1977年にハヤカワ文庫から刊行され、すでに絶版となっているコリン・ウィルソンの『ロイガーの復活』を入手することに成功した。
今となっては『エルトダウン断章』ばりの稀購本であろう。訳者は団精二(プッ)。
コリン・ウィルスンは英国の有名な評論家で、かつてラヴクラフト作品を「三流作家の精神病暦カルテ」と批判したことによってオーガスト・ダーレスから「ほんならオドレもラヴクラフトばりの小説を書いてみい!」との抗議文を送りつけられ、「おっしゃ、書いたろうやないけ!」とばかりにクトゥルー神話に基づく三篇の長編小説を執筆したという、少々高慢ちきさが鼻につくインテリ作家である。
『ロイガーの復活』はウィルスン・クトゥルー神話三部作のひとつで、※『賢者の石』の縮小版というべき120ページほどの物語で、ウィルスン作品にしては俗っぽくてかなり読みやすい内容となっている。
本書は手記形式で、ダンバー・ラング氏が『ヴォイニッチ写本』という、この世界で最も謎に包まれた写本の翻訳作業をしている内に、彼はヴォイニッチ写本がカバラに起源をもつ『ネクロノミコン』という厖大な著作の要約文の断片であることを突き止めることから物語が展開してゆく。
ちなみに『ヴォイニッチ写本』は実在しており、稀購書の発掘販売を手掛ける古書籍商のウィルフレッド・M・ヴォイニッチによってローマのモンドラゴーネ寺院で発見され、いまだ解読されていないという。
『ヴォイニッチ写本』
ここでのロイガーは、“星間宇宙空間のただなかで風の上を歩むもの”というより、どこか遠い星からやってきた透明な物体たちで構成されている種族、“ロイガー族”という呼び名で登場する。
長い触腕も有してないし、トゥチョ=トゥチョ人も出てこない。
そのかわり、古代ムー大陸には現在の人類によく似たもうひとつの民族がいた。
チャーチワードのナアカル碑版での言い伝えによると、人間はロイガー族が創り出した奴隷であって、ロイガー族は人間の奴隷たちの頭に(罰として使っていた)カニのそれによく似た触角を生やす力を持っていたのだそうだ。
ナアカル碑版にある1枚の絵には、両方の眼孔からカニみたいな触手を伸ばしている人間が描かれているという。
(カニというよりエビでは?)
英国にはアーサー・マッケンの出身地であるウェールズ地方がある。
マッケンの自伝的な長編小説「夢の丘」は、ウェールズ地方にある因習めいた不吉な“灰色の丘”がモデルとなっているらしい。
アーカート大佐著の「ムー大陸の謎」によると、太古よりこの地に住んでいるウェールズ人は実はムー大陸から来たものたちであり、かつてロイガー族の奴隷の子孫であったというのである。
てことは、アーサー・マッケンはロイガー族の創り出した忌まわしき奴隷の子孫ということなのか!!
私はアーサー・マッケンの著書は読んだことはないが、いつかマッケンの怪奇小説『三人の詐欺師』に収められてる、森に棲む邪悪な力と交わった女から生まれた知恵おくれの少年を描いたという『黒い石印の話』を読んでみたいと思っている。
本書の日本語訳版の刊行にあたって、ウィルスンがハヤカワにわざわざ親切?にもリン・カーター著『ネクロノミコンの歴史』の他、自分の論文『X機能と非合理的知識について』という増補原稿を送ってきてくれたらしく、それらもこの文庫本に収録されているのだが、読んでみてもティンプンカンプンだった。てかあまりにも論理的で面倒くさい。
ちなみに『ネクロノミコンの歴史』は本書でラング氏が参考にしていたテキストそのものである。
※『賢者の石』はもう随分と昔に読んだので内容は殆ど覚えてないが(今読み返してる最中)、かなりの厖大な文書で論理的過ぎてダラダラと小難しい物語であったが、それでもそこそこオモロかったなーという印象がある。
この書でも後半に『ヴォイニッチ写本』が取り沙汰されており、その際バンダー・ラング氏の焼却されてしまったメモ書きの存在が、甥っ子ジュリアン・ラングの口から語られる。
この焼却されてしまったメモ書きこそが、今回の『ロイガーの復活』そのものであるといってほぼ間違いないだろう。
とまぁ、このように様々な禁断の書物や失踪者の残した手記などが各作品でほのめかされ、リンクされているとこにクトゥルー神話のオモシロさがあるのである。
それらの書物を、失踪したどっかのオカルティストの書架や、アーカムのミスカトニック大学付属図書館、ブックオフなどで漁り歩くのもまた、クトゥルー神話体系の楽しみ方なんじゃよ。ムフフフフ・・・
フレイザーの『金枝篇』、チェンバースの『黄衣の王』、ダービイの『アザトース その他の恐怖』、日本最大の奇書『竹内文書』、アーマ=スィンの『だれでもできる!精神交換』etc・・・・
私には、読まねばならぬ書物がまだまだたくさんあるのだ!
芸能人のウソくさい自伝や、「もしドラ」などのベストセラー本など読んでるヒマなんかない!
