言葉には、出来事になるという目的がありますから、その目的を意識することが、いつでも何度でも、必要です。
Young Man Luther 『青年ルター』p.230は第3パラグラフから。
ルターが一番大事にしている演説の機会は、ルターの生涯の中でもっとも有名な場面です。いろんな本や映画が、ルターの演説を描いてきましたし、その後に、ウォルムスの議会は、ルターの言葉には、永遠の価値がある、とする歴史的な場面となったんですね。大きな議事堂、いかめしい聴衆、朗々と響くルターの声。非常に残念なのは、この稀なる澄んだ声の中に、ルターの中にある不安や、周りの場面の強い混乱を超越したドラマがあることに、いまだどなたも気付かないでいることです。ゲッテスバーグと言えば、リハーサルもなしに歴史的な場面を見る仕方を思い出しますが、ウォルムスでは、多くの人々が、この独特の演説者の声を実際に耳にし、その姿を現に、目にしたんですからね。
ルターの声は、ルターの不安も、現生の混乱も超越した秩序を示すものでした。
それは誰も気付かなかったかもしれませんが、多くの、おそらくすべての人が願う秩序でした。
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