ジャン・グルニエ(1898年~1971年)はパリに生まれる。美学者、哲学者。
「孤島・1991年改訳新版・井上究一郎訳・筑摩叢書」
「オルフォイスへのソネット 第一部・3」について、ここ数日に渡って、さまざまなことを考え、また教えていただきました。特に「神殿」というものについて・・・・・・そこで、過去に書いたメモを思い出して、探し出してきました。ううむ。やはりメモは大事かもしれない。また書棚に本を戻してしまえば、どのページだったかを探さなければならない。この下記の引用文に、付記してある我が思いはあまりにも拙く、とても公表できるものではありませんが、引用文だけここに紹介いたします。『 』内の太字部分が「孤島」からの引用です。こうして過去に読んだ本と今読んでいる本とが、繋がってゆく幸福を思います。
神にはそれができる。しかし告げたまえ、どうして
人はその狭い竪琴を通って神に従ってゆけよう?
人の心は分裂なのだ。二つの心の道の交点に
アポロンのための神殿は立っていない。
『大景観の美は、人間の強さにつりあわない。ギリシャの神殿が比較的小さいのは、それが人間たちの避難所として建築されたからだ。希望のない光り。度はずれた光景は人間たちを途方に暮れさせたであろう。』
おまえが歌ってきたことを。それは流れ去る。
真に歌うこと、それは別のいぶき。
何を求めもせぬいぶき。神のなかのそよぎ。風。
『至上の幸福感は、悲劇的なものの頂点なのだ。激情のざわめきが最高潮に達するとき、まさにその瞬間に、魂のなかに大きな沈黙がつくられる。(中略)そのような瞬間のあと、ただちに、人生はふたたびもとにもどるだろう。――だが、さしあたってひととき人生は停止して、人生は無限に越える何物かにまたがるのだ。何か?私は知らない。その沈黙には多くのものが宿っている。そこには、物音も、感動も、欠けてはいない。』