エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

狂気のパラダイス

2014-09-07 06:00:28 | エリクソンの発達臨床心理

オレンジビーチ、ペリリュー


全人類を認める意識

2013-09-07 04:29:01 | エリクソンの発達臨床心理

 世間の常識・世界観は、政治指導者たちと一般民衆が「『共に見る』ヴィジョン」です。一般民衆は、その世間の常識を分かち合わなければ、自分が世界の中心にいることも実感できないし、行動の自由もありません。そうなれば、まことに、切ない、不自由な生活を強いられることになります。また、政治指導者たちは世間の常識を用いて、この世の中での「まっとうな生き方」を示すと同時に、自分を指導者に選んでくれたことを通して、一般民衆も「選ばれている人間」なのだという感じを持ってもらうのでした。この世間の常識は、儀式化において、欠くことのできない最も重要なもの・一番なのに、他方で、「千年王国」や「大東亜共栄圏」「○○○ミクス」などというバカげた、時として幻想によって一般民衆を残虐的に振り回し、踏みにじる結果ももたらす、非常にアンビバレントな存在です。


 ペリリュー。とっても美しい南国の島。パラオのコロール島からスピードボードで1時間ほど。桟橋に付くと、すぐに滑走路後を通ってさらに奥へ。大きな池のようなジャンピング・プールに飛び込んでみましたが、気持ちよかったですね。オレンジビーチは、「血で真っ赤になったから、この名がある」と教えられたものの、誰もいない静かな、あまりにもきれいなビーチでした。また、島で一番高い小山にも登りましたが、ペリリューが一面の森におおわれて、まぶしく太陽を反射している感じで、南国そのものの解放感に溢れてしました。ただ、森を進めば、旧日本軍の戦車や大砲などが残り、慰霊塔がたくさんあった記憶があります。

 NHKの地上波とBSで、太平洋線末期のペリリューのおぞましい戦いがあったことを、今回初めて知りました。南国の解放感のためか、私の想像力の貧困のためか、オレンジビーチの名の由来を聞き、戦車や大砲を見ても、それほどの「狂気の戦い」があったことなど、全く想像できませんでした。

 この番組によれば、日本軍が「バンザイ突撃」と呼ばれた、人命を極端に軽視した戦術を放棄し、「持久戦」を遣り出した、最初の戦場だった、とのことです。米軍も、「バンザイ突撃」を想定、「3日で落ちる」と皆が思っていたようです。実際は2か月以上の戦いが続いたそうです。しかし、その戦いは恐怖が恐怖を呼び、憎悪が憎悪を生み出す文字通り「狂気の戦い」に陥ったそうです。その昼夜に渉る異常な緊張のため、自殺するもの、正気を失うものが、出たそうです。そして、そこにいるものは、「なんのために戦っているのか」も分からないままに、狂気に満ちた殺し合いをすることとなります。それは「感覚のマヒ」と「人間性の喪失」をもたらすものであった、と正直に生き残りの老人は語ります。

 ペリリュー。それは文字通りのパラダイス。しかし、そこには地獄の狂気が支配した時間がかつてあったのでした。

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