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ヴァン・デ・コーク教授のおかげで、「PTSDは、…安心・安全で、約束に基づいた、見通しと一貫性のある養育のやり方で育てられた子ども達が、一回の事件・事故によるトラウマの影響を捉えるのに相応しい診断だ」と分かりましたね。すると、今のニッポンの、長時間労働、長時間通勤、増える1人親家庭、職場に長時間いるのが職場への忠誠の証のように見る錯覚の横行、非正規労働者や女性に対する差別と、それに基づく経済的不平等があまりにもひどい状況では、PTSDの診断が相応しくなるような、まともな家庭は、今のニッポンには絶滅危惧種です。すなわち、質量ともに、子どもと十分やり取りがあり、安心・安全が保障され、約束に基づいた、見通しと一貫性のある養育のやり方を日々実行することが出来る家庭って、100に1つも、ないんじゃないですか?
もしも、その通りなら、どんな震災や災害があろうと、今のニッポン、PTSDは非常にレアケース、ということになるでしょう。これは、私の心理臨床の実感を、学問的に裏付けてもらった感じがしています。あの勘違いで不勉強な「専門家」に感じていたウソとゴマカシの臭いが、「やっぱりね」とばかりに、ヴァン・デ・コーク教授の論説によって、裏書されましたね。
今晩も、今から7年前、311(2011)を遡って2年前、ヴァン・デ・コーク教授が、2009年に出した、発達トラウマ障害(DTD : defelopmental trauma disorder)をDSM-Ⅴにハッキリと入れてね、という提案書(http://www.traumacenter.org/announcements/DTD_papers_Oct_09.pdf) の4日目。
序章(イントロダクション)から、昨日の第5パラグラフの続きで、今晩は第六パラグラフ。
1,699人の、トラウマを焦点にした治療を、国立子どもトラウマ・ストレス・ネットワークの25のネットサイトで受けた子ども達を調べた調査(スピナゾーラ等、2005)によると、大多数(78%)の子ども達が、いろんな対人間暴力に、長期に渡ってさらされてきたことが示されました。それも、第3様式の(母親による、赤ちゃんの頃から繰り返された、虐待やネグレクトによる)トラウマです。その内、PTSDの診断基準を満たしたのは、25%以下でした。重大事故や病気に遭遇したのは、10%もいませんでした。トラウマの後遺症のあるほとんどの子どもたちは、PTSDの診断基準ではとらえられませんでした。少なくとも50%の子どもたちが、1)感情のコントロールが出来ない、2)集中力をたもつことができない、3)自分は悪い子と思っている、4)衝動を抑えられない、5)攻撃的、6)危ないことをする、などの点で、重度の混乱があります。このような研究成果は、過去20年に渡って、子どもの頃に受けた対人間暴力のトラウマが、10000人の子どもたちに対して、どのような影響があるのかを研究した、夥しい、疫学的、生物学的、心理学的研究と一致したんですね。いまは、他に診断の選択肢が1つもありませんから、このような症状は、関係のないように思える併存する様々な病気、たとえば、うつ病、ADHD、PTSD、行為障害、恐怖不安、反応性愛着障害、分離不安などと、曲げて診断されなくてはなりません。シカゴ・子どもトラウマ・センターから得たデータを分析したところ、不適切な養育のやり方をされて、現在進行形のトラウマになるストレスに晒され続けている子ども達は、他のトラウマを負わされた子どもたちに比べて、トラウマとは無関係な診断がされることが、1.5倍も多いことが明らかになりました。データを見れば、いろんな併存する病気に診断されてしまう泥沼を抜け出し、こういった子どもたちの、様々な症状を一貫して説明する、新たな診断名をハッキリと示すことが、急務です。
かくして、発達トラウマ障害≒愛着障害という診断名が提案されるに至ったわけですね。
今晩の最後のところで、子どもが示すいろんな症状を一貫して(ひとまとめに)説明する診断名が必要だ、と、ヴァン・デ・コーク教授が言ってますでしょ。これは、一昨年度、私自身、30を超える学校を回って、子どもが示す症状を「発達トラウマ障害」として一貫して、ひとまとめにして説明したときに、多くの教員が「今までバラバラだったことが、一貫して、1つのものとして理解できてよかった」と言われたことと同じでしょうね。
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