超人日記・俳句

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#俳句・川柳ブログ 

<span itemprop="headline">ヴァント、ブダペスト、レヴァインの音世界</span>

2010-10-29 17:12:36 | 無題

ギュンター・ヴァントのケルン放送響とのブルックナー全集、ブダペスト四重奏団のベートーヴェン四重奏集、ジェームズ・レヴァインのマーラー選集と立て続けに聞く。ヴァントは重厚で凄絶、ブダペストは温厚なステレオ盤、レヴァインは清冽な爽やかな名演揃いである。特に私はインバルを除いてマーラーのクック補筆完成版の10番を聞いたことがなかったので新鮮である。
どれも一時は一万円前後で売っていたものが、今では二千数百円。時代の価格破壊の流れとは恐ろしいものだ。レヴァインの選集は復活と千人の交響曲が入っていないのが残念なところだ。レヴァインの選集は三番がフィラデルフィア管と表記されているが正しくはシカゴ響である。そういうこともあって発売が一時延期されたのであろう。
ベートーヴェンの四重奏集は私はズスケ四重奏団の演奏が一番気に入っているが、古い所ではバリリ四重奏団やウィーン・コンツェルトハウス四重奏団のウィーン訛りのある演奏も捨てがたく思っている。ブダペスト四重奏団の全集はステレオ盤は高くて買えず、モノラル盤をユナイテッド・アーカイヴス社の廉価盤で持っている。モノラル盤はイヤホンで聞くと粗さが目立つが、スピーカーでなら充分鑑賞に値する音質だった。高かったステレオ盤が今回輸入盤で格安で発売されたので気に入って聞いている。
レヴァインの選集はアメリカ的明朗さで異彩を放っている。バーンスタインのアメリカ流とは全く流儀が異なっている。バーンスタインはマーラーの喜怒哀楽を余すところなく表現しているが、レヴァインの選集は飽くまで清澄である。
ヴァントもブダペストもレヴァインもソニーの同じシリーズでどれも過去の定評ある演奏を破格の値段で、しかも初回限定生産なのですぐに売り切れることを歌って市場に躍り出た。国内盤は、FM東京の付加価値の高いカラヤンのベートーヴェン交響曲の全曲ライヴなどを比較的割高で売り出す商戦に出ているが、輸入盤は高値で手が出なかった定番を8枚組9枚組10枚組で激安で提供している。この戦術には中古屋さんも勝てないほど魅力的なラインナップで攻めてくる。一枚当たり250円で売り出されては、国内盤も中古屋さんも裸足で逃げ出す勢いである。ソニーはデザインも統一感があってきれいな写真をうまく活用しているので思わず手が出てしまう。というわけでヴァントのブルックナーに戦慄し、ブダペストのベートーヴェンに癒され、レヴァインのマーラーに心洗われる日々である。



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