風を紡いで

旅の記録と料理、暮らしの中で感じた事などを綴っています。自然の恵みに感謝しながら…。

いのち支える水

2009年08月23日 | アート(本 美術 映画 音楽etc)
実在した女性、長今(ジャングム)の波乱に満ちた生涯を描く韓国ドラマ。
私が韓国の映画に興味を抱くようになったきっかけになったドラマです。
「ホジュン」を制作したイ・ビョンフン監督の作品です。
日本のドラマでは、チャングムと呼んでいましたよね。

ドラマが文庫本になったのが「大長今(テジャングム)」。
ジャングムが本当ですが、この本でもチャングムになっています。
上・中・下の3巻あり、やっと上が読み終わりました。

実在したホジュンの資料集め、研究から、
ドラマ「チャングムの誓い」が誕生したというから面白いですね。

野上弥生子の小説「森」と並行して読んでいます。
こちらは読み始めたばかりですが、興味を引かれます。
幕末から明治30年にかけての、女性の自立の物語です。

脱線してしまいましたが、共通するところがありそう。

話を戻します。
「大長今」の中で最初に出てくるところです。
心に響いた言葉だったので引用してみます。
チャングムがセンガクン(女官になる女の子)になれるかどうかという場面。

ハン尚宮がチャングムに問題を出します。「水を持ってきなさい」と。
チャングムは、何日も何日も水を運びますが…。
なかなかいいと言われません。


「はい!下腹は冷えていないか、のどは痛くないか、ひとつひとつ聞いた上で、
ある時は冷たい水をある時はさ湯を、そして甘い水をくださることもありました」

「そう、ひとつひとつ聞くこと。
お前に水を汲んでくるように言ったのは、それを分かってほしかったからよ。
料理を作る前に、食べる人の体の状態や好き嫌い、体が受けつける物と受けつけない物、
そのすべてを考える心、それが料理だということを言いたかったの。
でもお前は、お母さんからすでにそれを教わっていたのだね。
お前のお母さんはとても立派な方だわ」

水も器に入れれば料理になり、その瞬間、飲む人に対する気遣いが一番だということ…。
料理は人に対する心だということ…。

チャングムは、亡き母からの教えを思い出したのです。
ハン尚宮にたずね、喉が痛いということを知ったチャングム。
塩を入れた水を差し出します。
「ゆっくり食べるように飲んでください」と。

そして、チャングムは無事センガクンになることができたのです。


「ホジュン」にも水の大切さが何度も出てきます。
30種以上の水について、説いています。
こちらもまた興味深いです。

日本のスーパーや百貨店、専門店にはたくさんの種類の水が売っています。

私が高校生のころは、日本で水は買うものではありませんでした。
でも、英語の授業で、フランスやドイツでは水は高価なもので、
ビールやワインを水替わりに飲むという、先生の言葉に驚いたものです。

「水を買う」という感覚がどうもしっくりといかず…
「水は買うものではない」以前はそう思っていました。
買うのに抵抗があったのですが…。

ところがどうでしょう。
今では、抵抗なく買っています。

人間の体は赤ちゃんの時で80パーセント、
大人で60パーセントが水でできています。
どんな水を飲み続けるかで、
寿命も違ってくるのは当然なのかもしれません。

そう考えると、環境保全の重要性がよくわかります。
水を貯え、空気を浄化する森を、もっと大事にしていかないと…。

地球温暖化などいろいろ問題もありますが…。
利便性を追うばかりでなく、少しぐらい不便でも…
そんな暮らしに少しずつ変えていけたらと思っています。


 ブログランキング・にほんブログ村へ