冬は
高見 順
冬は
手から冷える時と
足から冷える時とがある
悲しみは
いつも真すぐ心に来る
短い詩ですが,真っすぐに心に届く詩です。
肌で感じる冷たさと同じように,心で感じる悲しみも冷たいものなのでしょうか。
その冷たさは,体の遠くからゆっくりと伝わってくるものではなく,迷うことなく真っすぐに心に伝わってくるものなのでしょうか。
人の数だけ,その人の人生があり,その中にさまざまな喜怒哀楽があることと思います。
できることなら,誰でも,怒りや哀しみのない喜びと楽しさのあふれる人生でありたいと願います。
しかし,たとえ悲しいことであっても,生きているからこそ,その冷たさを真っすぐに感じることができるのではないでしょうか。
生きているからこそ,手や足で冬の冷たさも感じることができるのではないでしょうか。
悲しみと同じように,喜びも真っすぐに心に来ます。
これからの人生の中でも,いろんな悲しみや喜びを味わっていくことと思います。
人とのかかわりやつながりがあればあるほど,悲しみを感じる機会は多くなるのかもしれません。悲しみを,真っすぐに心で受け止め生きていくことで,孤族の国で生きていく構えも身についていくのかなと思います。
今年は,特に寒さが厳しく,冬の冷たさを身にしみて感じています。だからこそ,春の訪れを実感する時には,大きな喜びを味わえることと思います。
冬のあとには間違いなく春がやって来るのですから。