東大阪でそろばん教室を運営しているの先生のブログ 関西珠算瓢箪山教場・石切教場

子供たちから教えられたこと、感じたことを想いのままに綴ります。

そろばんで伸びる力 その4 記憶力の2

2012-09-05 00:43:30 | そろばん学習で得るものは?
 以前のブログで記憶力が伸びるお話をしました。今回はもう少し具体的にそろばんで伸びる力としての記憶力のお話をしたいと思います。

 一般的に、「そろばん学習は右脳を活性化する」と言われます。このことは脳科学の研究という科学的見地からも証明されています。(たとえば東北大学の川島隆太先生や日本医科大学の河野貴美子先生の研究があります)

 では「右脳が活性化されればどのような能力の伸びが期待されるんですか?」という問いに即座に答えることができるそろばんの先生は少ないかもしれません。この質問に答えるには、右脳・左脳のそれぞれの得意分野と特性を理解し、その特性を学習に応用することを考えて指導していく必要があると考えています。

 さて、本題に戻ります。右脳を活性化させるとどのような能力の伸びが期待できるのか?。という問いには「記憶力の向上が期待できます」と応えることができます。これから順を追って説明します。

 まず、基本的な知識として「左脳を主に言語を司るのに対して、右脳は芸術領域を司る」ということを押さえておく必要があります。一般的な理解としては、学校教育において右脳を使用するのは図工・美術が主で、あとは内容によって数学・理科・体育・音楽の授業の一部で活性化すると思っていただければいいと思います。その他の教科においては、学習時に使われるのはほぼ左脳です。ちなみに、計算ドリルなどを行う時に活性化するのは、珠算未経験者においては主に左脳であることが分かっています。

 一方、そろばん学習において指導する「そろばん式暗算」は、脳裏にそろばんを思い描いて行うことから、右脳を活性化することが先の研究によって証明されています(計算ドリルの問題を、珠算経験者が行うと、主に右脳が活性化することもわかっています)。

 つまり、そろばん式暗算を学習することで、右脳が活性化され、そろばんを脳裏に浮かべることで、右脳を使用して計算する能力が身についているわけです。ということは、普段の学習にも右脳を使うことができれば、両方の脳領域を使えることになり、記憶方法が一つではなくなる(学習のチャンネルが増える)ことになると言えます。

 ここで、教室で実施した夏休みチャレンジが登場します。このチャレンジは小学校各学年に応じた、銘文や古文を暗誦するというものです。このチャレンジ中、調子よく暗誦していた生徒が突然「え~と…」と詰まってしまうことがよくあります。この時にたくさんの練習を積み上げた生徒は、真っ白な紙を見せて「今このあたりを言ったよ。次はここから」というヒントを与えるだけで、すらすらと復活します。
 これがまさに「そろばん式暗算」なんですね。頭に映像を浮かべ、その映像を読み取ることができるわけです。こうして右脳を使った記憶の要領を覚えると、教科書や資料集・授業中のノートを映像化して記憶することができるようになるはずです。(実際私は中学・高校時代にこうした記憶も行っていました)

 さらにこの夏休みチャレンジのシートは、一つの課題をB5用紙一枚に収め、行間を統一することで映像化しやすいように工夫しています。(日本国憲法前文だけはB4用紙になっていますが)

 だから、これからの勉強においては、たとえばノートの取り方を工夫すればより見やすく・記憶しやすくなるなど、自分自身で気づいてほしいという側面もあるわけです。

 日本の都道府県や県庁所在地名を漢字で覚えることや、漢字の部首を覚えること、古文・銘文の暗誦など、当教室で用意している学習プログラムはすべて「右脳記憶を使えるようにする」ことを念頭に置いたものになっています。

 そのためには「そろばん式暗算」の能力を育てることが必要です。

 今年から、中学校でも完全に新しい教科書に移行し、学習内容が前学習指導要領に比べて3割ほど増えました。(というより、20年前の水準にほぼ戻っただけですが)

 というわけで、そろばん式暗算で鍛えた右脳記憶を身に付ければ、高い基礎学力が身に付く!それが「そろばんで育つ記憶力」というわけです。さあ、レッツそろばん。頑張りましょう!!!
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そろばんで伸びる力 その3 記憶力

