ふくろう日記・別室

日々の備忘録です。

曙  ヴァレリー

2011-01-03 22:41:11 | Poem



      ポール・プウジョーに。



まだ醒めきらぬ睡眠を齎(もた)してゐた
鬱陶しい混乱が、いま 太陽の
薔薇色の出現の姿に たちまち
散り散りに 消えて失くなる。
自信の翼を一杯に拡げて、俺は
自分の霊魂(たましひ)の中に踏み込む。
これが 最初の祈りなのだ。
流沙の地を抜け出ると、すぐ
わが理性の歩調に合せて
素晴らしい歩みを、俺は運んでゆく。

おはやう。雙生兒(ふたご)のやうに似た微笑(ほほえみ)を
浮かべて なほまだ寝込んだままの、
女の友達、相似形よ、
単語の間で、きらきらと燦いてゐる。

(以下略)


詩集「魅惑(即ち 詩篇)…CHARMES」より。



新年にふさわしい詩はないものか?
そんな思いで昨年末から探していましたが、これに決定。
今更ながら、先達詩人とその翻訳者に敬意を表する。

この詩篇のなかには「雙生兒(ふたご)」「相似形」という言葉がありますが、
これは詩の素材としてふさわしい単語が生まれ、脚韻として響き合うことを言っているようです。
こうした詩法は古いものではなく、むしろ挑戦してみたいものだ。

停滞している自身のために送る。