福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

期待外れの理由

2014-05-05 16:58:04 | コンサート
大きな期待を胸に臨んだコルボのドイツ・レクイエムであったが、指揮、ピアノ、独唱、そしてコーラスともに大小の不満があった。

まず、ピアノ。
早くも第1曲前奏から、音の意味深さも和声の移ろいの綾もなく、さらには、内声も死んでいて、全くブラームスの心を伝えない。結局、最後まで精彩なし。

コーラスも各声部のバランスが声質、声量ともにバラバラ。
ソプラノは、統制がとれていないので、歌手が時々暴走し、声が突出してしまう。
バスは、明らかに声量不足で、四声体の不安定をもたらす。
テノールは、恐らくはエキストラで加わっている日本人歌手の声が異質で、彼の声だけで、全体のアンサンブルが壊れているような気がする。もしかすると、テノールが弱ければ弱いなりにバスとのバランスが取れていたのかも知れない、などと想像してしまった。とにかく、コンサートに向けて精密に仕上げたということのない、雑な音楽だったことにガッカリした。

独唱は特にバリトンは軽すぎて、テキストの中身を伝えるには役不足。

コルボの指揮は、上記のピアニストの選択や、コーラスのアンバランスを許していた時点で責任はあるが、音楽づくりも、各ナンバーのクライマックスへの持って行き方が唐突で、いまひとつ着いてゆけなかった。

というワケで、残念な1日の幕開けとなったが、その後のケフェレック、ペヌティエは良かった(ただし、前者「ジュノーム」の指揮者は最悪)。
後ほど、ご報告しよう。



さて、パンケーキとコーヒーでひと休みしたら、いよいよ本命のリスト「十字架の道行き」だ。

ケフェレックのジュノーム

2014-05-05 15:24:31 | コンサート


コルボの1時間後には、アンヌ・ケフェレック独奏のモーツァルト ピアノ協奏曲第9番「ジュノーム」。
若い頃の作品の中では、抜群に充実した作品で、ハスキル&シューリヒトのライヴ録音を愛聴している。

オーケストラは、ジョシュア・タン指揮の横浜シンフォニエッタ。

初体験の横浜シンフォニエッタは、とても優秀だと感じたけれど、シンガポール出身という指揮のタンがいただけない。

ケフェレックがモーツァルトの深い憂愁を奏でるとき、タンが引き出すオーケストラは、ただただ元気な音。しかも、行間というものがない。
ケフェレックの音楽が深いだけに、なんだか学生指揮者のような底の浅さが耳について、集中できない。
もうひとつ、タンの指揮ぶりには、身体を上下させる変な癖があって、観ていると悪酔いしてしまう。

というワケで、ケフェレックの芸術を邪魔者なしに堪能できたのは、各楽章のカデンツァ(特に第2楽章が絶品)とアンコールのヘンデル「メヌエット ト短調」(クラヴィーア組曲 第2巻 第1番 変ロ長調 HWV434 より)という皮肉。
しかし、このヘンデルは、時間が止まるのではないか? と思わせるほどの名演。この1曲だけで、凡百のリサイタル一夜を上回る重みがあった。

さて、幸いなことに、ケフェレックについては、8日の王子ホール公演のチケットを入手済みにつき、改めて彼女の至芸を堪能しよう。

ホールC

2014-05-05 11:51:11 | コンサート





東京フォーラム ホールC初体験。

調律の音を聴く限り、音響は悪くはなさそう。

ブラームス「ドイツ・レクイエム」ピアノ4手版。

現在、富士ベートーヴェンコーラスにて、レッスン中。オケ版とは別の美しさがあるだけに、コルボ&ローザンヌ声楽アンサンブルの演奏が楽しみ。

パブロ・ピカソ - 版画の線とフォルム -

2014-05-05 00:22:05 | 日記
 

パブロ・ピカソ - 版画の線とフォルム -
町田市立国際版画美術館
http://hanga-museum.jp/exhibition/index/2014-233

気分転換も兼ねて、行ってきました。
我が家からは車で10分弱。

改めて、ピカソの凄さに圧倒されました。特に晩年の旺盛な創作意欲と自由な精神には脱帽です。

さあ、いよいよ、人生初のラフォル・ジュルネ・オ・ジャポン。

ブラームス「ドイツ・レクイエム」 ピアノ4手版
レティツィア・シェレール (ソプラノ)
ファブリス・エヨーズ (バリトン)
サイモン・サヴォイ (ピアノ)
ニコラ・ファリーヌ (ピアノ)
ミシェル・コルボ (指揮)
ローザンヌ声楽アンサンブル

リスト「十字架の道行き」
ジャン=クロード・ペヌティエ (ピアノ)
ヴォックス・クラマンティス
ヤーン=エイク・トゥルヴェ (指揮)

のほか、

ケフェレック&横浜シンフォニエッタのモーツァルト「ジュノーム」、
ペヌティエのモーツァルト「きらきら星変奏曲」などを聴いてくる予定。

演奏の合間にでも、簡単なレポートをしたいと思います。