あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

朝日新聞『孤族の国』の記事を読んで

2011-01-05 19:49:29 | インポート

年末から朝日新聞に,「孤族の国」というシリーズもの:現在『第1部男たち』が連載されています。職を失い,孤としての隔絶感を抱きながら,たった一人で死んでいった男たちが取り上げられ,今の時代の閉塞感が重く伝わってきます。三十代で餓死した青年は,どんな思いでこの世を去っていったのでしょう。投かんされずに部屋にあった親戚宛ての手紙には,ひらがなで『たすけてください』と綴ってあったそうです。さまざまな事情や理由から孤として生き,孤として死を選ぶ姿に,「なぜ」「どうして」と自問しながら,死ぬ前に,どこかで・だれかが救いの手を差し伸べることができなかったのだろうかと思いました。

4日付の新聞では,この問いに答えるように,悲しい結末ではなく救われた人の記事が掲載されていました。

東京山谷の古い木造アパートで,昨年の10月末に71歳の男性が進行したガンのために亡くなりました。6月に病院からアパートに帰ったのですが,初めのうちは医療ケアをする看護師やヘルパーを受け入れず身勝手な行為をする手のかかる患者でした。それでも医療スタッフが待ち続けながら懸命にケアにあたることで,男性は氷が溶けていくように変わり,看護や介護が終わると何度も手を合わせるようになりました。病状が進み会話が難しくなるとペンを握り「すみません」「たすかります」と書いたそうです。最後の斎場での見送りには,医師・看護師・ヘルパー・姉・義姉・ボランティアの僧侶・記者が集まったとのこと。男性は,たった一人でこの世を去るのではなく,多くの人とつながりをもって旅立つができたのではないかと思いました。

この記事には『最後に人とつながった』『閉じた心開いた医療ケア』という見出しがついていました。治療にあたった医師は,次のように語っています。

『人の死は,点ではないんですよね。いい生が続けば,いい死になるんです,きっと。男性は最後に人とつながった。』

孤族の国と言えるような時代だからこそ,孤となる人の心を開き,人と人とのつながりの温もりを感じてもらうような,横のサポートの必要性を痛感しました。同時に,最後までみとった医療スタッフの献身的な行為に,大きな希望とこれからの支援の在り方を見出すことが出来たように思います。

点として(孤として)しか生きることのできない人のために,何か今の自分が出来ることがないかと問い続け,少しでも実践できたらと考えています。

コメント
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