今日の1曲:『アルタミラの洞窟の警告』/ STEELY DAN
今となっては『エルトダウン断章』ばりの稀購本であろう。訳者は団精二(プッ)。
コリン・ウィルスンは英国の有名な評論家で、かつてラヴクラフト作品を「三流作家の精神病暦カルテ」と批判したことによってオーガスト・ダーレスから「ほんならオドレもラヴクラフトばりの小説を書いてみい!」との抗議文を送りつけられ、「おっしゃ、書いたろうやないけ!」とばかりにクトゥルー神話に基づく三篇の長編小説を執筆したという、少々高慢ちきさが鼻につくインテリ作家である。
『ロイガーの復活』はウィルスン・クトゥルー神話三部作のひとつで、※『賢者の石』の縮小版というべき120ページほどの物語で、ウィルスン作品にしては俗っぽくてかなり読みやすい内容となっている。
本書は手記形式で、ダンバー・ラング氏が『ヴォイニッチ写本』という、この世界で最も謎に包まれた写本の翻訳作業をしている内に、彼はヴォイニッチ写本がカバラに起源をもつ『ネクロノミコン』という厖大な著作の要約文の断片であることを突き止めることから物語が展開してゆく。
ちなみに『ヴォイニッチ写本』は実在しており、稀購書の発掘販売を手掛ける古書籍商のウィルフレッド・M・ヴォイニッチによってローマのモンドラゴーネ寺院で発見され、いまだ解読されていないという。
『ヴォイニッチ写本』
ここでのロイガーは、“星間宇宙空間のただなかで風の上を歩むもの”というより、どこか遠い星からやってきた透明な物体たちで構成されている種族、“ロイガー族”という呼び名で登場する。
長い触腕も有してないし、トゥチョ=トゥチョ人も出てこない。
そのかわり、古代ムー大陸には現在の人類によく似たもうひとつの民族がいた。
チャーチワードのナアカル碑版での言い伝えによると、人間はロイガー族が創り出した奴隷であって、ロイガー族は人間の奴隷たちの頭に(罰として使っていた)カニのそれによく似た触角を生やす力を持っていたのだそうだ。
ナアカル碑版にある1枚の絵には、両方の眼孔からカニみたいな触手を伸ばしている人間が描かれているという。
(カニというよりエビでは?)
英国にはアーサー・マッケンの出身地であるウェールズ地方がある。
マッケンの自伝的な長編小説「夢の丘」は、ウェールズ地方にある因習めいた不吉な“灰色の丘”がモデルとなっているらしい。
アーカート大佐著の「ムー大陸の謎」によると、太古よりこの地に住んでいるウェールズ人は実はムー大陸から来たものたちであり、かつてロイガー族の奴隷の子孫であったというのである。
てことは、アーサー・マッケンはロイガー族の創り出した忌まわしき奴隷の子孫ということなのか!!
私はアーサー・マッケンの著書は読んだことはないが、いつかマッケンの怪奇小説『三人の詐欺師』に収められてる、森に棲む邪悪な力と交わった女から生まれた知恵おくれの少年を描いたという『黒い石印の話』を読んでみたいと思っている。
本書の日本語訳版の刊行にあたって、ウィルスンがハヤカワにわざわざ親切?にもリン・カーター著『ネクロノミコンの歴史』の他、自分の論文『X機能と非合理的知識について』という増補原稿を送ってきてくれたらしく、それらもこの文庫本に収録されているのだが、読んでみてもティンプンカンプンだった。てかあまりにも論理的で面倒くさい。
ちなみに『ネクロノミコンの歴史』は本書でラング氏が参考にしていたテキストそのものである。
※『賢者の石』はもう随分と昔に読んだので内容は殆ど覚えてないが(今読み返してる最中)、かなりの厖大な文書で論理的過ぎてダラダラと小難しい物語であったが、それでもそこそこオモロかったなーという印象がある。
この書でも後半に『ヴォイニッチ写本』が取り沙汰されており、その際バンダー・ラング氏の焼却されてしまったメモ書きの存在が、甥っ子ジュリアン・ラングの口から語られる。
この焼却されてしまったメモ書きこそが、今回の『ロイガーの復活』そのものであるといってほぼ間違いないだろう。
とまぁ、このように様々な禁断の書物や失踪者の残した手記などが各作品でほのめかされ、リンクされているとこにクトゥルー神話のオモシロさがあるのである。
それらの書物を、失踪したどっかのオカルティストの書架や、アーカムのミスカトニック大学付属図書館、ブックオフなどで漁り歩くのもまた、クトゥルー神話体系の楽しみ方なんじゃよ。ムフフフフ・・・
フレイザーの『金枝篇』、チェンバースの『黄衣の王』、ダービイの『アザトース その他の恐怖』、日本最大の奇書『竹内文書』、アーマ=スィンの『だれでもできる!精神交換』etc・・・・
私には、読まねばならぬ書物がまだまだたくさんあるのだ!
芸能人のウソくさい自伝や、「もしドラ」などのベストセラー本など読んでるヒマなんかない!
今日の1曲:『アルタミラの洞窟の警告』/ STEELY DAN
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