関東周辺の温泉入湯レポや御朱印情報をご紹介しています。対象エリアは、関東、甲信越、東海、南東北。
関東温泉紀行 / 関東御朱印紀行
■ 唐沢鉱泉 〔 Pick Up温泉 〕
<唐沢鉱泉> (茅野市湖東1323、午前~夕方?(時間要問合せ)、700円、0266-76-2525)
オフィシャルHP
北八ヶ岳のふところふかく、標高1870mの高所に湧く名湯。
武田信玄公のかくし湯としても知られるこのお湯はながらく懸案でしたが、冬期(1月後半~4月初旬)休業のうえ、湯めぐりに組み込みにくい立地にあるので未湯でした。
東京方面からだと中央道「諏訪南」ICで降り、県道425払沢富士見線を北上、「八ツ手」T字路で県道17茅野北杜韮崎線に入って10㎞弱走った「南大塩」交差点を右折、あとは八ヶ岳に向かってひたすら高度を上げていきます。途中、三井の森立科CCやフォレストCCがあるので、それらを目印にしてもいいでしょう。
三井の森別荘地を抜けてしばらく走ると舗装が切れます。ここから未舗装路約4kmのアプローチ。フラットで幅員もあるのでどうということもなさそうですが、意外にわだちが深いので低車高の車はきびしいかも・・・。
しばらく行ってY字分岐を左にとり(右に行くとオーレン小屋)、しばらく走った道のどんづまりにいかにも”山の宿”といった雰囲気の木造の建物があらわれます。これが唐沢鉱泉です。
日本秘湯を守る会会員宿で八ヶ岳天狗岳の登山口としても知られ、けっこう人気があるようです。
【写真 上(左)】 アプローチのY字分岐
【写真 下(右)】 周辺の風景
玄関には「八ヶ岳名湯 唐沢鉱泉」の看板。
声をかけると親切そうな女将さんが出迎えてくれました。
山宿ながら館内はよくメンテされ、ドライフラワーがあちこちにあしらわれています。
階段をのぼった廊下の奥に男女別の浴場。左手が女湯、右手が男湯でつくりはほぼシンメトリ。
脱衣所や浴室も清掃がいきとどいていて気分がいいです。
【写真 上(左)】 女湯
【写真 下(右)】 男湯
石と木で構成された浴室はシックで落ち着いたもの。森に囲まれた湯小屋に、やわらかな日差しがさし込んで山の湯の風情にあふれています。
右手手前から小浴槽(檜造3人)、源泉貯湯槽と奥に大浴場(檜造6-7人)。左手は洗い場と奥に冷たい源泉打たせ湯。打たせ湯のまわりは綺麗な緑色のコケにおおわれ、湯口はイオウのクリーム色の析出が厚く堆積して、源泉の力を物語っています。
どうやらこの源泉は一種のコケの生育を促進するようです。
カラン3、シャワー・シャンプー・ドライヤーあり。土曜10時で男女湯とも独占。
【写真 上(左)】 女湯の打たせ湯
【写真 下(右)】 打たせ湯の湯口
小浴槽は、側面注入数ヶ所で底面吸湯とよわいオーバーフロー。
大浴槽は、側面注入数ヶ所に底面吸湯でオーバーフローなし。
源泉貯湯槽と大小浴槽間のお湯の行き来はよくわかりませんでした。
お湯は大浴槽と小浴槽と源泉貯湯槽でイメージがちがいます。
大浴槽はほぼ透明でクリーム色の湯の花と沈殿物。39℃のややぬる湯で弱い焦げ臭と若干の薬品臭があります。
【写真 上(左)】 女湯の湯口
【写真 下(右)】 男湯の小浴槽
小浴槽は青みがかったうす茶色のうすにごり、白とクリームとオレンジ色の湯の花がたくさん舞い、底には木くずのような沈殿物がたまっています。
37-38℃くらいのぬる湯ですが個人的にはもっと冷たくてもいいように思いました。
焦げ臭+弱ドクダミ臭+金気臭。お湯はあきらかにこちらのほうがいいので、ほとんどここにいました。
【写真 上(左)】 男湯小浴槽の湯色
【写真 下(右)】 男湯小浴槽から浴場
キシキシとからだのなかに染み入るような酸性泉独特の湯ざわり。あたたまりはよわいですがなかなか冷めません。湯中の手先が青白く発光しています。入るほどに気持ちが落ち着いてくるようなしみじみといいお湯で、でるにでられず。なるほどこれは名湯。
浴後は湯切れよく、肌にこのましい焦げ臭が残ります。
源泉貯湯槽は、かなり冷たく青みをおびた透明でわずかにクリーム色の湯の花。酸性泉系のレモン味+収斂味にしっかりとした炭酸味が加わり、裏で微苦味と微金気味がきいている複雑な味。強い焦げ臭+ラムネ系イオウ臭+微金気臭。当然、鮮度感はピカ一でこのお湯に入りたいですが、わずか9.7℃ではあまりに冷たすぎか・・・。
泉質は関東周辺では珍しい単純二酸化炭素泉(炭酸泉)、しかも芒硝-正苦味泉系のめずらしい泉質で、鮮度がいいので微量成分の鉄やイオウもしっかりと効いています。
【写真 上(左)】 泉源地の池
【写真 下(右)】 湧き出る源泉
1分ほど歩いた宿の上手に泉源地があって、自由に見学できます。
湿地のようなところで源泉が湧き、澄み切った池に流れ込んでいます。鮮やかな緑色のコケとクリーム色のイオウの析出のコントラストが見事。なかなか見られない光景で、これは必見でしょう。(奥草津の穴地獄でも泉源地に似たようなコケが繁茂していましたが、雰囲気はこちらのほうが明るい。)
源泉は浴場の源泉貯湯槽とさほどかわらないイメージがあったので、源泉貯湯槽までの引湯による劣化はわずかでしょう。
すばらしいロケと個性あふれるお湯。未舗装のアプローチを差し引いても訪れる価値のある名湯だと思います。
単純二酸化炭素冷鉱泉(Na・Ca・Mg-SO4・Cl型) 9.7℃、pH=3.8、湧出量=約600L/min(自然湧出)、成分総計=1260mg/kg、Na^+=19.7mg/kg (28.06mval%)、Mg^2+=7.6 (20.56)、Ca^2+=14.2 (23.17)、Al^3+=4.5、Fe^2+=1.9、Cl^-=38.1 (35.69)、SO_4^2-=91.1 (63.37)、陽イオン計=51.6 (3.06mval)、陰イオン計=130.4 (3.00mval)、メタけい酸=59.1、遊離炭酸=1017、硫化水素=0.05 <H6.6.9分析> (源泉名:唐沢鉱泉源泉)
<温泉利用掲示>
大浴槽/加水:記載なし 加温:あり 循環:あり 塩素系薬剤使用:あり
小浴槽/加水:記載なし 加温:あり 循環:なし 消毒処理:不明
〔 2008年11月18日レポ(2006年9月入湯) 〕
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