エリクソンは、大人が失いがちな≪神が支配するところ≫である≪やり取りのある関係≫を子どもが「本能的に」大事にしていることをよく知っています。イエスと同様に、子どもの方が、それを忘れちゃった大人たちよりも、はるかに優れていることを知っています。私も…。
p101の下から13行目途中から。
半分の時間で同じことができる機械は、古くて遅い機械よりも、2倍良い、と言うわけです。もちろん、これには、それだけの、経済価値による重要性もあります。でもね、他の多くの側面でそうであるように、人間としての価値も、経済価値に還元されちゃっていますよね。機械にとって良いんだから、人間にとっても良いに違いない、と言うわけですよね。現代人も、自分は何か大切なものをなくしているんじゃないかな、と思ってるんですね。それは、時間です。物事を素早くやるんじゃない時間です。しかし、自分が手に入れた時間で何をすりゃぁいいのか、現代人は知らないんですね。悲しいかな、暇をつぶす以外にはね。
暇つぶし、パチンコ、お酒、ギャンブル、買い物、セックス、違法なハーブと薬物…。すべて依存症になるかもしれないものが多い。急いで節約した時間で、依存症では、悲しすぎますよね。
物事をゆっくりやること、物事をじっくり味わうこと。それは贅沢なんでしょうか。翻訳なんかも、時間と手間がかかりますよ。でもね、それは「理解」と「気づき」にとっては、非常に役立つものなんですね。
大江健三郎さんも「ゆっくり繰り返し読むこと」をリリードと言って薦めておられます。私は日々参考にさせてもらっています。それは、物事をいろんな視点で見てみる練習になるんですね。私ども臨床心理士にとって、最も大事なことは、常識や通念に縛られない視点を、柔軟に、しかも、しなやかに持つことができるかどうかなんですね。それで日々の臨床の「品質」が決まっちゃうんです。なんでも品質管理が上等な品質を保つうえで欠かせませんでしょ。ですから、本も生活そのものも、繰り返しリリードすることよって、いろんな視点を身に着けておくことが、何よりも「臨床心理士としての品質管理」にとって大事です。いろんな視点を得ることを、「異化」ってんですね。
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