ふくろう日記・別室

日々の備忘録です。

映画 「秋の理由」 福間健二監督

2016-11-17 14:18:46 | Movie
【映画 予告編】 秋の理由




2000年に出版された福間健二氏の詩集「秋の理由」の言葉たちが、映像のなかに時々落葉する。詩人である福間健二氏の独自の映画作法のように思える。
この映画は、福間監督作品のなかで、私は一番好きだなぁ。K’s cinemaにて16日に。

声が出ない作家が書けなくなる。(演じた俳優さんは、現実にも声が出ない。)
編集者は本をつくることができない。
初老を迎えた二人の男が、互いの才能を認め合いながら、最も不幸な関係に陥ってゆく。
その男たちの間で揺れる、作家の妻。
そして、妖精のように大きな樹の後から突然現れる、愛らしい女性。魔法の粉を振りまくように、大人たちの世界に、ささやかな奇跡を起こす。

人生の秋をどうやらくぐり抜けて、死も退けて、ラスト・ランに向かう男たち。
人生はさらに続く。「ぼくはまだ黒い芯を昂ぶらせている」と。



   ゆるされたと思うのは錯覚だが
   この世界はいい匂いがする
   自分の力でわかったことも少しはある
   旅をして
   長い列のうしろに並んで
   キンモクセイの坂道の下
   わたしは
   顔や手に粘りつく暗示を洗いおとして
   誰かが泣いているために
   秋が来たわけではないことを知った

     (秋の理由より。最終連。)