Unfogettable!/Mari Nakamoto
(Three Blind Mice 15PJ-1025, reissue)
毎度言うようにスリーブラインドマイスは日本のジャズ史を語る上では避けて通れない優秀なレーベルであったと言えるとモモいます。若手のプレイヤー,シンガーに注目し次々と送り出したアーチストがことごとくビッグネームになって行った事実を考えるとこのレーベルの果たした役割の大きさを否定的に語る方はなかなかおられないのではと想像します。女性ボーカルについても笠井紀美子,戸谷重子につづいて紹介されたのが本日アップの中本マリです。
録音は73年、この時点でサイドを固める伴奏陣がどれだけビッグネームであったかは知る由もないですが,大沢保郎(p)、稲葉国光(b),小原哲次郎(ds),横内章次(g),宮沢昭(ts,fl)というメンバーは、今となってはいずれも押しも押されぬ我が国を代表するプレイヤー達ですよね。この新人歌手にこのメンバーをぶつけたおかげで中本のグルービーなフィーリングが最大限に引き出されているのがわかりますね。特に,宮沢のテナー,横章のギター、大沢のピアノの素晴らしさは格別です。中本のハスキーボイスもさることながら,”Please Send Me Someone To Love"等に聴かれるグルービーなボーカルは「これがほんとに初リーダー盤か!?」と思わせる出来ではないでしょうか。A-1の"Time After Time"、オーラスの”After You've Gone"のジャジー味わいも捨て難い一枚です。
所有盤はTBMのフォノグラムからの再発廉価盤ですが録音も良いし,全員の乗りに乗ったプレイとボーカルが楽しめる好アルバムです。初リーダー盤にして中本の最高傑作と言っても良い内容だと思います。個人的にも地元にライブい来た時にいただいたサイン入りの思い出深い一枚でもありますね。