~ストーリーテリング「愛依の風」ainokaze~

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牛乳パックから紙を作ろう!

2021年09月16日 | 本の紹介いろいろ
夏休み前に、私塾の読書塾で、小学生組に絵本『紙すきの村』を読み聞かせしました。





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この絵本は、私のでかなり古いのですが、紙すきの工程を詳しく紹介しつつ、一人の若者が、丈夫で美しい和紙作りを自分の一生の仕事とやり甲斐を見つけていく姿、またこの地方独特な言い伝えや風習も描かれて、その詳しく温かい絵も素敵で、とても好きな絵本です。
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ざらっとしたちょっと厚みのある紙もいい感じなのです。
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読書塾では今年、SDGs、小さなことから実行と、調べ学習から取り組みへを課題にしてきました。
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夏休みにみんなでリサイクル!「牛乳パックから紙を作ろう!」と手作り紙すきを作るところからやりたかったのですが、コロナがものすごい脅威を奮っていたので、みんなでは断念。
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私が紙を作り、そこに子どもたちは夏の思い出を描くことにしました。









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牛乳パック2枚分で3枚ほどハガキサイズの紙ができました。1度目はやっぱりイマイチでしたが、2度目はなんとか風合い良くできました。
1度目はアイロンでゆっくり乾かしましたが、2度目(今日)は風通し良いとこで天日で。天日干しの方がきれいに仕上がりました!!


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今日の読書塾で、鉛筆や色鉛筆で下書きしてましたが、すでに柔らかくて優しい味わいが伝わってきました。色付けされるのが楽しみです(^^)
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私もミニ紙すきにハマってしまいそうです。
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読書塾では押し花アートも作る予定なので、今年は、紙すきのリサイクル紙で作ってみたら素敵かなと思ってます。
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秋は創作熱も全開になりますね♪
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想像力を広げて、季節を感じる楽しく素敵な作品をいっぱい作って欲しいです。私もちょこっとね。
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#紙すきハガキ #リサイクル#牛乳パック#読書塾#小学生#工作#アートの秋#和文化


『台所のメアリー・ポピンズ』より

2015年01月09日 | 本の紹介いろいろ
今日も青空で気持ちいい~
30分ほどあれこれ考えながらお散歩一回り(*^^*)

足取り軽くなったところで、この本を。

ファンの方も多いことでしょう(*^▽^*)
私も大好きなユーモアのセンス抜群のメアリー・ポピンズさんのお話です!



『台所のメアリー・ポピンズ』 おはなしとお料理ノート  
作/トラヴァース 絵/シェパード 訳/小宮 由・アンダーソン夏代

そして、この本は、ちょうど今くらいの時間に読むのにぴったりだと思います!
メアリ・ポピンズさんとお料理しましょ

こちらは、『メアリー・ポピンズ』シリーズの番外編ってとこかな。
メアリー・ポピンズさんは、バンクス家のこどもたちとお留守番をすることになり、自分たちだけでお料理をするこになりました。
そんな、ある一週間のお話です♪

イギリスの伝統料理やお菓子のレシピもたくさんのってます!
月曜日から日曜日の楽しいおはなしとお料理に読んでるだけでいい匂いもしてきます

挿し絵も最高です!!
『くまのプーさん』の挿絵画家さんですものね!!

そうそう、メアリー・ポピンズは、東風に乗ってやってきましたよね。
東風は、いい風です!

ちょっと飛びますが、
東風は歳時記では「あいの風」とも言います。

そうです!
私の「愛依の風」の由来の一部でもあります!

