将棋界の頂上決戦といえば、現在行われている棋聖位のタイトル戦です。名人位を奪取して全国制覇を果たした豊島将之棋聖(棋聖・名人・王位の三冠)に、渡辺明二冠(王将・棋王)が挑戦中の棋聖戦です。ここ10戦の戦績は、豊島棋聖が9勝1敗、渡辺二冠も9勝1敗、そしてそれぞれの黒星1つを付けたのがお互い同士という、まるで火花が散る状況でのタイトル戦です。
第1局は、豊島棋聖が後手番にもかかわらず、渡辺二冠を粉砕して快勝。迎えた6月19日の第2局は、後手番の渡辺二冠が序盤での相手のミスを見逃さず、そのまま追い上げも許さず、寄り切りで1勝1敗のタイに持ち込みました。テニスに例えると、お互いサービスブレイクを応酬した形です。
ポスト羽生時代、まずは誰が天下を統一して歴史に名を残すのか、という意義のあるタイトル戦だと思います。豊島棋聖が防衛を果たせば、天下統一に一歩近づく形ですし、渡辺二冠が棋聖位を奪取すれば、また両者が拮抗する形に戻せると思います。
ちなみに「天下統一」と呼べる形は、名人+竜王を同時に得たケースか、タイトル四冠以上で名人あるいは竜王を含んでいるケースだと思います。過去、この形を実現できた人物は、大山康晴・中原誠・谷川浩司・羽生善治・森内俊之のみ。
今週末、6月29日(土)に静岡県沼津市で第3局が行われます。テレビや新聞各紙も藤井七段ばかりでなく、この頂上決戦をきちんと報じてほしいものです。報道機関自身がポピュリズムに陥っては駄目ですよ!