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関東温泉紀行 / 関東御朱印紀行
■ 手打沢鉱泉 「康栄閣」 〔 Pick Up温泉 〕
<手打沢鉱泉「康栄閣」> (身延町(旧 中富町)手打沢官有無番地、9:30~21:00(沸かし湯につき事前TELが無難)、火休、700円?、0556-42-3240)
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南アルプスの東麓、身延町に合併された旧中富町にはいくつかの小規模な鉱泉がありましたが、すべて廃業になったと思っていました。
先日、R52(身延道)を走っていると、「手打沢鉱泉、入浴700円」という看板がでていて目をうたがいましたが、すかさず突入(^^;)
場所はR52手打沢橋北詰信号(南北どちらからきても看板あり)を沢沿いに山手に入って約1㎞(富士川CCにいく道)。
道沿いにあるベージュっぽい外観の建物で、看板もあるのですぐわかります。(→このへん )
行ってみるとボイラー不調とのことで入れず、これから直しにくるので夕方ならたぶん大丈夫とのことで、夕方、執念(笑)で再突入するとちょうど湯はりがおわるころ。
10分ほど待つあいだに、茶の間で感じのいい女将さんがお茶をだしてくださり、しばし話をしました。
オーナーご夫妻はもともと関西出身で、縁あって廃業となっていたこの鉱泉旅館を経営することになった。もともと、このあたりには3軒の鉱泉宿があって、すべて廃業していたが、そのうちいちばん手前でいちばん新しいのがここだった。(話の流れから、もう2軒は中富鉱泉と南沢川筋にあった旧手打沢温泉らしい。)
廃業して久しい鉱泉宿に手を入れて、ようやくここまでにした。
源泉は沢の向こう側の廃坑となった炭坑のなかから自然湧出していて、日によって色の濃さがちがう etc・・・。
【写真 上(左)】 浴場入口
【写真 下(右)】 手拭い
ひとつしかない浴場は、混雑時以外は貸切で入れるらしく、この日も貸切で楽しめました。
民宿風の外観ながら、館内は意外に趣があって、沢沿いの浴場におりていくアプローチもなかなか。(ちとモノが多すぎる気もしますが・・・。)
脱衣所はえらく渋く、年季の入ったソファーセットに紺地の「ゆ」の暖簾、木箱形の脱衣棚、天井でまわるプロペラ形扇風機などがいい味を出しています。
【写真 上(左)】 脱衣所
【写真 下(右)】 暖簾
浴室のとびらをあけるとさらにびっくり。
浴室中がレトロなタイル細工で埋め尽くされています。
【写真 上(左)】 タイル1
【写真 下(右)】 タイル2
ここまで気合いの入った職人芸にはなかなかお目にかかれないくらいのしろものです。
なんでも、温泉成分の析出でかなりひどいことになっていたのを、せっせと磨いてここまでにしたとのこと。
【写真 上(左)】 タイル3
【写真 下(右)】 タイル4(タイル絵)
沢沿いにある浴場は窓をあけると川風が吹き込みます。無粋な川の護岸と対岸の道(ほとんど通行なし)の白いガードレールがちと残念。
カラン5、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。
手前のカランは、お湯、水ともに源泉だと思います。
【写真 上(左)】 洗い場
【写真 下(右)】 洗い場カラン
浴槽は変形丸形のタイル貼で6-7人はいけそうなもの。
窓側に立っているレトロなタイル貼の柱がいいアクセント。
お湯(かなり熱い)と水カランがあり、それぞれ源泉(水のほうは微妙)投入だと思います。ともに少量投入でしたが、蛇口で投入量を調整できます。
それとは別に、保温循環用の強力ジェット&強力パイプ吸引があります。
浴槽が広めなので、場所をえらべばジェットの余波は避けられますが、ここまで循環を強くしなくてもいいかも・・・。
入ったときは、お湯がなみなみと湛えられていて、入ると大量オーバーフロー。
お湯の感じからしても、かけ流しに近いコンディションだったように思います。
【写真 上(左)】 浴槽1
【写真 下(右)】 浴槽2
ほぼ適温のお湯は、茶色にささにごり、弱いながら芒硝味+苦味+αの複雑な味がします。
やわらかな湯の香によわく漢方薬じみた苦っぽい臭いが加わりますが、カルキ臭はまったく感じず。
適度な濃度感と弱いとろみときしきしに加え、肌に染み込んでくるような独特な湯ざわりがあって、よくあたたまります。
異常にフックのあるあと引き系のお湯で、いつまでも入っていたい衝動にかられます。
【写真 上(左)】 湯色
【写真 下(右)】 最初はざんざこオーバーフロー
浴後はほてりがクリアーに抜け、充実した浴後感とともに肌がしっとりすべすべに落ちつきます。
【写真 上(左)】 湯口
【写真 下(右)】 効能書き
お湯のイメージは常磐の湯の網、カンチ山あたりに似たものを感じました。
しかし、山梨にこんなお湯があったとは正直おどろき。しつこく廻ればあるものですね(^^)
とくにレトロマニアや泉質マニア(^^)は、みのがせないお湯ではないでしょうか。
石膏泉 14.2℃、pH=7.0、35L/min、成分総計=1260mg/kg、Na^+=135.7mg/kg (37.92mval%)、Ca^2+=146.4 (46.96)、Mg^2+=22.86 (12.08)、Fe^2+=1.622、Cl^-=5.432 (0.95)、SO_4^2-=519.7 (66.85)、HCO_3^-=318.3 (32.19)、陽イオン計=322.7 (15.56mval)、陰イオン計=843.5 (16.20mval)、遊離炭酸=76.51 <S42.5.19分析> (源泉名:手打沢鉱泉)
※古い分析ですがみごとな石膏泉(新表記だと、Ca・Na-SO4・HCO3冷鉱泉)です。
Cl^-=0.95mval%という少なさは、保川温泉「旅館橋本」に迫るもので、これが個性的な浴感を生み出しているのだと思います。
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