小学校6年生の時、町の子ども会のお楽しみ会で、東風と名前をつけて、YMOの「東風」を前奏にして、これまた大好きな『風の又三郎』の一部を 一人語りした三つ編みの女の子は、私です(*^-^*)
懐かしい昔話。
もちろん、東風とつけたのは、YMOが好きだったからですけれどもね。
偶然ですが、嬉しい思い出になってます。

風が好き!!
風で、自分の歴史とつながっている感じがいいです

先日も久しぶりに会った友人から、
「ずっと好きなこと変わらないね」と言われました。

「年季入ってるね」とも。

小学校3年生から原型をとどめている『おだんごぱん』の語りを思うと、まだまだですけれどね(*´ω`*)

でも、東風のごとく、愛依の風にのってみんなに会いにいきたいです

閑話休題、

メアリー・ポピンズさんみたいに、こんないいポーズで、大きなボールを抱えて、おいしいお料理やお菓子作っていきたいな。
そんな気持ちにさせてくれるおすすめの本です

さて、今日は、読書塾。
小学生、中学生がやってくる。

「風」をキーワードに読んでみるかな。

表紙のような星のクッキー作ろう(*^▽^)/★*☆♪



『ふしぎなトラのトランク』より

2014年04月08日 | 本の紹介いろいろ
鈴木出版さんの幼年童話
(5才~小学生むき)



『ふしぎなトラのトランク』
風木一人作 斎藤雨梟絵

献本していただきましたので、早速読みました(^-^)

表紙いいですねぇ(*^^*)
なんて、素敵なトラさんでしょう。それに、トランク!
いったい何が入ってるのかなってワクワクしますね♪

ちょっとふれると、

ある晴れた日、トラがスマートに、トランクを下げて町へやってきます。
町の人たちのびっくりをよそに、トラは町の中の色々なところに立ち寄っては、トランクをカチャカチャしながら回っていくのです。
どこを回ると思いますか?
私も大好きなところです!
トラの後について歩きたいです(^^)

トラが町のあちこちから集めたものはなんだったでしょう。

この本をめくって、トラの後について歩いてみてください。

トランクの中、知りたいでしょう?( ^-^)ノ∠※。.:*:・'°☆

それにしても、トラって、怖い動物だと思うけど、何か、心で通じあえそうで、好きだなぁ(*^^*)












春の日のファンタジー♪

2014年04月06日 | 本の紹介いろいろ
日曜日、晴れ間が出たり、雨が降ったり、春のお天気ですね。

次女の誕生日プレゼントの
エンデの『はてしない物語』。



パッと飛び付いて読む様子がないので、先に読ませてもらってます(*^^*)

といっても、もう、何回も読んでますが、それでも、読み始めるとまた違うものに出会います。

出会うというより、年のせいか、考えるといったことが合ってますかな。
見つける、というのもいいかな。

良い本は、読むたびに、私にその時必要な光景を心に映してくれるから不思議です。

春先は、いつもそうですが、ファンタジーの世界に一番心を踊らせます。
多分、春の芽吹きの勢いと明るい花々の美しさがそれをさらに助長させるのかもしれません。

春は、まどさんの詩をよく語っていますが、まどさんに次いで、日本で二人目となる、国際アンデルセン賞を受賞された上橋菜穂子さんのファンタジーものも、読書塾の方でも、改めて紹介したいと思っています。

大人気の『獣の奏者』や『守り人』シリーズは、娘と一緒に先を争うように読んでいきましたが、しばらく間があいていました。

先に、『弧笛のかなた』を読んで、それから、話題の上橋さんの『物語ること 、生きること』を読んでいこうと思っています。

以前『物語るひと』と題した朗読と語りの舞台に立たせていただいたことがありますが、この「物語る」は、やはり、私の胸に深く刻まれている言葉です。

私にとって、「物語ること」をこの春、もう一度見つめてみたいと思います。

ファンタジーの世界は、世界平和につながる想像と創造の道へと案内してくれるものかもしれません。

この春の季節を背景に、中学生諸君と共にファンタジーの世界にどっぷりはまっていこうと思っています(*^^*)




