福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

チェリビダッケ 伝説のリスボンのブルックナー8 アナログ盤到着

2014-05-14 01:16:07 | レコード、オーディオ


伝説のチェリビダッケ・リスボン・ライヴ ブルックナー第8番をようやく聴くことができた。
しかも、念願のアナログ盤で!

レーベルはAuditor。活動を停止して久しい海賊レーベルである。
第4、5、7、8、9番の10枚のレコードの収められたボックスには、解説書もないし、データの記載もない。
しかし、何故か、この「8番」が1994年4月23日のリスボン・ライヴである、ということは、ファンの間で常識となっている。
同レーベルのCDの方には記載があったのだろうか?



驚くべきは、このリスボンの「第8」が5面にもわたっていると言うこと。
正確には、第3楽章と第4楽章に3面を要しているのだ。
こんな例は他にはなかろう。
それぞれ演奏時間30数分なので、技術的には片面ずつに収めることも可能だったかも知れない。
私も、実際にこの盤を聴くまでは、「なぜ、そうしてくれなかったのか?」と製作者を恨んだものである。
しかし、音質は、海賊盤とは信じられないクオリティ。
この豊潤なサウンドを聴いてしまうと、この切り方を選んだ製作者の「英断」を称えずにはいられない。
晩年のチェリビダッケによる超スローテンポの神懸かった演奏を再生するのに、音質的な妥協はあってはならないからである。

さて、感想を書きたいのは山々だが、簡単に書けそうにない。
いま言えることは、4年前のサントリーホール・ライヴよりも、深淵で高尚な演奏である、ということ。
神に近い演奏と言っても、大袈裟ではない。
これを聴いた幸運な人々が「神品」扱いするのも、十分に頷ける。

というわけで、今回は到着と「聴いたぞ」というご報告だけに留め、感想は日を改めたい。
ただし、いつ書く気持ちになれるか、それはまだ何とも言えない。
それほど、この演奏が重く心に響いている。

ただひとつ残念だったのは、新品の未開封品だったに関わらず、第3楽章後半にヘアラインによるノイズがあったこと。
というわけで、引きつづき、このボックス、または「8番」と「9番」を組み合わせた4枚組(5面+3面=8面)の単品を探し求めなければならない。
コレクター道に終わりの日は来ないのだ。