AMASHINと戦慄

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今日の魔女信仰

2012年11月24日 | ルルイエ異本
悪魔主義的ドゥーム・メタル・バンドの重鎮たるElectric Wizardのすでに廃盤で入手困難であった2007年作の6th『Witchcult Today』を入手。

エレクトリック・ウィザードは、カテドラルのリー・ドリアンが主宰するRise Aboveレコードのお抱えバンド。
全編に渡ってズルズルと引き摺るような濁ったギターサウンドが渦巻いており、古色蒼然たるヴォーカルスタイル、おどろおどろしい楽曲センス共に懐古趣味も甚だしい70年代ハード・ロック・スタイルを貫いている。まぁ私もこの手のバンドはどちらかというと好んで聴く方なのだが、このエレクトリック・ウィザードに関してはなかなか琴線に触れてくる要素が見当たらない。
根幹にあるのはブラック・サバス直系のヘヴィネスなのだが、サバスほどの表現の自由さや拡がりは持ち合わせていないし、さほど個性も感じられない。
ブックレット内の黒魔術儀式の写真といい、かつてサタニックなハード・ロックを求めて止まなかった若かりし頃に、バンド名やジャケットに惹かれ購入してしまったBlack Widowの『悪魔と魔女と生贄』に近いものを感じた。雰囲気はそれなりに出せてはいるものの、表現力が安直というか、アイデアに乏し過ぎるというか。
まぁ徹底した重苦しいドゥーム感、悪魔主義を貫いた結果なのであろうが、せっかくオルガン奏者とかいるんやったらそれをもっと効果的に活用して欲しかったかと。


もう容貌からしてヤバすぎるな。ちなみにドラマーのショーン・タラーは、実際悪魔崇拝儀式で毎晩7時間叩いていたという経歴の持ち主だそうだ。



日本盤はヘビー・サウンド・ロックの(帯より)「リーフハウンドレコード」からリリースされており、帯にはレトロな字体で『今日の魔女信仰』というステキなタイトルに、曲全てに邦題が付けられていて70年代的アナログ感を演出してくれている。まぁそこまでやるんやったら紙ジャケにしてくれよと言いたいところだが、今回は別にそういうのが目的じゃない。

実は私があまり好みではなかったエレクトリック・ウィザードのこの背徳的作品をどうしても手に入れたかったのは、本作に“DUNWICH”(邦題「忘却の村」)というタイトルの曲が収録されていたからにほかならない。

ホラー映画マニアのジャスが、1970年に映画化された『H.P.ラヴクラフトのダンウィッチ・ホラー』というタイトルから拝借したとのことだが、ブックレットの謝辞リストにラヴクラフトの名前がクレジットされており、元々ラヴクラフト小説のファンであったのだろう。




まぁ“DUNWICH”を「ダニッチ」と発音する方が正しいのか、「ダンウィッチ」と発音する方が正しいのかと、闇黒神話論者の間で長年議論され続けたテーマであった。
創元推理文庫の『ラヴクラフト全集5』では「ダニッチの怪」のタイトルで掲載されているが、人間椅子の楽曲のタイトルを含め、ハヤカワ・ミステリのアンソロジー『幻想と怪奇2 英米怪談集』などの古い文献では「ダンウィッチの怪」のタイトル表記であり、スペル的にもこっちの方が妥当なのではないかと。
で、今回のエレクトリック・ウィザードの“DUNWICH”を聴いてみると、やはり「ダンウィッチ」と聴こえるので、それを確かめられただけでも本作を長年探し求めた(といっても3年程度か)甲斐があったというものである。


そうだ、この曲をかけながら今度、『ネクロノミコン』に載っていたドゥホウ=フナの呪文、イルからヌフングルまでの呪文を試してみよう。




今日の1曲:『忘却の村』/ Electric Wizard

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