火曜の会も30回目になりました。
8月だけお休み月で、毎月第2火曜日に国立の個人宅で開かれている会です。
メンバーは20~80歳代の女性の会。
じっくり聴いていただく文学語りが中心の会です。
モントリオール世界映画祭で『ヴィヨンの妻』が最優秀監督賞!というニュースが飛び込んできましたが、思い起こせば、この火曜の会の記念すべき第1回めの作品が『ヴィヨンの妻』でした。
この『ヴィヨンの妻』ですが、私も、3年前から語り始めました。
中央線の風景が見られる作品の語りのために、選んだ作品でした。
毎年、晩秋から暮に向けて語っています。
今年もそろそろですね。
映画は10月から公開だそうですが、私の方は、11月くらいの予定です。
前回好評いただきました、二人語り第2弾!となるように準備しております。
お楽しみにしていてくださいね。
さてさて、太宰の方に話がいってしまいましたが、今回の火曜の会の作品は、
志賀直哉短編作品です。
『小僧の神様』『赤西蠣太』を朗読しました。
私は、志賀さんのきびきびした、さっぱりした文体が好きです。
登場人物の描き方も、感情や心の動きを繊細に表現するというより、木彫りの像を彫り上げるように、ざっざっ、ぐっぐっと簡潔にまっすぐ描くところが好きなのです。
特に、劇的過ぎず、神経質すぎないところがまた良いです。
人物の気持ちを現す時の動作の書き方も、最小限。
だから、余計に、常に、人間の行動を観察しているかのような、作家の目が感じられます。
心情を表す言葉も、例えば、「さびしい」「静まる」「冷汗だ」などと短くて分りやすい。
それだからこそ、直接胸にすくっと入るのです。
もうひとつ、『小僧の神様』を読んだあとには、この話の小僧さんのようにお鮨が食べたくなりますよ。
みなさん、口を揃えてそう言ってらっしゃいました。
私も、思わず「まぐろの握り、食べたくなっちゃった」と言ってしまいました
今月は、みなさんも志賀直哉の作品に触れてみるのはいかがですか?
時には、弱虫になったり、自己嫌悪に陥る自分もいますが、その自己を見つめた後には、素直な底力が湧いてくるかもしれません。
火曜の会をはじめ、文学語りでは、いろいろな作家さんの作品を紹介していきたいと思います。
新たな発見は必ずあるものですからね。
読書の秋突入です!