エリクソンの小部屋

エリクソンの著作の私訳を載せたいと思います。また、心理学やカウンセリングをベースに、社会や世相なども話題にします。

発達トラウマは、元通りにはできない

2016-03-08 03:19:36 | ヴァン・デ・コーク教授の「トラウマからの

 

 

 

 
1人では無理な、自分を確かにする道
  カテドラルも、儀式も、もともとは神聖な意味がありました。 Young Man Luther 『青年ルター』のp186の第2パラグラフの10行目途中から。...
 

 

 自分の物語を語ることが、本音と建て前が一致する、自己一致、≪正直な本当の自分≫に出逢う道ですね。 

 ヴァン・デ・コーク教授のThe body keeps the score : brain, mind, body in the healing of trauma 『虐待されたら、意識できなくても、身体は覚えてますよ : 脳と心と身体がトラウマを治療する時どうなるか?』の第14章 Languare : Miracle and Tyranny「言葉 :奇跡も残虐も(、もたらすもの)」p.239のブランクから。

 

 

 

 

 

 身体は架け橋

 

 トラウマを物語ることは、トラウマをホッタラカシにしてることを和らげてくれますし、「どうして自分はこのように苦しまなくっちゃならないのか?」が腑に落ちるきっかけになりますね。トラウマを物語ってくれれば、医者であれば、診断が出来ますし、不眠症、激しい怒り、悪夢、無感覚などのような課題に対処することもできます。物語れば、非難の的となる人も見つかります。人を非難することは、気分が悪い時に気分が良くなるのを助けてくれる、普遍的に人間の傾向でしょ。そのむかし、私の先生であったエルヴィン・セムラッド先生がよく言われたもんですよ。「憎しみが世の中を回すんだね」と。でもね、物語は、もっと大事な課題を覆い隠したりもしますよ。すなわち、トラウマは、根っこから人を変えてしまうんだ、ということですね。現実には、トラウマを負わされた人は、2度と「自分自身」であることなどできなくなるんですね。

 

 

 

 

 ここも、極めて重要な指摘です。発達トラウマを負わされた人は、脳が変化してしまうので、決してその変化を元に戻すことが出来ません。発達トラウマの人は、自分自身を完全に回復することなどできないのですね。

 それは、様々な依存症、ギャンブルでも、アルコールでも、麻薬でも、依存症になった人は、脳が変化して、元通りにならないのと、同じです。精神科医で小説家の帚木蓬生(ははきぎ ほうせい)さんだったか、精神科医でエッセイイストの、なだいなださんだったか、は、「たくあんは、大根に戻すことはできない」と言ったとか。同じですね。

 発達トラウマのために愛着障害になった子ども等も、脳がすでに不可逆的に変化してますから、完全に治すことはできません。私どもが出来ることは、その症状を和らげることくらいでしょうか? まぁ、発達トラウマの愛着障害も、かなり良くなる場合も少なくない、と私は感じています。


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