超人日記・俳句

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#俳句・川柳ブログ 

<span itemprop="headline">ヴァントのブルックナーの深淵</span>

2010-10-24 00:34:53 | 無題

ギュンター・ヴァント指揮のケルン放送響演奏、ブルックナー全集を聞いている。入手しやすいボックスセットになって慶賀の至りである。ヴァントのブルックナーはベルリンフィルが一番だという宇野功芳氏のような人、北ドイツ放送響が一番だという許光俊氏のような人もいるが、私はこのケルン放送響のブルックナー全集に愛着がある。広大な空間で遠大な演奏が繰り広げられていて、脱帽である。
私は北ドイツ放送響とのDVDも持っていて、それもヴァントの厳しく優しい素顔がうかがえて素晴らしいのであるが、ケルン放送響のはスタジオ録音で、しかも全集である。完璧を求めたヴァントの本領が発揮されていることは疑いない。スケール感ではベルリンフィルに敵わないとよく言われるが、テンポは晩年より若干速いものの、ブルックナーらしい雄大さは充分堪能できる。
私はかつて音作りで完璧なブルックナー全集は何かとクラシック歴の長い友人に聞かれて、リッカルド・シャイーのブルックナー全集ではないかと答えたものだ。彼はヨッフムとスクロヴァチェフスキとアイヒホルンの全集を聞いて、どれも音作りに満足できないと言って私に尋ねてきたのである。私は、ベルナルト・ハイティンクもこのギュンター・ヴァントも捨てがたいと思いつつ、一番録音の懐が深いと思われる、リッカルド・シャイーの全集を一押ししたのだった。
シャイーのブルックナーはなぜか余り評価されないと言うと、オペラが得意な指揮者だからだろう、と友人は言っていた。値段を考えるとシャイーのブルックナー全集は無理にお勧めできないとその時は言ったが、その友人はシャイーを聞いてみただろうか。今、値段のことを考えると、パーテルノストロという手もあるが、やはりケルン放送響のヴァントだろう。教会のオルガン奏者でもあったカトリック教徒のブルックナーの神の臨在を告げるのが彼の交響曲なのである。
ブラームスに交響曲の大蛇と罵られ、ウィーン人にあか抜けない紳士と陰口を叩かれても、ブルックナーは神の臨在の深淵を音に託した。オルガン的な響きが交響曲に転用されていたり、シューベルトの「グレイト」のような繰り返しを多用した長大な作風になっていたり、聞きどころは山ほどあるが、やはりブルックナーは深淵を覗き込んだ者のみが持つ遠大な楽想が魅力である。
シャイーと合わせて今やはり音作りの入念さで万人に勧めたいのが、この廉価盤のギュンター・ヴァントとケルン放送響のブルックナー交響曲全集である。



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