愛読書♪

2013年06月03日 | 本の紹介いろいろ

また、読んでます。
私の愛読書と言えるでしょうね。

井上靖 『蒼き狼』

こういう生の息吹を感じる壮大な歴史ロマン!のようなものが大好きで、
小さな世界からポンっと抜け出すような気持ちで、大陸を疾風のごとく馬にのって駆け巡る~気分を味わうのです

本はいい。
まったく気分が変わる。
脳みそが甦るように思える。
色彩も豊かになって、実にいい気分になります。
簡単に言うなら、ハイになるのです

もう、何十回も読んでるので、好きなシーンは声に出しても読んでしまいます。

大好きな本を読むと、それを伝えたくなるのは、
これは、私の性分です
ストーリーテラーとしては、良い癖ですね。

今は、この話を、読書塾の中学生諸君にしています。
それから、学校訪問で、小学校の高学年生には、かっこいいチンギスカンという話ですることもあります。
話しすぎると、他の時間が無くなってしまうので、ほどほどを心がけていますが、
好きな本のことを語るときは、夢中で語ってしまいますから、
そうして、時間をたくさん使ってしまった後、私の逃げの台詞としては、
「これも、パーソナル語りといいます!」

しかし、私が、小中高生の頃よく読んだ本を話題にして、そのことで最初から盛り上がるほど、
子どもたちと読んでいる本が重なることはほとんどありません。
本当に寂しいことです。
『西遊記』や『水滸伝』も、日本もので『南総里見八犬伝』、児童書の分野か、『十五少年漂流記』など、
心躍るくらいワクワクドキドキするのに、読んでいない子どもたちがほとんどです。

でも、話はよく聞きます。面白いのがすぐわかるのです。
本の楽しさを伝えるのは、それほど難しくはないのです。
ただ、読む機会を得る、その時間を得ることを進んで作ることは、無意識ではできず、
努力しなければ作れない。そんな状況です。

中高生に愛読書はなんですか?
という質問は投げかけられるものだろうか?
目を輝かせて、それを教えてくれるだろうか?

読書は、まず、文字、文章に出会い、記憶と心の奥に留まり育ち、見果てぬ世界が広がります。
そこから得る深い感動は、知らぬ間に体に染みつきます。
そんな体験をたくさんしてほしいのですが、
今は、その機会が、子どもたちの大切な時間から奪われてしまっているように思います。

スマホや携帯はいつでも手に取る距離にあり、本はそうではないということです。

なぜ、そんな風な時代になっちゃったのでしょうねぇ。
情報を得る、情報を発信する、近況を報告する、それに応える、みんなそんなにスピーディーな方がいいですか?
小さな機械を見つめ下を向きながら歩き、まっすぐ前を向いて歩いている人が避けざるを得ないのも普通のこと、
景色を眺めるより、下を向く方がいいのですか?


細胞が若い諸君には、私は、安易に情報を得てほしくないと思っています。
チョンと検索して得られたり、チョンとそういうツールでつながったり、
つながっているのか、気がかりなのか、そんなに一度にいろいろしなくていい。

自分の足で歩ける範囲で、採取し、知恵を出して発見し、吟味し、考えて、やっとのことで得てほしい。
じっくり、ゆっくり、揺れないでいるには、余計なことには触れないことも大切だと思います。

その手で、しっかりページをめくって本を読んでほしい。
どんなにたくさんの名作品がスマホやPCで見られて読めても、
本で読むのとは違います。

音読したらわかります。
どちらが読みやすいですか?
どちらが間をあけて読めますか?
難しい漢字や言葉が出てきたとき、前後の文脈からどちらが想像できますか?
まとまりとして説得力があるのはどちらですか?

