15年前に出版されたエッセー集であるが、急に読みたくなった。
長年にわたり「夫婦」という体制のなかで「主婦」を生きてきた私だが、
時折、非常に怒りと理不尽な思いが立ち上がってくる。
どう考えてみても、男女は平等ではないし、男性の日々は、
女性の日常の見えない働きの上に成り立っているに過ぎないと感じる。
その上、更に深い問題点は「フェミニズム」を頭の中でだけ理解していて、
心の内は「近代史」のままであるからだ。
マンボウ先生は、その最たるものであった。世代の違いはあるものの。
それをぬけぬけと書いて、反省の色もない。
ただ見事に書いていることは、さすがで物書きである。
躁鬱病を交互に繰り返すマンボウ先生の苦しみも理解できるけれど、
その壮絶な日々を共に生きていらした奥様に魅せられました。
私の世代までは、男女平等などは、決してあり得ないと思う。
そういう時代のなかで、いかに女性が賢く生き抜いたのか?
そこがポイントだったのだと思う。
もうマンボウ先生の生きてゆける時代は終わりました。
斎藤茂吉先生の生き方は更に遠い時代となりました。
私はもう少し生きてゆかなければなりません。
マンボウ先生と斎藤茂吉先生の奥様方の生き方を見習って、生きてまいります。
きっぱり!
(2001年 講談社刊)