2012-06-21 00:54:45 | そろばん学習で得るものは?
 今日は記憶力です

 暗算には珠算式暗算(右脳使用)と算数式暗算(左脳使用)とがあります。右脳は一般的には「芸術領域」といわれ、通常の学習ではなかなか鍛えることができないと考えられています。
 珠算式暗算は、脳内にイメージしたそろばんを使用して行います。脳波を測定した科学的検証から珠算式暗算を行っている間は、右脳が活性化し、右脳を使用していることはすでに証明されています。
 この「珠算式暗算」が鍛えた「映像を利用した計算」は、右脳を使用して行われるため、直観的な映像として長く記憶にとどまります。具体的には、教科書がそのまま脳内に浮かぶとか、自分が学習したノートが映像のように脳内で再生できるといった感覚で記憶できるわけです。
 一般的に試験などで使用される記憶方法は、左脳を使用するためは短期間で忘れてしまうことが多いのです。(エビングハウスの忘却曲線はこの左脳記憶について研究したもので、右脳記憶にはあてはまりません)
 右脳を使用した記憶方法は、珠算式暗算を学習することで身に付いていますから、まず長期間失われることがありませんん。 東大・京大生の80%がソロバン学習経験者と言われるのも、うなずけるものがあります。
 このような「脳力」は珠算式暗算のトレーニングでしか身に付きません。この能力は子ども時代、特に幼稚園児から始めるほど、より身に付きやすく、概ね10歳を超えてから始めても、その能力の伸びは限定的であるといわれています。
 
 珠算式暗算を身に付けることは、最強の記憶力とそのための基礎力を育てるといえると思います。
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そろばんで伸びる力 その2 集中力

2012-06-19 00:54:53 | そろばん学習で得るものは?
 さて今日は「集中力」です。

 たとえば、入学後およそ1年前後で到達するレベル「検定7級」では。かけ算を例にしますと、2桁×2桁の問題を計算する過程において、9回前後の指先操作を要求されます。計算中は、かけ算九九を4回唱え、4桁の答えを記入します。その間、一度のミスも許されません。この問題を20回繰り返すと規定問題数を計算し終えたことになります。指先の動きは、約200回程度になります。小学校で九九を学習していない1年生でも、この程度は楽にこなしてしまいます。計算間違えの原因のほとんどが「途中で目を離す」ことに起因します。学習している本人の「できるようになりたい」と思う心が育った時点で、集中力も育ちます。
 さらに、進んで1級まで到達しますと、6桁×5桁の問題を計算する過程において、100回以上の指先操作を要求されます。計算中は、かけ算九九を30回唱え、11桁の答えの記入が求められます。指先の動きは、約2000回程度になります。
 このかけ算20問。制限時間は10分間なんですよ。ちょうど今はやりの学習時間を区切って、複数の中身を一つの授業時間で行う「モジュール授業」の1モジュールがおおよそ15分ですから、昔からそろばんの1種目は子供たちの集中力の持続時間を経験的に把握していたんでしょうね。
このことから「指先は外に出た脳」と言われていますように、ソロバン学習が指先トレーニングによって集中力を育てていることがおわかりいただけると思います。

 そろばん学習でステップアップしていく過程で、訓練するレベルもステップアップし、集中力もステップアップする。という好循環を生み出すことになります。

 指導時に子供たちを見ていますと、小学3年生以下の場合はそろばん6級、4年生~6年生で4級、に合格すると集中力が「ついてきたな!」と感じます。
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そろばんで伸びる力 その1 計算力

2012-06-17 23:45:27 | そろばん学習で得るものは?
そろばんの先生なのに「そろばん」について書いていないことに気づきました。これから気の向いたときに「そろばん学習で身に付くor私が身に着けた力」をご紹介していきます。

まず「計算力」
 そろばん学習を始めた生徒の親御さんの一番の期待は「計算力(暗算力)」ではないでしょうか?ところがそろばんを習ったからといって、残念ながらすぐに計算力は身に付きません。そろばんがはぐくむ計算力は「珠算式暗算」が身について初めてその力が本物になります。
 ではまずそろばんの仕組みから。



 そろばんは一つで「1」を表す「1珠」が4つと一つで「5」を表す「5珠」が「けた」についています。この珠を「はり」にひっつけて数字として読むわけです。読むときには「はり」についている黒い点「定位点」を1の位にして読みます。たくさんあるので自分の使いやすい定位点を1の位にして使用します。

たとえば



これは「4705」と読むわけです。

 さて、お話は一気にワープしてそろばんを「使える」状態になったとします。ここで「珠算式暗算」の登場です。これは、普段自分が使っているそろばんを「脳内イメージ」として脳裏に浮かべ、そのそろばんを脳内で動かして計算するわけです。つまり、計算道具としては何も必要ないわけです。これができるころには、数の仕組みもおのずと理解できてきていますから、「超計算力が身についている]というわけなんですね。紙や鉛筆すらいらないわけで、珠算式暗算を身に付けるか否かで、「入試をも左右する」といわれる所以がここにあるのです。

 つまり、そろばんで身に付く計算力を本物にするためには、珠算式暗算を身に付けることが必要です。ただ「計算ができる」というだけの能力なら1年程度である程度は身に付きますが、一生使える「本物の超計算力」を自分のものにするためには最低3~4年、ちょっとイメージが苦手な生徒なら5~6年かかってしまいます。しかしながら、一生使える特殊能力が身に付くのですから、特に今そろばん学習をがんばっている方は少しでも長く続けてほしいものです。
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