今ですが、今朝は久しぶりにアンプの電源を入れてみました。電源自体を投入するのも何か久しぶりです。ジャズプレイヤーの唄は、独特の味わいがあって人気盤になっているケースは多々あるのはご承知のとおりです。サッチモにはじまりバディ・リッチ、チェット・ベイカー、ピーターソンなど人気盤のケースも多いですが、ボーカルが冴えないのに珍盤として知られるアルバムもありますよね。本日アップの"This Is The Moment"もそんな一枚ですよね。
ここでボーカルを務めるドーハムは独特の音色のラッパで人気が高いトランぺッターですよね。個人的にも贔屓のプレイヤーで"Quiet Kenny"をはじめターンテーブルに載る機会の多いプレイヤーです。所有するドーハムのアルバムの中でも最も利いていない一枚がこれです。決して上手くないボーカルで大真面目にやってしまったところが好感が持てますね。カバーの写真をみると気合いの入り方が何となくわかって微笑ましいですよね。リバーサイドのオリン・キープニュースはチェットのヴォーカル盤も製作しており「2匹目のドジョウ」を狙ったのかもしれないですが、2作目はなかった。それで珍盤として価値が出たという事らしいですね。ライナーをみるとある廃盤店で40000円の値段がついていたと言うから凄いですね。サイドメンとしてカーティス・フラー、シダー・ウォルトン、サム・ジョーンズ。チャーリー・パーシップがクレジットされており間奏部の演奏は58年という時代を反映して絶頂期のプレイが楽しめるのは救いです。冒頭の枯葉でカクッとなる事間違いなしですが、朴訥なアイリメンバークリフォード、ブルースフィーリングがいい"Since I Fell For You "、慣れて来たB面の"Angel Eyes"~"Where Are You"~"Golden Earrings"のバラード群が良くなって来るからふしぎなものですね。やはり途中のプレイが冴えているからなのかも知れません。
所有盤はビクターがリリースした国内盤再発です。オリジは超高価ですが、この歌唱に諭吉を何枚も投入する気にはならない筈です。このボーカルを聴いた後で、シナトラなど絶対に聴かないように‥…。