AMASHINと戦慄

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Rockstar

2021年03月14日 | まったり邦楽
2019年11月のスターシャンク全国ツアーライブ終了直後くらいに、Coccoは早くもビッグサプライズなツアーを2020年春に敢行すると発表した。

それが、「Cocco Live Tour 2020 みなみのしまのはなのいろ~ダークサイドクイーン初訪の地、近隣住民近う寄れ~」というタイトルのツアーで、今までCoccoが訪れたことのない県のライブハウスを巡るという垂涎ものの企画で(後に「再訪の地、リクエストにお応えして」と題して東京、北海道公演も追加された)、なんと奈良公園・・・じゃなくて、奈良公演も含まれており狂喜乱舞した。
私は一応京都の人間ではあるが、奈良市街には車で15分で行ける所に住んでいるので。




まぁやはり抽選はあえなく外れたけど、チケット譲って下さる方をなんとか見つけ、もうそれはそれは楽しみにライブ日を待っていたのだが・・・・
無慈悲にもコロナ禍の波が全国に押し寄せ、ライブは7月に延期、そして、中止。

そこでCoccoはやむなく振替配信ライブという手段に切り替える。
ずっとライブ日に合わせてメンタルを調整し続けてきて、もうこれ以上気持ちを維持できないとの判断だったとか。




実は生配信日は残業してて見れなかった。てか配信ライブという形式にちょっと抵抗もあるというのがあって、アーカイブも見てなかったんですが・・・


そして、昨年末にその生配信ライブのダイジェスト映像が公開され、もうこれは円盤化の予告みたいなもんだった。




で、先月、ニューアルバム『クチナシ』の初回限定盤にそのフルライブ映像DVDが抱き合わせという願ってもない形でリリースされ、無観客とはいえ、ライブハウスでのCoccoの初のフルライブ映像ということで、正直アルバムにそれほど期待してなかった私としては、DVDが大本命だったりした。


まぁライブ配信後、セトリを見たらなんだか自分が思ってたのと随分と違っていて、「 濡れた揺籃」や「ドレミ」にテンション上がったものの、前作『スターシャンク』からの楽曲が中心で、初期の楽曲もほとんどなく、なんだかプレミアム感のない、それほどときめかないセトリだなぁなんて思ってたんだけど。




ところが、フタを開けてみたら、これが凄まじいことになっていた!
Coccoが昨年我々に見せたかったのは、これだったんだと!!
もう「してやられた!!」という感じだった。

@LIQUIDROOM 2020.8.31



本ライブは、Cocco(Vo)、根岸孝宗(B)、堀越信泰(E.G)、椎野恭一(Dr)の4人体制で繰り広げられる、究極の楽曲アレンジ大会の様相を呈した、今までとは随分とテイストの異なる実験的ともいえるまさに怒濤のプレミアムなライブだった。
曲が演奏されるごとに、もう「そうきたか!」のオンパレード!


一発目の「花爛」こそ、前ツアーの時くらいのアレンジで普通だったんだけど、2曲目「2.24」で歌が始まらないと何の曲かわからないほど大胆なアレンジが加えられ、歌の途中「三村エレジー」のフレーズをさりげに挟むというサブリミナルな絡め技に「え?」となる。

このあたかもレッド・ツェッペリンの「How Many More Times」における間奏部の「The Hunter」ぶっ込み技を彷彿とさせるこの手法は、その後もちょくちょく出てきて、特にマイナースケールにアレンジされた「願い叶えば」の後半部で「Rose Letter」(『クムイウタ』より)のフレーズが大胆にも挿入された時はほんとうに興奮を禁じ得なかった。

初期のナンバーでは「強く儚い者たち」のアレンジはちょっとアレで、個人的にはオリジナルでやって欲しかったなぁと思ったが、「濡れた揺籃」でのCoccoのピアニカの乱れ弾きは狂気さが際立つ演出だった。




本ライブはとにかく、前アルバム『スターシャンク』からの楽曲の大胆なアレンジ、拡張度合いがハンパなかった。
「Gracy Grapes」の、ビートルズの「Dear Prudens」を彷彿とさせるサイケな高揚感はレコーディングのとは比較にならない別次元のものになってたし、「Ho-Ho-Ho」なんてほぼ別物の曲になってて、2回目観たときに「ああ、これ新曲じゃなかったのか」とやっと気づいたくらい。

ネギさんスティック弾いてはる!!



そして、闇黒のドゥームナンバー「Come To Me」でのCoccoの妖艶な歌いっぷしは、さすが今回自らを“ダークサイドクイーン”と呼称するだけあって慄然たる魔性的な迫力があり、これもし客入りのライブだったならCoccoの魔力でみな石化したかのように会場全体が凍りついたんじゃないかなぁ。
それにしても、終演後の客の歓声があがらないのがなんとも寂しい。

Coccoの狂ったリコーダーインプロがヤバい。



Coccoが本格的にピアノ弾き語りを披露したのは驚きだった(今回専任奏者いないからなぁ)。
中盤ちょっとリズムが怪しくなるものの、6年前にComing' KOBEで無謀にもそれに挑まはったときとは比べものにならないほど上手くなってる。
なんせそのチャレンジ精神と度胸に驚かされる。




ラストは怒濤のヘヴィナンバー「インディゴブルー」、そして最新作より「Rockstar」の2連発で完膚なきまでに打ちのめされることになる。
久々に首筋が痛くなっちまったぜ。

こん時の初期のツアーメンバーである堀越氏(最新作では7曲参加)のギターの切り込みが冴えまくっている。
まじカッコよすぎ!!



Coccoの「ワン、ツー、スリー、GO!!」は一度生で聴いた方がよい。



まぁ近年外タレのベテランバンドによる予め「この曲やります」的なアルバム完全再現(厳密に言うとあまり再現されていない)や懐メロ大会みたいなライブが目立つが、ま、それも安心して楽しめていいんだけど、Coccoの今回のライブのように、本番まで手の内を明かさない、そしてこの意表をついた想定外の演目内容のものこそ、ライブの本当の、そして究極の醍醐味かと思われる。
Coccoはそういうことを本能的に知っている節があり、はっきりいってその外タレベテラン勢とはちょっと次元の違う存在であり、彼女こそがいまだ進化し続ける生粋のロックシンガーであるといっていいだろう。
つか、よく考えたらこの4人、全員40超に60近い人らでっせ!

それを昨年、全国のライブハウスで我々に披露できなかったのは、Cocco自身ほんとうに悔しかったと思うし、DVD化してくれたことはほんとうに感謝に堪えないが、我々もこの映像を観て、これをライブハウスという至近距離で目撃できなかったことが、よけい悔やまれるのである。


FUCK COVID!!


奈良 EVANS CASTLE。いつかここで観れる日が来ればいいね。

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