本は眺めていられるものではありません。
読むのと、見るのとは違います。



私の本棚のことですが、非常に古ぼけたもので、
その昔「ブリタニカ百科事典」がぎっしり詰まっていたものです。
すごく丈夫なので、ずっと使っています。

そして、その中にある本も、古いものが多いです。
確かに、私が高校生の頃買ったものくらいからのものが一番多いですから。

でも、読みたい時にそこに在ってくれるのはいいです。

私の場合、スマホを持つより、文庫を持つ方が持ちやすいです

せめて、中高生はそうである人が多いといいなと思います。

これからの季節、また、読み返すだろう本です。
高校生の時からの愛読書。

 ・小林秀雄『無常ということ』
 ・外尾悦郎『バルセロナ石彫り修業』
 ・夏目漱石『それから』『伊豆の踊子』『こころ』
 ・太宰治『人間失格』

ず~っと読んできて、なぜ、こうも好きなんだろうと思うと、
まずは、この難しさ、人と自然の息遣いと空気感、それからどの本にも、色が浮かぶ。
何度読んでも、自分の歳と共に、もっと深く美しくなっていく。何度読んでも飽きるということがない。
何度読んでも、深く心が動く。


若者たちに、たくさんの良い本に出会ってほしい。
人生の友となるような、そんな本。

心から願っています。
そこに力を注いでいきたいです

学校訪問、語り授業、がんばるぞ!













「あとみよそわか」

2009年03月06日 | 本の紹介いろいろ
久しぶりに読み返した本があります。

 幸田 文作『父・こんなこと』 

数日前の朝刊で、目に飛び込んできた文字
「あとみよそわか」
この言葉にピンと反応してしまい、すぐ書棚からひっぱりだしてきました。

幸田文が、父である大文学者の幸田露伴のことを書いた
『父・こんなこと』の中に「あとみよそわか」は、書かれています。

「あとみよそわか」の「あとみよ」は「跡を見て、もう一度確認せよ」、「そわか」は成就を意味する梵語だといいます。

本の中には、父、露伴から、掃除の徹底的な仕方を教えられたことが少し滑稽に書かれています。
ある日、掃除で「よーし」と返事をもらった後に、付け加えられたのがこの「あとみよそわか」という言葉です。

本文には、
「女は、ごみっぽいもんだから、もういいと思ってからももう一度よく、呪文をとなえて見るんだ」と言った。
と書いてあります。

「あとみよそわか」・・・。一時はよく唱えていたんですけどね。
すっかり忘れていました。

心を込めて、丁寧に仕事をする。
一日のうちで一番大事な仕事は、身の回りをきれいにしっかり掃除をすることかもしれません。
それなくして、何も言える事はないのです。

忙しいという言葉は、使ってはいけない言葉かもしれません。
嫌な字です。確かに。
とても便利で何かを後回しにしてしまう言葉です。

久しぶりの「あとみよそわか」に反省しました。

私も父からの教え。
「掃除をして心を磨け」
掃除をしないと心が磨かれないのかもしれません。

「あとみよそわか、あとみよそわか」
もう一度。




『クリスマス・ボックス』

2008年11月16日 | 本の紹介いろいろ
この本は、全米で300万部を超えたベストセラー。そのことは、うーんと随分前に話題になりました。
お読みになっている方もきっといるでしょう。

 リチャード・P・エヴァンス作 笹野洋子訳 (講談社)

私は、このタイトル、また、装丁がとてもきれいで、いかにもクリスマス向きという感じに、勝手に季節物だろうと推測し、本屋で見かけはしましたが、今まで読んでいませんでした。 忘れていました。

ここ数日、讃美歌やクリスマスソング、くるみ割り人形を聴きながら、クリスマスシーズンに向けて、子どもの会から大人の会までのお話し会のプログラムを考えています。

少しずつ気忙しくなりつつあるので、静かに歩いたり本を読んだり、また、お菓子を作ったりして、落ち着いた時間をとも思う日々です。

クリスマスの準備はまだもう少し先だと思っていたのですが、
この本を読んで、思いがけず、クリスマスと向き合ってしまいました。
クリスマスに気持ちが向かって行ってしまったのです。
読んだ後、温かい気持ちが一番に湧いてきます。
深い嘆きや悲しみから、教えられることがあります。
大切なものを手渡されたように思いました。


