田舎主婦の日日是好日

今日も生きてることに感謝かな。

本『神々の乱心』松本清張

2021年06月30日 | 趣味・本

松本清張さんの本って何十年ぶりではないだろうか。

と言っても、

読んだのは『砂の器』1冊だけですけれど、

ブロ友さんのご紹介で読んでみることに。

最初から物語に引き込まれました。

 

小説って、

こういうふうに書いていくのかと思ったくらいです。

 

小説を書きたいなんて思ったことは、

一度として無いのですが、

話の組み立て方が良いせいか、

ぐんぐん引き込まれました。

 

月辰会という新興宗教団体に出入りした、

宮中女官の話から始まるのですが、

満州国のことなども同時に描かれてます。

(満州国は1932年から1945年の間、満州に存在した国家)

 

古事記や卑弥呼まで登場し、

卜占、霊媒、御神籤の「神言」に、

大麻だ青麻だ阿片だのと、

何だか、

怪しげなニオイの中に引っ張られたかと思うと、

男女の睦ごとにまで遭遇で、

読者を飽きさせない展開なのです。

 

ですが、

この本は、

松本清張さん最後の作品で未完とあります。

(清張さんは1992年没)

 

上下巻の中だけで4人殺されてますが、

最終章部分は、

読者が推理していかなくてはなりません。

 

たぶんですが、

教祖の実質的妻の斎王(台)は、

斎女である実の娘に嫉妬して殺してしまうのでは?

 

内偵のために入った若い神主も、

新興宗教の教祖(平田)にとっては邪魔者となり、

消されてしまうのでは?

 

過度の野望や、

極端な嫉妬は恐ろしいものですね。

 

なお未完とはいえ、

清張さんは、

編集者に最終部分は語っていたようです。

 

御所で大暴れして、

皇宮警察に取り押さえられる。

やがて来る平田の死。

月辰会は壊滅へと向かう。

 

ところで、

この本の中にもある「不敬罪」というのは、

明治13年に規定されたようですが、

昔だったら、

こんな小説を書いたならば、

清張さんご自身が危なかったんではないでしょうか。

(*^^*)

 

不敬罪(ふけいざい)は、

国王や皇帝などの君主・王族・皇族の一族と宗教・聖地・墳墓などに対し、

名誉や尊厳を害するなど、

不敬とされる行為の実行により成立する犯罪。

日本国内においては、

1947年(昭和22年)の刑法改正により、

天皇・皇后および皇族に対する不敬罪は廃止された。

 

社会派推理小説を書かれた、

清張さんの本。

堪能しました。

 

 

 

コメント (18)
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