歳時記俳句・蛍葛

雪虫が多すぎるこの北の秋
ひつじ雲街路に見ゆる秋の山
小うさぎと秋のジャケツで二人旅

ブックオフ駐車場には泡立草
笑顔なき店で安納芋買えり
秋寒に川辺歩けば葦刈られ

道端に蛍葛が灯りけり
秋晴れに紫あざみ通い道
丸太窓檸檬の香る喫茶店

庭先の蓬莱草や秋一輪
公園の水草紅葉浮かぶ頃
ロッカーの鏡の紅や山丹花

歳時記俳句・灯台ツツジ

家隣り灯台ツツジ紅葉す
公園の草取り業者芒刈る
町中の人家の庭に青蜜柑

秋空に羽ばたく鳥の飛ぶ広さ
秋空をジェットが飛びて残る雲
秋の宵雲間に浮かぶ朧ろ月

落とし鍵石で囲いて秋麗ら
山鳥が遠くに聞こえ帰宅せり
叔父の待つ郵便届く赤蜻蛉

山霧に霞む向こうに冬隣り
破蓮に荒城の月秋の舞い
この秋も桜紅葉の行き帰り

歳時記俳句・筆跡

柊木の垣根の傍で日々暮らす
後ろ髪引かれるような水引草
ゴーストの姿の菓子や南瓜祭

窓からも黄葉見ゆる銀杏の木
ちゃんぽんの鐘の向こうに白い月
ひと筆の飛行機雲や秋の空

歯科技師の秋色のシャツ歯を治す
不審者と逢魔が時の秋見られ
公園で群舞の動画秋の暮れ

筆跡に思いが滲む秋深し
秋冷に襟巻をして行き帰り
雪が降る前に一会の野紺菊

歳時記俳句・盗人萩

秋テレビ住みたい場所は最寄り駅
紅葉降る関東の湯の奥座敷
寝場所なき路頭の人の夜寒かな

秋空に奏でる音色当地オケ
小旅行昨日のことと気づく秋
夜回りの警官来たり盗人萩

寒き手が痛くなるらむ秋の暮れ
キホーテの時計回りて綾紅葉
友人の間近な写真秋深し

流れ星見ている頬の数秒間
この紅葉春まで眠る雪近し
朝寒に重ね着をして落葉踏む

歳時記俳句・冬隣り

秋風に手袋恋しそぞろ寒
紅葉は所々に染まりけり
近隣の演奏会に厚着して

秋の水笑顔弾ける連休日
雪虫が舞っている頃秋日和
古着屋に顔覚えられジャケツ買う

初雪も近づいてきて冬隣り
休日は衣替えして冬支度
秋冷に毛糸帽子で行き帰り

オリオン座流星群の時雨降る
十月の爽気に触れて靴弾む
冬近し健やかなりや白蝶草