電器店の広告でアナログ音源・映像もデジタル化できるデジ造というソフトを見つけ、うちには死蔵しているカセットテープやビデオが山ほどある、ヴィック・ゴダードの「トラブル」のカセットや高嶺剛監督の「ウンタマギルー」、ルイス・キャロルを切なく描いた映画「ドリーム・チャイルド」、バロウズのインタビュー映画など、宝の山が埋もれている、と思い、電器店へ急いだ。デジ造四九八〇円を買って帰る。
デジ造の音楽取り込みソフト、サウンドリッパーをインストールする。カセットを入れてイヤホン・ジャックから繋いで音楽を取り込もうとするのだが、なかなか取り込めない。パソコンの三つある穴のうち、一番手前の穴にジャックを差し込んで、エンターを押すと読み込み始めたので、MP3形式でカセットをデジタル録音する。45分に45分掛かる。MP3の再生装置がないので、MP3からWAV形式に変換した。同時にウィンドウズ・メディア・プレーヤーにもデータが書き込まれたので、書き込みでCD―Rに書き込んで、作業終了。大仕事だった。これでかしぶち哲郎氏の「リラのホテル」のカセットがCDになった。
そのあとMDプレーヤーで、バルビローリのばら売りのマーラーほぼ全集を聞きながら、バートランド・ラッセルの西洋哲学史を読む。プロタゴラスが終わり、ようやくソクラテスの項目まで来た。ラッセルはソクラテス・プラトンを特別視しない。むしろイオニアの自然学派やレウキッポス、デモクリトスなどの原子論者の方を現代的だと評価している。哲学史の本としては珍しい。ラッセルは饒舌に面白おかしく哲学史を解説するので、つい引き込まれる。こういう大河学術小説を読んでいくと、頭が整理されて、脳内に饒舌な流れができて、長い文章を書きやすいのだ。長い文章を書いていると、山頭火の「まっすぐな道でさびしい」を思い出す。誰かが英訳して、「ディス・ストレイト・ロード、フル・オブ・ロンリネス」と書いていて、とても惹かれた。
道一杯独りぼっちが広がってやがては淡い花を咲かせる、という短歌を書いた。