エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

日本社会の狂気

2014-11-26 11:24:33 | エーリッヒ・フロムの真まこと(の行い)

 

 昨日は、現代人が、人を大事にできない、ということを抽象的に言った部分。今日はその具体的な部分。

 p81第2パラグラフ、11行目途中から。

 

 

 

 

 

このようにして、結婚相談員が私どもに教えてくれることと言えば、「旦那さんはおくさんを『理解してあげて』、奥さんの助けになってあげて」ということです。また、「『新しいドレスが素敵』だとか、『料理がおいしいね』だとか、奥さんに言ったほうが良い」というわけです。その代わりに、「『奥さんは、旦那さんが疲れている時や機嫌が悪い時には、旦那さんのことを理解してあげてね。』だとか、『仕事がうまくいかないときには、旦那さんの話を心を込めて聞いてあげてね。』だとか、『自分の誕生日を忘れられた時でも、怒っちゃダメ、理解してあげてね』だとか」という訳ですね。こういった関係すべては、結局はおべんちゃらの関係なのであって、その2人は、あらゆる生活部面に渡って、見知らぬ者同士、「本音の関係」からはほど遠いものです。ただ、その2人は、お互いに相手を丁重に扱おう、気分を害さないようにしようというだけです。

 

 

 

 

 現代人の人間関係の指摘としては、誠に的を射ている部分でしょうね。とにかく上辺の関係です。本音の付き合いとは全く違います。ビジネスライクそのものですね。

 それでも、ビジネスにおいてはそれでもいいでしょう。でも、パートナーとの関係や子どもとの関係はそれていいのかしらね? 大人ならまだしも、子どもは上辺の付き合いだけじゃぁ、育ちませんね。それは火を見るよりも明らかです。子どもを産んでおきながら、親の帰宅が20時以降じゃぁ、無責任ですね。欧米人が、まともな人権感覚があれば、「不可思議」に思う方が当たり前。でもね、日本じゃぁ、「20時以降の帰宅」の方が当たり前。つまり「無責任が当たり前」になっているところに、日本社会の狂気がハッキリとあらわれている、と私は考えます。

 

 

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