私にとって、クリスマスは、何か嬉しい気分になります。
この気持ちを届けたくなったり、分かち合ったりしたくなってきます。

子どものころに味わった匂いがそのまま甦ってきます。
小さい頃の、家でのクリスマスの夜を思い浮かべると、ただ、楽しい行事でした。
父は、元僧侶。仏教の人。
でも、クリスマスイブは、父が、踏み台にのり、家の梁にキラキラリボンをつけ、もみの木に飾りをつけ、ライトアップして、ケーキやチキンを食べてパーティーをしました。
朝、目覚めると、もみの木の下に、サンタさんからの贈りものが届いていました

りかちゃん人形のお家のセット、オセロ、竹馬やミニトランポリンと、覚えてますねぇ。
小学校6年生の時、「禁じられた遊び」の映画を観て、ギターで、あの曲が弾きたいといっていたら、白いギターが届き本当に驚きと感激がありました。
後にも先にも、私のレパートリーは、その1曲なのですが・・・。

安心して、楽しいクリスマスの夜を過ごしていた私。
信仰的な思いは別として、父と母がその時間を楽しい時間にしてくれていたのでしょう。

この『クリスマス・ボックス』は、初めて小説を書いた元広告代理店の役員だった男性が、娘のために残したくて書いたものだといわれています。
この作品の中での「わたし」が、「クリスマスの最初の贈りものは何か」という問いを見つけていくのと同じに、私も、クリスマスの真の意味にたどり着き、その答えが知りたいと思いました。
頭の中では、妙なる調べが鳴っています。
文体は平易で簡素ですが、だからこそ、すっと心に入り、この作者の想いと同じ心で、感じることができるのでしょう。

それにしても、この時期に読んで良かったです。
どんなに忙しくても、かけがえのない時間だけは欠かすことはできません。

これからの時期は、やはり、クリスマスの私からの贈りものとして語りたいです。
一番の原点にもどり、「愛を込めて語る」ですね。
愛依の風になって皆さんに優しい時間をお届けしたいです

これから、小さな子どもたちから、お年寄りの方まで、様々なおはなし会が開かれます。
スタイルはみんな違いますが、私の心にあるクリスマスボックスを大事に持っていきます

「世界中の子どもたちが優しい時間に包まれますように。」




やっぱり夏目漱石

2008年10月30日 | 本の紹介いろいろ
「吾輩は猫である。名前はまだ無い」
あまりに有名な夏目漱石の『吾輩は猫である』の冒頭の一行。
今日の朝刊の記事の書き出しです。

小学五年生の少女だった向田邦子さんが、初めて読んだ大人の小説で、それから、学校に行くのも惜しいくらい夢中になって漱石を読んだといいます。
漱石に大人扱いされている感覚だったらしいです。
後に、向田さんは、「初めて手にした本は、初恋の人に似ています」と書き残しているとの記事を読んで、懐かしい気持ちになりました。
その言葉をとても素敵だと思い、本当にそうだなあと思ったことがあったからです。

向田さんは好きな作家のひとりです。飛行機事故に遭って亡くなった報道は、今でも覚えています。
大事な作家さんが亡くなったんだぁと13歳の私は思っていました。

大人の小説。絵本、児童書、小説と扉を開いていくとしたら、私の最初の大人の小説の一冊はなんだったでしょう。
小、中学の教科書で読んだ、芥川や井上靖、太宰や森鴎外は、文学との出会いではありましたが、自分で選んだわけではないですね。

自分で選んで読んだのは、やはり夏目漱石の『こころ』でした。
中学一年生の夏。夏休み、初めて、一冊読んだのですが、なんだか暗い作品だなぁと、まるでよくわかりませんでした。
でも、じーんと重た苦しい感じ、人が悩んでる感じが残り、夏目漱石って難しくて複雑な人だなぁと思ったことは覚えています。
夏目漱石の作品で一番読んでいるのも『こころ』です。
今は、随分その作品のことでいろいろ言えるようになりましたけれど。

