遅ればせながら,
「明けまして おめでとうございます。今年も よろしく お願いいたします!」
元旦からブログを書き始めようと思っていたのですが,いつも以上にのんびりと過ごしたこともあり,今日が今年の書き初め(?)となってしまいました。エンデの書いた『モモ』のように,時間をゆったりとした流れの中でのんびり(大切に)使いすぎてしまったせいかもしれません。今日の仕事始めを契機に,正月モードから平常モードに生活のリズムを切り替えていきたいと思っています。
頭をリセットするために,まどみちおの詩を読んでみたいと思います。
空
まど みちお
この青くすんだ 空は / きのうの空のように 見える
百年まえの 千年まえの / もっともっと まえの
サルに にていたころの人間や / キョウリュウたちが 見上げていた
その同じ空のように!
けれども 地球は / 太陽のまわりを まわり
その太陽も 銀河宇宙の中をまわり
その銀河宇宙も / むげんの 大宇宙の中を
むげんに まわっているのだとすれば
いま 見上げている / この頭の上の ひろがりは
いま 初めて ここにきたばかりの / ま新しい ひろがりだ
どんなものに とっても 初めての…
そしてもう 二どと くることのない…
ああ それが ぼくらの目には
なぜ 一枚の 空なのだろう
永遠に 変わることのないかのような
こんなに 青くすんだ……
まどみちおの書いた詩の中でも,特に大好きな詩のひとつです。
空を見上げながら,あまりにも澄み切ったその青さに吸いこまれ,自分の内側も外側も透き通るように青く染まっていくような感じになる時があります。そんな空を,昔々の類人猿や恐竜も見上げていたかもしれません。この地球に生を受けた者同士として,生きている時代は異なっていても,空の青さや美しさに同じように心を奪われていたのかもしれません。時代を超えて時間はつながっており,太古から流れる川のように時を刻みながら今に至り,未来へと流れています。見上げた時間は違っていても,見上げた空の青さは永遠に変わりがないのかもしれません。
時間を縦軸としたら,空間は横軸にあたるのでしょうか。自転する地球と同じように太陽も銀河宇宙も回っているとすれば,刻一刻と位置を変えて移動する地球上から見上げる空は,確かに『いま初めて ここにきたばかりの ま新しい ひろがり』なのかもしれません。二度と見ることのできない青い空を 二度と来ることのない位置で 今 見上げているのかもしれません。
同じように青く澄んだ空を,未来の人々は 刻一刻と変わる未来の時間と位置に立ちながら 見上げることになるのでしょう。そして,昔の人々と同じように,その青さと美しさに心を奪われるような気がします。たった一枚の空でありながら,時空を超えて,同じように見上げ,同じように感動を共有しながら,つながっているような感じがしてきます。
今しか見ることができない 今の空を 逃さず見上げ 心に留めていきたいものですね。そうすることが,新たな年の一日一日を大切に生き,一瞬の今を大事に過ごすことにつながっていくように思います。