早くもCoccoの新譜が我々のもとに届けられた。
つかこないだ出したばっかじゃなかったっけ?
前作は3年くらいブランクあったのに。
ともかく、Coccoの創作意欲というものはいまだ計り知れない。
昨年のコロナ禍期間中において、CoccoはYOU TUBEやSNSなどで「 自粛生活・おうちdemoトラック」と題して数週間ペースでオリジナル動画をあしらって惜しげもなく新曲を配信していた。
ちょっとピアノ弾いて作ってみました的なものから始まり、Cocco画のアニメーション、過去のMV
や家族写真らしきものを軽く編集したものから、本格的なオシャレMVみたいなのもあったり、お子様に向けたお絵かき教室みたいなものまであって、Coccoのユーモアセンスや芸術性がフンダンに盛り込まれた内容。
大半がコロナ禍で困窮に追い込まれてる人や自分の家族などに向けたメッセージ動画的なものだったと思う。
昨年からのコロナ禍の現状を風刺したアニメーション。
まぁ、このデモトラック動画作りが今回のアルバム制作のキッカケになったことは言うまでもないだろうが、聞くところによると、昨年の6月にすでにレコーディングが始まっていたのだという。
ただ、Coccoが突如音程がとれなくなるというスランプに陥り、一時中断していたのだとか。
で、音程取り戻すために思いつきで繰り返していたのが、この曲の冒頭のフレーズだったという。
この「ひとひら」のMVに今回のアルバムの要素がだいたい詰まっている感じで、まずCoccoが頭にかぶっているのはおそらくアルバムタイトルである『クチナシ』の花。
MVの中でCoccoがオール漕いでイカダみたいに乗っているのが、今回アルバムジャケットにもなっているクチナシヴィーナス(モナリザ?)。
Coccoが絵具で段ボールの上に描いたもので、ペーパークラフトの花などが散りばめられていて、いかにもDIY的かつCoccoらしくてナイスなアート。
復活してから出したアルバムカヴァーの中(5th~)で一番いいかも。
つか、ジャケットの絵を段ボールに描くなんてミュージシャンは、VOIVODのアウェイ以来じゃないか!?(まぁあれは単に金が無かったかららしいが)
口を花でふさがれたモナリザという構図と、『クチナシ』というタイトルがなかなか意味深で、MVのカチャーシーを取り入れたかのような妖艶な振り付けといい、これは米軍基地移設など、様々な問題を抱える沖縄を想うCoccoの政治的メッセージも内包されている感じがしてならない。
初回限定盤には段ボール製のスリーブケース付きという凝りよう。
正直前作から1年ちょいで作られたCoccoの作品に対する期待値はすこぶる低かった。
15曲も収録されているということで、また『きらきら』のようなクズっぽい曲が詰め込まれてるような予感がしていたいので。
一週目聴いたときは、1曲目いきなり美しいハープの調べの英詩ナンバー「White dress」でハッとさせられたものの、昭和歌謡、緩急の雑なオルタナナンバー、沖縄民謡と、色々な要素をやみくもに詰め込んだとり散らかったような内容だなと、イマイチな印象だったが、2回、3回と聴いていくとやっぱいいんだなこれが。
今回は音楽的に実に巧みというか、計算されてないようで計算しつくされてるような、なんだか頭を捻らせられる内容で、それはCoccoの持つ感覚的で芸術的な構成力の成せる業なのかもしれない。
クレジットとかみてたら、Coccoは最近音楽ツールを使ってプログラミングもやってるらしいのが驚き。
Coccoのキレッキレの捲し立て歌唱とオシャレなストリングスの「ダンシャリアン」、ピアノ伴奏で合唱団らとコラボした「え?菅野よう子作曲?」と思うほどに洗練された合唱曲「青葉」のマジメさ加減には驚かされるし(なぜNHKからお声がかからないのか?)、Cocco、根岸、椎野、堀越のカルテットで昨年のライブハウスツアーで演奏することを想定したと思しき「Rockstar」。まぁこれは「way out」を健全かつスタイリッシュにアレンジしたようなロックナンバーで、ベタベタな感じもするが語尾をいつも以上に強調したCoccoの歌いっぷしがカッコいい。
Coccoが三線弾きながら歌うウチナーグチ詩の(Coccoの父親が翻訳してくれたんだとか)小曲「想い事」の素朴感といい、とにかく今まで以上にバラエティ豊かさに満ち溢れてて非常に楽しめる飽きのこない作品に仕上がっている。
で、今回一番驚き、感銘を受けたのが、ラスト曲の「真白の帆」。
神妙な演奏で、Coccoが物語るように歌う壮大かつシリアスな曲で4分足らずで終わる・・・・
と思いきや、約1分間のインターバルをおいて、さっきとは全く違う雰囲気の抱擁感に満ち溢れた歌が始まるのだ。
Coccoがこういうシークレットトラック的なことをするのも驚きなんだが、このギミックにはいったいどういう意図があるのかと。
ただ、この後半の歌の詩は、なぜか歌詞カードには記載されていない。
実はこの部分は昨年のけっこう早い時期にdemoトラックでアップされていた。
アルバムに収録されているヴァージョンではラスト、ウチナーグチ詩の歌で締めくくられ、さらに崇高さが増している。
歌詞内容は全くわからないし、この後半部を同じ曲の続きと捉えていいのかさえわからないままだ。
ちなみに“真白”は、岩井俊二監督の2016年の映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』において、Coccoが演じた人物の名前と同一である。
その真白と関連性があるのかどうかも、やはりわからない。
アルバムジャケットから、曲構成、そしてトラックタイトルと、一大探偵推理小説のような実にミステリアスなこの謎解きアルバムのような本作を、私は今回とても気に入っている。
つかこないだ出したばっかじゃなかったっけ?
