桜が、ここ国立でもとてもきれいに咲いています。
季節の巡り、桜を愛でる心は、ずっと昔からの私たちに宿る心。
桜を見上げると、様々なことが思い出されます。
春を過ごしたその時々の記憶が、あれこれと。
パワーがありますね。桜には。
でも、どうしても、今年の桜は、いろいろ思いを重ねてしまいます。
桜の美しさは、季節からの春最大の贈り物のように感じられるのですが、
見上げていると、今は、やはり東北を思わずにはいられません。
あの惨状から、胸を貫くように響いた、気仙沼の中学校の卒業式の男子生徒の答辞が思い出されます。
きっと、同じニュースを見て、胸を痛め涙し、また、その直向で力強い決意の答辞に感動した方もいると思います。
宮城県気仙沼市階上(はしかみ)中学校卒業式は、避難所となっている体育館で行われました。
卒業生代表の男子生徒の答辞のニュース部分ですが、
ここに書き記しておきたいと思います。
「階上(はしかみ)中学校と言えば防災教育と言われ
内外から高く評価され、十分な訓練もしていた私達でした
しかし、自然の猛威の前には人間の力はあまりにも無力で
私達から大切なものを容赦なく奪っていきました
天が与えた試練というにはむごすぎるものでした
つらくて悔しくてたまりません
しかし、苦境にあっても天を恨まず
運命に耐え、助けあって生きていくことが
これからの私達の使命です」
涙をぬぐい、歯を食いしばり、一つ一つの言葉をしっかりと力強く読み上げていました。
一生忘れることのできない、答辞です。
15歳の人生の輝かしい時の、この春は、なんて、悲痛で過酷なものになったでしょうか。
張り裂けそうな思いを胸に、彼は、こう結びました。
「苦境にあっても天を恨まず、運命に耐え、助けあって生きて行くことがこれからの私達の使命です」
私もしっかり胸に刻み付けたい。
桜前線は、ゆっくりと北上しています。
やがて、東北に届くでしょう。
季節をがらっと変えてしまう、圧倒的な強さを持つ桜が、東北の人の心にも体にも、慰めと励まし、元気のもとになるよう、美しく豊かに咲いてほしいと願います。
恐ろしい大地震があった3月11日から、1ヶ月が経とうとしています。
2011年の春は、人生の中で、凄まじい記憶となって残るでしょう。
純粋で潔い「私たちの使命です」という言葉には、魂がありました。
言霊として、私は受け取りました。
子どもたちの元気に育つ心の土壌が、潤いのある豊かなものになりますように。