超人日記・俳句

俳句を中心に、短歌や随筆も登場します。

#俳句・川柳ブログ 

中村草田男句集を読む

2022-09-11 09:19:45 | 無題
「中村草田男句集」を数句紹介する。
〇月見草湾を距てて山灯る
海を隔てて遠くで山の灯が見える。遠くの灯は人の気配を感じさせる。
〇月光の壁に汽車来る光かな
月夜の壁に汽車が通り光がよぎる。薄い月光と、汽車の閃光の対比。
〇オリオンと店の林檎が帰路の栄え
オリオン座と買った林檎が仕事帰りのささやかな希望。
〇冬すでに路標にまがふ はか一基
冬暗く、路上標識かと思たら、はかだった。侘しさ冴える。
〇放課後のオルガン鳴りて火の恋し
夕方、小中校の脇を通ると、オルガンが聞こえる。肌寒い季節。
〇聖母像高し暖炉の火を裾に
教会の中だろうか。北国の冬、聖母が凛と立つ。
〇猛るピアノ雀見て居る夕立雲
猛然と、昂揚するピアノを弾く窓を、雀が見ている、夕暮れ。
〇炎天の号外細部読み難き
炎天下、新聞の号外を配られる。活字が雑なのか、細部は読めない。
〇映画ただ凍てしヒマラヤの肌が移る
移るは、映るないし写るだろう。寒い映画館で、ヒマラヤの景色が映る。
〇冬薔薇石の天使に石の羽根
冬薔薇の側に、天使の石像がある。当然だが、羽根も石製だ、と思う。

〇月寒に堅き契りの乙女像 (私の作)

コメント (2)
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