前作は3年くらいブランクあったのに。
ともかく、Coccoの創作意欲というものはいまだ計り知れない。
昨年のコロナ禍期間中において、CoccoはYOU TUBEやSNSなどで「 自粛生活・おうちdemoトラック」と題して数週間ペースでオリジナル動画をあしらって惜しげもなく新曲を配信していた。
ちょっとピアノ弾いて作ってみました的なものから始まり、Cocco画のアニメーション、過去のMV
や家族写真らしきものを軽く編集したものから、本格的なオシャレMVみたいなのもあったり、お子様に向けたお絵かき教室みたいなものまであって、Coccoのユーモアセンスや芸術性がフンダンに盛り込まれた内容。
大半がコロナ禍で困窮に追い込まれてる人や自分の家族などに向けたメッセージ動画的なものだったと思う。
昨年からのコロナ禍の現状を風刺したアニメーション。
まぁ、このデモトラック動画作りが今回のアルバム制作のキッカケになったことは言うまでもないだろうが、聞くところによると、昨年の6月にすでにレコーディングが始まっていたのだという。
ただ、Coccoが突如音程がとれなくなるというスランプに陥り、一時中断していたのだとか。
で、音程取り戻すために思いつきで繰り返していたのが、この曲の冒頭のフレーズだったという。
この「ひとひら」のMVに今回のアルバムの要素がだいたい詰まっている感じで、まずCoccoが頭にかぶっているのはおそらくアルバムタイトルである『クチナシ』の花。
MVの中でCoccoがオール漕いでイカダみたいに乗っているのが、今回アルバムジャケットにもなっているクチナシヴィーナス(モナリザ?)。
Coccoが絵具で段ボールの上に描いたもので、ペーパークラフトの花などが散りばめられていて、いかにもDIY的かつCoccoらしくてナイスなアート。
復活してから出したアルバムカヴァーの中(5th~)で一番いいかも。
つか、ジャケットの絵を段ボールに描くなんてミュージシャンは、VOIVODのアウェイ以来じゃないか!?(まぁあれは単に金が無かったかららしいが)
口を花でふさがれたモナリザという構図と、『クチナシ』というタイトルがなかなか意味深で、MVのカチャーシーを取り入れたかのような妖艶な振り付けといい、これは米軍基地移設など、様々な問題を抱える沖縄を想うCoccoの政治的メッセージも内包されている感じがしてならない。
初回限定盤には段ボール製のスリーブケース付きという凝りよう。
正直前作から1年ちょいで作られたCoccoの作品に対する期待値はすこぶる低かった。
15曲も収録されているということで、また『きらきら』のようなクズっぽい曲が詰め込まれてるような予感がしていたいので。
一週目聴いたときは、1曲目いきなり美しいハープの調べの英詩ナンバー「White dress」でハッとさせられたものの、昭和歌謡、緩急の雑なオルタナナンバー、沖縄民謡と、色々な要素をやみくもに詰め込んだとり散らかったような内容だなと、イマイチな印象だったが、2回、3回と聴いていくとやっぱいいんだなこれが。
今回は音楽的に実に巧みというか、計算されてないようで計算しつくされてるような、なんだか頭を捻らせられる内容で、それはCoccoの持つ感覚的で芸術的な構成力の成せる業なのかもしれない。
クレジットとかみてたら、Coccoは最近音楽ツールを使ってプログラミングもやってるらしいのが驚き。
Coccoのキレッキレの捲し立て歌唱とオシャレなストリングスの「ダンシャリアン」、ピアノ伴奏で合唱団らとコラボした「え?菅野よう子作曲?」と思うほどに洗練された合唱曲「青葉」のマジメさ加減には驚かされるし(なぜNHKからお声がかからないのか?)、Cocco、根岸、椎野、堀越のカルテットで昨年のライブハウスツアーで演奏することを想定したと思しき「Rockstar」。まぁこれは「way out」を健全かつスタイリッシュにアレンジしたようなロックナンバーで、ベタベタな感じもするが語尾をいつも以上に強調したCoccoの歌いっぷしがカッコいい。
Coccoが三線弾きながら歌うウチナーグチ詩の(Coccoの父親が翻訳してくれたんだとか)小曲「想い事」の素朴感といい、とにかく今まで以上にバラエティ豊かさに満ち溢れてて非常に楽しめる飽きのこない作品に仕上がっている。
で、今回一番驚き、感銘を受けたのが、ラスト曲の「真白の帆」。
神妙な演奏で、Coccoが物語るように歌う壮大かつシリアスな曲で4分足らずで終わる・・・・
と思いきや、約1分間のインターバルをおいて、さっきとは全く違う雰囲気の抱擁感に満ち溢れた歌が始まるのだ。
Coccoがこういうシークレットトラック的なことをするのも驚きなんだが、このギミックにはいったいどういう意図があるのかと。
ただ、この後半の歌の詩は、なぜか歌詞カードには記載されていない。
実はこの部分は昨年のけっこう早い時期にdemoトラックでアップされていた。
アルバムに収録されているヴァージョンではラスト、ウチナーグチ詩の歌で締めくくられ、さらに崇高さが増している。
歌詞内容は全くわからないし、この後半部を同じ曲の続きと捉えていいのかさえわからないままだ。
ちなみに“真白”は、岩井俊二監督の2016年の映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』において、Coccoが演じた人物の名前と同一である。
その真白と関連性があるのかどうかも、やはりわからない。
アルバムジャケットから、曲構成、そしてトラックタイトルと、一大探偵推理小説のような実にミステリアスなこの謎解きアルバムのような本作を、私は今回とても気に入っている。
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