積み木遊びでは、積み木を使って、最初の人間関係の元型(「最初」と「元型」は重複表現かもしれません)が表現される、実の不思議なことです。最初の人間関係、すなわち、元型としての母子関係は、インプリンティングに似ています。
エリクソンは自分の経験を語ります。
私自身の経験では、この「積み木遊び」は「実験」ではなく、むしろ、折り紙付きの臨床技法であり、それを発達観察に応用したものなのです。子どもの患者は、良く知られていることですが、びっくりしたり、どうしていいか分からなかったりすると、手に入るおもちゃに、死に物狂いになって物欲しげに、目を向けて、口で言える以上に、あるいは、おそらく「ハッキリと」知っている以上に、おもちゃの舞台で告白し表現することが多いのです。しかし、この観察は臨床の道具ですから、書き留めておくことが大事なのは、最も気後れした子供たち以外、すべての子ども達は、おもちゃを小さな舞台に並べることに取り掛かるのですが、ある者は、明らかにくだけた調子の熱心さで、ある者は、いっそう物憂げに整然と、また別の者は、思いもよらない「アイデア」が「パッとひらめいて」、おもちゃを並べます。その子の年齢にもよりますが、なかには、いろいろ質問したり、あれこれおもちゃ(この場合、最初に選んだおもちゃが非常に示唆的であることがあり得ます)を手にしたりして、時間を稼ぐ子もいますが、間もなく、その子たちも、いくつかの必ず果たさなければならないテーマやある種の感じがある形によって決められた課題に夢中になります。しまいには、その積み木は思いがけず「できた」と宣言され、身振りや表情は、まるで「作りたかったのはこれだ」、「良いのができた」と言わんばかりであることが多いのです。もし私が、以前すでに発表している印象的な事例をここで繰り返すのならば、それは、非常に多くの大事なテーマを示すため、しかも、一つの出来事を繰り返し研究する中で明らかになったテーマを示すためです。
エリクソンは、長年の臨床経験に基づいてこのように言います。おもちゃの舞台で子どもが告白し表見するものって、何なのでしょうか? 必ず果たさなければならないテーマって、何なのでしょうか? 一つの出来事を繰り返し研究する中で明らかになったテーマとは、いったい何なのでしょうか?
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