「キャスティング・ボート」という言葉があります。ときおり「キャスティング・ボード」と間違う人がいますが、英語表記では「casting vote」ですので、「キャスティング・ボート」が正解です。
本来の意味は、「議会で賛否同数になった場合に議長が投じる(casting)最後の一票(vote)」ですが、もっぱら互いに過半数の議席を持っていない第一党と第二党の意思が異なった場合、第三党以下の党がどちらの肩を持つかで議決が決まる、そんな決定権のことをキャスティング・ボートと呼んでいます。
先月末の総選挙前、衆議院では圧倒的多数でありながらも参議院では過半数の議席を持っていなかった自民党は、参議院の議決を覆すことができる衆議院の議席の2/3を獲得するため、公明党と連立を組みました。
その結果どうなったか。自民党の総理総裁の人徳の多寡
によるところもあったと思いますが、「理念無き政権運営」に終始した、と私は思っています。
一時期、街角のあちこちで見られた公明党のポスター、「それ、総理にかけあってみます」というキャッチコピーがデカデカと書かれたポスターには、かなり怒りを覚えました
。
支持率がたかだか2%、衆議院での議席数が6%に過ぎない公明党が、その意思を国政に反映させていく…。議会制民主主義の下ではどうしようもないことと理解しつつも、私の心の奥底では「おかしい。変だ。」という声が響いていました。

民主党は、先日の総選挙での圧勝で、ついに政権を手に入れました。
ところが、衆議院で定数480議席に対して308議席と過半数を遙かに超える多数を確保したものの「定数の2/3以上」には12議席足りませんし、参議院では定数242議席に対して110議席と過半数にも12議席足りません(衆参両院とも12議席足りないのは偶然でしょう)。ですから、「何が何でも
」思い通りの法案・予算を成立させるためには、どうしても少数議席を持っている他党を引き入れる必要があります。
そこまでは理解できます。ですが、連立与党として組む相手が、社民党と国民新党だというのには、かなりのけぞりました
。ましてや、社民党と国民新党を内閣に加えるとは…
案の上、金融・郵政担当大臣に就任した亀井静香国民新党代表は、常識外れの政策を打ち出すは、反論した民主党議員(っつうより大臣)に噛みつくはで、大暴れ
です。
ありゃ。亀井大臣の写真を載っけるつもりが、ちょっと違う(けど、だいぶ似てる
)写真も載っけてしまったような…
。
冗談はさておき、このままだと亀井大臣の言動で、閣内不一致との批判や世論の離反は必至だと思います。私としては、亀井大臣には早々にご退出いただきたい気分。
とりあえず、来年の参院選まではこのまま行くとしても、参院選の結果、参議院でも単独過半数を獲得できたら社民党・国民新党との連立は破棄するべきだし、仮に他党と連立を組むならば、みんなの党(名前はおちゃらけ系ですが、主張もメンバーもかなりまともだと思います)と連立を組むべきだと思います。
将来ある日本のためには、亀井大臣が民主党の「獅子身中の亀」になりませんように、と願っています。