超人日記・俳句

俳句を中心に、短歌や随筆も登場します。

#俳句・川柳ブログ 

歳時記俳句・初秋

2022-09-02 21:34:40 | 自作俳句
携帯に泣き言打てば流れ星
人波が朝早く行く天高し
草眠る窓に漂う朝の霧
長旅を終えた荷を置き月見草
モナリザを着た友を描く美術展
釜石の車窓に眠り賢治の忌
貯水池で蜻蛉が止まる秋帽子
秋桜が咲く街並みに今日別れ
秋舞台見た日はいつか千日紅
久々にお化けになった南瓜祭
気がつくとすぐ目に入る道の茸
夢忘れひたすら食べる熟れた柿
地蔵堂手を合わせれば秋蛍
散歩する足に合わせる昼の月
長文の疲れの後に夕陽雲
世を逃れ肩まで浸かる爽快感
月寒に堅き契りの乙女像
胸の内なほ言はざりき終電車
夕陽雲また消ゆるとき人思ふ
道端のわが天使なる白蝶草
釜石の車窓に眠り賢治の忌カムパネルラは友か私か
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不器男百句を読む

2022-09-02 06:26:45 | 無題
以下は、芝不器男の俳句。「不器男百句」から紹介する。
〇春浅くまた巡り来し星座かな
「また巡り来し」が大きな時間のサイクルを感じさせる。星座を入れるのは好き。
〇梅雨晴れの足あをあをと藪を行く
梅雨の合間の晴れに、雨に濡れた草も眩しく、藪へと向かう。妙に、清々しい句。
〇風立ちて星消え失せし枯れ木かな
今はない星の印象が美しい、枯れ木の情景。深い寂寥感漂う句。
〇食堂を出て冬海の蒼さかな
冬の旅先で、一人食堂を出ると、海の青さが広がる。孤独のグルメな一句。
〇向日葵のしべを見るとき海消えし
遠景の海と、眼前の向日葵。視界の対比が際立つ句。しべは青春の生々しさを指すとある。
〇瀧音の息づきのひまや蝉時雨
瀧音が、束の間静まったとき、蝉の声が聞こえる。夏の汗も渇く、涼しげな句。
〇風鈴の空は荒星ばかりかな
風鈴と星の対比が見事。荒星は、風情のない、ぎらぎら光る星を指す。逆にエネルギッシュ。
〇こがらしや倒れざまにも三つ星座
こがらしが吹くと木々も倒れざまにしなう。三つ星もまたしなっているようだ。夜空との対話。
〇星祭る窓の下なる野川かな
星祭りは七夕のこと。野川というと調布の川を思い出してしまう。

○秋空の青の下にも人惑う(私の作)
俳人の句を読むと、自分も作りたくなる。

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