8
わが庵(いほ)は都のたつみしかぞすむ
世をうぢ山と人はいふなり (喜撰法師・生没年不詳)
喜撰法師は、平安時代の六歌仙の一人だが、確かな情報がない。
鴨長明「無名抄」には「宇治山に喜撰法師が住んだ跡がある。」と記されている。
「都」は京都のこと。「たつみ」は東南。「うぢ」は「「憂い」と「宇治」の掛詞。
9
花の色はうつりにけりないたづらに
我身世にふるながめせしまに (小野小町・生没年不詳)
「小町」と言えば、美しい女性の代名詞ではないか?
その彼女にも、「老い」は訪れる。花が色あせてしまうように。
10
これやこの行くも帰るも別れては
知るも知らぬも逢坂の関 (蝉丸・生没年不詳)
「逢阪」と「大坂」。この二つは掛詞。逢坂の関は交通量が多く。沢山の人々が
行きかうところだった。