私も、やはり「夏目漱石」からだったのでしょう。

11月9日までは、『読書週間』ですね。
本を読むにはとてもいい季節です。
落ち着いてます。

三連休は、文庫を何冊か手に、あちこち紅葉狩りに歩きたいです。



『おおるり』

2008年08月26日 | 本の紹介いろいろ
今日も雨でしたね。
鳥の鳴き声も聞こえません。

久しぶりに三浦哲郎を読みました。
彼の作品は好きです。
読んだのは、『おおるり』(講談社文芸文庫『拳銃と十五の短編』所収)です。
読み返しです。これは切ない作品です。ほろっと泣けてきます。

「おおるり」の囀る声を聞いた事がありますか?
高くて、本当にソプラノ歌手みたいにどこまでも響くような素敵な声です。
野池で出逢ったigashiraparkさんの撮ったオオルリ


この作品は、「おおるり」を飼っている消防屯所で勤める男が、市民病院の入院患者の付添の女の願いをきく所から展開していく物語。
「おおるりの声をもっとよく聞けないものか」という女の願いの果ては・・・。
登場人物の淡い心の交わりに響く「おおるり」の美しい声。

小鳥はただ鳴くだけ。何も知らず。
人は想う。喜びの時も悲しみの時も、また、病の時も死の時も。
知らずに小鳥の声に救われる。
私の好きな鳥のでてくる話は、小鳥の美しい声が切なく響くのです。
作品の優しさと静寂がきしきしと胸に響くのです。

ブルーな日に「青い鳥」の物語はささやかな良い時間をくれました。






川端康成「富士の初雪」

2008年07月17日 | 本の紹介いろいろ
日中はとても暑かったですね。
夜になってもまだ、体にじーんと熱がこもっていました。

今日は、いい月がでていましたから、少しは涼めるかと思いベランダにでてみました。
さらっと風が通り抜け、月の光に薄い雲が映え、ゆっくりと流れていました。
そのまましばらくじっと眺めておりました。
月が雲に隠れたり、また顔を現したり、本当に静かな良い気持ちになりました。

今日は一冊古本を買いました。
 川端康成の短編集『富士の初雪』昭和33年発行。初版本です。

夏になると、私は、川端を読むのです。なぜでしょうか、高校生の時からです。
たぶん、『伊豆の踊り子』を高1の夏に読んでからだと思います。
幻想的でとても美しい世界。時の刻み方も、自然の描写も、そして、人の情も、色も艶やかでまた深い。
読んでいると、心がとても静かになってきて、木の香や森の緑、雪の白そして、物語色の風を感じます。とてもよい香りがしてくるのです。
私にとって川端の小説は、熱冷ましになるのです。

『富士の初雪』は背表紙を見ただけで打ち水を一瞬うけた感がありませんか?
同じく川端を愛する方が、この中の「岩に菊」のことを紹介してくれ探したというわけです。

「作者が故郷で見たという岩には、女の幽霊が出るという。その女は岩陰で男を待っていて凍えて死んだ、という話。この作品では、主人公は幻想の中で、その女の幽霊と会話をする。」

「岩に菊」「女の幽霊」というだけでも、惹きつけられます。また、暑い今には肌にひんやりとした氷を滑らせてくれるような期待が・・・。

古本は、独特な風情があります。いつもより、ゆっくりじっくり読むのがいいのです。ページが破けないように大事にめくりながら。

毎年夏に伊豆に旅行にいきます。もう20年近く訪れています。
ちょっとした、ガイドマップは作れそうです。
私が伊豆が好きなのは、緑深く、山の幸海の幸、良い温泉に恵まれているからというだけではありません。
文豪たちが憩い集まったという文学の香り漂うその地に心休めて、その風に触れたいそんなところでしょう。

それにしてもきれいなお月様。
久しぶりにゆっくり眺めました。